安全管理のコラム 第22回「倒木・落枝による事故」 2017年10月

今年6月,熊本市内の県道を通行していた車に倒木が直撃し,運転中の男性が亡くなるという事故がありました。このような事故をくり返さないためにも,身近な緑の状況に目を配っておくことは大事と思います。

グリーンシティ福岡で収集した事故事例から倒木・落枝に関するものを見てみます。

〇2012年11月18日岐阜県大垣市。
 森林公園のイベントで間伐作業の説明を受けていた6歳女児の頭部に
 スギの落枝が当たり亡くなった事故。枝は長さ3.5m,重さ5.4kgで
 地上高22.8mの高さから落下しました。
 林内の活動であるのにヘルメット着用の指導が無かったこと,当日は
 強風が吹いていたことに加えて,森林の状態としても樹齢100年以上で
 「こぶ病」に罹った(=枝が落ちやすい)木が多かったことが事後調
 査で明らかになっています。

〇2014年は街中の倒木事故が目立ちました。
 2014年3月16日広島県三原市。三原市芸術文化センター敷地内の
 ポプラが突然倒れ,近くを歩いていた女性2人に直撃,お一人が亡くな
 りました。このポプラは樹齢50年,高さ15.7m。後の市議会での報告
 では,事故より7年以上前,施設の建て替えを契機にポプラ周囲に
 数十cmの盛り土が行われ,根の通気性が悪くなっていたことが指摘さ
 れています。
 同年4月14日には神奈川県川崎市の商業施設で街路樹のケヤキから枝が
 落下,下を歩いていた6歳女児が頭がい骨骨折の重傷を負いました。
 ケヤキは商業施設の開業にあわせて1978年に植えられたもので定期的
 な剪定は行われていなかったそうです。

〇2016年11月3日長野県信濃町。野尻湖畔で景色を楽しんでいた5人の
 男女にナラの木が倒れかかり,その内のお一人(80代女性)が亡くな
 った事故。倒れたナラは高さ約20m,樹齢は100年くらいとのこと。
 その後の調査報告を見つけられませんが,報道にある関係者の話では
 カシノナガキクイムシによる「ナラ枯れ」を起こしていた可能性がある
 ということでした。

〇そして2017年6月25日熊本県熊本市。
 県道沿いの樹林の中から木が倒れてきて通行中の車を直撃,車を運転
 していた30代男性が亡くなりました。倒木は長さ9m,幹周り1.7mと
 の報道。熊本地震とその後の大雨,また事故前日からの雨も影響したの
 ではと言われています。
 その後の詳報が見当たらないため,テレビ画面を通じた推測にとどまり
 ますが,長年手入れされなかったためほぼ竹林化した緑地で,そこに
 残った常緑樹(おそらくスダジイ)に腐朽が入って倒れてきていたよう
 に見えました。


いずれの例も太く立派な樹木だった様子。
個別の状況はそれぞれ違いますが,なんらかの病気に罹っていたり,長年手入れされていなかったり,不向きな環境で育って根や幹が腐ったりしています。倒木も落枝も自然の森では当たり前の出来事ですが,生活の場や余暇の場で事故や怪我が起こるのは防ぎたい。そのためにも身近な樹木や森林に危険がないか見る目を持っていたいと思います。

参考文献:
 石田仁(2013)林業体験中に発生したスギの落枝による死亡事故の原因と
  林分の特徴.日林誌95:275-279.
 アーカイブ「ポプラ倒木事故 通気悪化で腐敗」NHK NEWS WEB.
  http://archive.fo/vbiI9(2017.09.26.閲覧)

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