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安全管理のコラム第35回「じこはおこるさ」2018年12月

小さなお子さんに大人気の「きかんしゃトーマス」。その舞台であるソドー島のノース・ウェスタン鉄道では,シャレにならないくらい事故が多発しています。機関車たちが負けん気とかいたずら心とかを出して,ちょくちょく脱線したり鉄橋から落ちたり床屋に突っ込んだりするのです。局長であるトップハム・ハット卿は何度引責辞任をしなければいけないでしょう?そんな感じ。

テレビ版のトーマスには「じこはおこるさ」という挿入歌がありますが,なんかじわじわ面白い。トーマスやパーシーら機関車たちの事故が延々繰り返される映像にのせて「事故がほらおきるよ,突然さ。運が無いときはしょうがない,なんとかしよう」と少年合唱団が歌っています。
気になってネット検索したら,ブログで取り上げている方もありました。

機関車トーマスに見る日米の危機管理意識の差、あるいは「そんなのどうでもいいからこの歌を聞け」
https://yusato.exblog.jp/17823930/
(2018.11.19.閲覧)

日米,というか日英の危機管理意識の差かなるほど。
確かに,事故が起きるよに続く歌詞が英語では "Make sure you learn your lesson. You'll know better next time" となっていますが,同じ箇所が日本語で「二度とやらなければいいけど」と訳されていて,だいぶ雰囲気が違います。もともとは「そこから学べ,次はマシになる」くらいの意味ですね。全般に英語では「どうあっても事故は起こるものだから,そこから学んで次に活かせ」というメッセージがあったのに,それが薄れて日本語では「事故が起きるぞー事故が起きるぞー」という雰囲気に(笑)。それがじわじわ面白い理由の一つな気がします。

事故から学んで次に活かすには,このコラムでこれまで紹介してきたヒヤリハットの収集と研究,事故事例の収集と研究,SHEL分析やなぜなぜ分析などを使って是正報告書を書くことなどが効果的。いずれも「過ちから学ぶための仕組み」です。ヒヤリハット収集や是正報告書は自分たちの過ちから学んで次に活かすため,事故事例を集めるのは他の場所で起きた過ちから学んで次に活かすためです。

「事故は起きるべきでない」と強く思いすぎると,過ちを認められなくなったり,隠蔽したり,「想定外だ」とか言い出したりしそう。「事故が起きてもいい」と言いたいわけではありません。最大限の努力をしつつ,けれど時には「じこはおこるさ」と割り切って,事故時の対応やダメージの低減,その後の改善行動のための備えをしておきたいものだ,と思います。

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安全管理のコラム第34回「なぜなぜ分析」2018年11月

他のメルマガ・コラムに比べてマニアック過ぎると大変好評(!)の「安全管理のコラム」ですが,この路線で邁進する所存であります。
 今月は「なぜなぜ分析」について。トヨタ自動車が行なっていることで有名です。「なぜ?」を5回くりかえして,事故やヒヤリハットの原因を深掘りするというもので,英語でも「5Why」と呼ばれています。

 「なぜなぜ分析」でよく紹介されるのはある生産工場で「機械が止まった」という事例です。

  なぜ?(1回目)→「機械に強すぎる力がかかった」
  なぜ?(2回目)→「軸の潤滑が十分でなかった」
  なぜ?(3回目)→「ポンプが潤滑油を汲み上げてなかった」
  なぜ?(4回目)→「ポンプの部材が摩耗してガタガタだった」
  なぜ?(5回目)→「金属の切り粉が潤滑油に入っていた」
  では対策は?→「潤滑油系にろ過器を設置する」

というものです。1回目から4回目のなぜ?の段階で対策を考えてしまうと,部材やポンプの交換など安易な対症療法になり近いうちに再発してしまいます。なぜ?を5回くりかえしたことで「ろ過器の設置」という,より長持ちする対策にたどり着くことができた,というものです。

 里山保全活動や自然体験の最中の事故やヒヤリハットについても「なぜ?」を複数回くりかえして,原因を深掘りすることは効果的だと思います。けれど,うーん,あんまりうまくいかないこともあります。

 うまくいかないこともある理由の一つは,野外活動での事故やヒヤリハットはいろんな要素や原因が重なって起きるから,ではないかと思っています。例えば「ナタで左手を切った」事例に対しては,

 なぜ?(1回目)→「初心者がナタを使った」,「指導者が見過ごした」,
            「(使わない予定の)ナタを見える場所に置いた」,
            「直前の雨で材が濡れていた」,「時間不足で急いでいた」,,,

…など,いろんな原因が考えられ,続く2回目のなぜ?では,それぞれの原因にさらに複数の原因が考えられ…とツリー状に枝葉が広がっていきます。上記の機械が止まった事例のように一列に因果関係が並ばないのでややこしいですね。団扇のホネや葉っぱの葉脈のように広がっていくもんだとあきらめた上で,紙やホワイトボードに書き出しながら整理するのがよいと思います。

 うまくいかないこともあるもう一つの理由は,わりとヒューマンエラー(人によるミス)だからではないでしょうか。上記の「初心者がナタを使った」「指導者が見過ごした」などに対して「なぜ初心者なのに使ったのか?」「なぜそれを見過ごしたのか?」と本人に問いかけるのも,問いかけられるのも両方キツイ(笑)。起こしたミスへの向き合い方や,活動へのモチベーションは人によって違います。言い訳したり,自己嫌悪に陥ったりということもあるでしょうし,そんな状態でなぜ?をくりかえすのもなかなかできません…。
 ヒューマンエラーにたどり着いた場合,無理に「なぜ?」をくりかえさずに「対策」に移った方がよい場合も多いと感じています。対策の方向性も「A.どうすればそのヒューマンエラーが起きないか?」「B.そのヒューマンエラーが起きても大丈夫にするには?」の二つあります。

 「初心者がナタを使った」
   →×「なぜ,初心者なのにナタを使ったのか?」
   →A「どうすれば,初心者が(誤って)ナタを使わなくなるか?」
   →A「どうすれば,ナタの経験を積むことができるか?」
   →B「経験不足でナタを使っても,手を切らずに済むには?」

 「指導者が見過ごした」
   →×「なぜ,見過ごしたのか?」
   →A「どうすれば,見過ごさないか?」
   →B「指導者が見過ごしても,手を切らずに済むには?」

 「ナタを見える場所に置いた」
   →×「なぜ,見える場所に置いたのか?」
   →A「どうすれば,見える場所に置かないようになるか?」
   →B「見える場所に置いても,手を切らずに済むには?」

 「なぜなぜ分析」はすぐれた手法ですが「なぜ?」という問いは人の責任を追及しがちです。人は必ずエラーを起こしますし,機械の部品のように交換するものでもありません。そのエラーを減らす or 見過ごさない or 起きても大丈夫にする仕組みを作っていけたらいいと思います。

安全管理のコラム第33回「SHELモデル」2018年10月

事故やヒヤリハットの原因を分析する時に参考になる考え方の一つが「SHELモデル」です。
SHELは"Software(ソフトウェア)", "Hardware(ハードウェア)", "Environment(環境)", "Liveware(人)"の頭文字。その事故の背景や原因,つまりリスク要因にどんなものがあるのか,ソフトやハードなどいろんな側面から洗い出しましょうというお話。(SHELモデルにはSHELL→mSHELL→P-mSHELLといろんな発展・派生があります。)

例えば,子どもたちのキャンプ活動を例にリスク要因を挙げてみます。

「S:ソフトウェア」は活動内容やプログラムにあたります。「休憩を取らずに外遊びするスケジュール」は暑い時期だと熱中症の原因になりますし,「ナイフを使ったクラフト」は刃物に慣れてない子どもたちだと怪我のリスクを高めるでしょう。練習や指導の時間を十分とらなければなおさらです。

「H:ハードウェア」は使う道具や施設のこと。「古くて傷んだアスレチック遊具」は飛び出た金具やササクレでの怪我を起こすかもしれませんし,「適切なサイズのヘルメットがない」といったことが事故につながる場合もあります。

「E:環境」は周辺の状況や気候などのこと。「気温と湿度が高い」と熱中症のリスクが高まります。「滑りやすい斜面」が滑落や転倒,「車の往来」が交通事故,「スズメバチやかぶれる植物」による被害などもここに該当します。

「L:人」については,「指導者や先生」「事故の当事者(怪我をした子ども)」「周りにいた子どもたち」など,立場で分けた方がわかりやすいです。「指導者が活動内容をあまり理解していなかった」「当事者の健康状態が優れなかった」「周囲がふざけたり邪魔をして集中できない状況だった」などが「人」に関するリスク要因として考えられます。

私たちは気をぬくと事故の原因を単純化して考えてしまいがちです。例えば,熱中症の事故だったら「今年は例外的に暑かったから起きた」とか「指導者の目配りが足りなかったから起きた」とかです。
しかし実際の事故は背景や原因がいくつも重なって発生することがほとんど。熱中症を例にすれば「今年は例外的に暑かった上に(E),当事者が朝から体調が優れず(L),指導者が目配り不足な状態で(L),日陰のない芝生広場で(E),水筒を持参せず(H),屋外遊びを1時間以上した(S)」から起きたのかもしれません。

なにより,いろんな側面からリスク要因を洗い出すと,具体的な対策や改善行動を立案しやすくなります。事故原因を単純化してしまうと,対策が「根性論」や「お題目」になりやすいので注意しましょう。

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安全管理のコラム第32回「事故是正報告書」2018年9月

万が一,事故が起きてしまった場合,その状況を記録し今後の対策に活かしていくことが大事です。グリーンシティ福岡では「是正報告書(事故)」という書式を用意して,状況の記録と対策の立案を行っています。建設業や施設管理などの現場では当たり前ですが,小規模なNPOや事業者,ボランティア団体などにも広まってほしい取り組みです。

 私たちの書式はA4判1枚にまとめています(画像参照)。組織によってA3判だったり数ページに及ぶこともあるでしょう。
 項目は基本的な事柄として「件名」「主催者」「発生場所」「発生日」「報告者と報告書の作成日時」。
 報告事項として「概要」「被災者」そして「発生状況」を分刻みで,事故の発生前からその後の対応の過程を記録します。発生状況があやふやなままだと,だれかに責任を押し付けたり,安易な解決策に飛びついたりしがちです。事実に基づいた有効な対策を立案するためにも,発生状況はきちんと残しておきたいものです。また,現場の見取り図や状況写真,イラストや文章での状況説明は下段に記載します。

 中ほどの「背景・原因」と「対策」の欄は,左右で対応させながら記入します。活動環境にどんな背景・原因があったかを左側に書き,矢印を引っ張って右側にそれを防ぐための対策を。現場のスタッフにどんな背景・原因があったかを書き,その右側に対策を,という具合に,様々な切り口から背景・原因を挙げ,対応する対策を立案していきます(改めて見るとうちの書式,「背景・原因」&「対策」の欄と図面等の欄を上下入れ替えた方が,考える順番としては正しいですね。なんでこのまま使ってるんだろう?)。

 この書式,私たちは「病院を受診するような事故・怪我」やそれ以外でも重大だと考えた場合に記入し,スタッフミーティング等で検討するようにしています。実際の出番はそんなにないはずですが(年に1回あるかないか程度?),このような書式を準備しておくことをお勧めします。

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安全管理のコラム第31回「健康KY」2018年8月

 建設業界では安全管理についての取り組みが様々に行われています。研修のための教材DVDが充実しているのもスバラシイ。先日,某公園の運営スタッフで一緒に安全教材DVDを観る機会がありましたが,自然体験や保全活動を行う私たちにもとても参考になりました。その中から「健康KY」についてご紹介。

 KYとは危険予知の略です。一般的なKY活動では主に作業環境や内容,道具から想定される危険を洗い出し,対策や対応を検討します。一方,関係者(スタッフや参加者など)の心身の状態にも危険が潜んでいることがあります。「健康KY」は活動の前にスタッフや参加者などの健康状態を観察し必要に応じて個別に問いかけることで,事故を無くしていこうとする取り組みです。

 まず,リーダーや指導者は活動前にスタッフや参加者の健康状態を観察します。会場設営時のスタッフの動きや受付に集合した際の参加者の表情などです。具体的には以下の5項目が挙げられています。建設現場を対象にした項目なので表現や程度でそぐわない部分はあるかもしれません。

 <健康観察 5項目>
  1. 姿勢 シャンとしているか、うなだれていないか
  2. 動作 キビキビしているか、ダラダラしていないか
  3. 表情 イキイキしているか、明るいか、むくんでいないか
  4. 目玉 キリッと澄んでいるか、血走っていないか
  5. 会話 ハキハキとしているか、声の大きさ・ハリは
  (一人ひとりよく観察して異常をつかむ)

 次に,気になる人がいた場合は,直接問いかけて確認します。プライバシーに関わる内容ですので個別に尋ねることが重要です。また訊き方によっては尋問にもなりかねないので,「親が子を思う気持ちで具体的に問いかける」と記してある資料もあります。

 <健康問いかけ 7項目>
  1. よく眠れましたか?すっきり起きられましたか?
  2. どこか痛いですか?だるさはありますか?
  3. 食欲はどうですか?食事はおいしいですか?
  4. 熱はありますか?動悸がありますか?
  5. 医者に診てもらいましたか?くすりを飲んでいますか?
  6. 夜更かしましたか?疲れはとれましたか?
  7. 遅くまで飲みましたか?飲みすぎていませんか?

 健康KYを行なった上で,必要に応じて水分補給や休憩,持ち場の変更などを行います。場合によっては病院の受診や帰宅を促すということもあるでしょう。ボランティアだったり参加費を払ったお客様だったりする場合は言いにくいですが,ご本人や周りの人,主催団体のためになるかどうかを考えて判断することが大切です。

(財)中小建設業特別教育協会「健康問いかけKY」, <https://www.tokubetu.or.jp/kyk/kyk05-1.html>(2018.08.15.閲覧)

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安全管理のコラム第30回「ウォーキング企画は下見が大事」2018年7月

夏から秋はスズメバチの個体数が増える季節。この時期の屋外イベントで起きたスズメバチによる刺傷事故を3件ご紹介します。

 一つ目は平成26年8月24日(日)午前10時15分ごろ,神奈川県横浜市緑区にある「新治市民の森」での事例。現場は森をぬける遊歩道です。川崎ウォーキング協会主催のウォーキングイベントに参加した約300人のうち約15人がスズメバチ(種名不明)に刺されました。うち13人が病院搬送されましたがいずれも軽傷だったとのこと。

 二つ目は平成27年8月22日(土)午後14時前,現場は同じく横浜市緑区にある「三保市民の森」。NPO法人町田ウォーキング協会が主催するイベントで,参加者数約80人のうち10人がスズメバチ(種名不明)に刺され病院搬送されました。当日の報道では10人全員が軽傷となっていましたが,翌朝の新聞ではうち2人が入院の必要な状況と報じられました。

 三つ目は平成28年9月11日(日)午前10時20分ごろ。岐阜県飛騨市で行われた「第18回山の村だいこんマラソン大会」で,出場者697人のうち115人がキイロスズメバチに刺されました。そのうち30から40人が棄権,8人が病院搬送されましたがいずれも軽傷だったとのこと。コース中の橋の下にキイロスズメバチの営巣が確認されました。

 これらの事例が発生したのはいずれも8月下旬から9月上旬。現場には普段から人通りがあったけれど,イベントで特に大勢の人が通ったタイミングで起きたという点で共通しています。数十人数百人が歩くときの音や振動,不用意な参加者が与える刺激などが影響しているでしょう。主催者や事務局の方もコースの下見をしていたと思いますが,当日の音や振動が予想以上だったのかもしれません。下見では,音や振動が響きそうな場所にスズメバチが営巣できる空間(橋やデッキの下,軒先き,密な植え込みなど)がないか気をつけておき,巣や働き蜂の出入りがないかチェックするのがよいと思います。

 ガイドや指導者が帯同しない,もしくは目が行き届かないほどの大人数が参加するイベントでは,事前の下見がより重要です。夏から秋にかけてウォーキングや遠足,マラソン大会などを企画している方はぜひ丹念な下見を!

産経ニュース「スズメバチに刺され13人搬送 横浜・緑区」
https://www.sankei.com/affairs/news/140824/afr1408240020-n1.html (2018.06.19.閲覧)
若葉台2丁目南自治会のブログ「三保市民の森でスズメバチの襲撃?警戒情報です」
http://blog.livedoor.jp/imajun2011/archives/8941793.html (2018.06.25.閲覧)
防犯・防災 事件・事故・災害Archive「マラソン大会で『スズメバチ』に刺される事故(岐阜県)」
https://www.teguchi.info/dlt/18203/ (2018.06.19.閲覧)

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安全管理のコラム第29回「屋外作業の熱中症4パターン」 2018年6月

熱中症に注意する季節がやってきました。人口動態統計によれば,2016年に熱中症で亡くなった方は全国で621人。発生する場面で見ると15から19歳はスポーツ,30から59歳は労働,65歳以上は日常生活が多い傾向があります。
建設など屋外労働の場面で熱中症に気をつけたい人を対象とした資料「熱中症4つのパターン」が,里山保全活動や登山・トレッキングなどの野外活動にもあてはまると思ったのでご紹介します。

<熱中症4つのパターン>
 1.昨日のツケ型
   前日の飲み過ぎ,夜遊び,夜更かしで体調不良を起こすパターン。飲み
   過ぎの場合は体内の水分も不足しがちです。この場合,午前中から発症
   することもあるでしょう。午前中を静かに休養するのが大事。
 2.北極ハワイ型
   暑い屋外とエアコンを効かせすぎた室内・車内を行き来することで発症
   するパターン。激しい温度差は体調機能の低下を招いてしまいます。エ
   アコンの温度設定を室外と5度程度に調整することが望ましいとのこと。
 3.熱帯砂漠型
   そもそも作業や活動を行う場所が高温・多湿で通気性も無い場合。いく
   ら水分や塩分を補給しても対応できません。日除けや風通しの改善も考
   えられますが,そもそもの場所やプログラムの再検討が必要でしょう。
 4.飲み助の性(さが)型
   ビールを美味しく飲みたいがために午後の水分補給をしないパターン。
   ちょっと冗談っぽく聞こえますが,もし汗が止まるほどの状態になった
   ら危険信号。水分補給は午後もしっかり行いましょう。決して「昨日の
   ツケ型」へループしないように…。

この資料,安全教育ビデオや個人のブログなどに引用されているのを見かけますが,原典はわかりません。調べた範囲では熊谷組首都圏支店さんが製作したポスターが元かなあ?と思いますが,もしご存知の方があったらお教えください。

参考文献:
 環境省環境保健部環境安全課(2005発行-2018改定)熱中症環境保健マニュアル2018.
 厚生労働省「あんぜんプロジェクト」.http://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzenproject/ (2018.06.11.閲覧)

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安全管理のコラム第28回「倒木事故と幻の名車」 2018年5月

1960年代にトヨタ自動車とヤマハ発動機によって共同開発されたスポーツカー2000GT。1967年から70年の3年半に生産されたのは337台で,国内に現存するのは100台程度。映画「007は二度死ぬ(1967年)」ではショーン・コネリーが乗るボンドカーとしても採用された「幻の名車」と言えます。販売当時の価格で238万円で,現代の感覚では1,500万円から2,000万円程度に相当。しかし,それ以上の価値を感じる人は多いと思います(車に詳しくない私が語るのもアレですが)。

2014年6月に富山県南砺市の国道156号沿い,走行中の2000GTにブナの木が倒れてきて直撃しました。車は大破。倒れてきたブナの木は高さ30m,直径1.9mの大木だったそうです。

運転していたのは車のオーナーとは別の方で,打撲等はあったものの命に別状はなく何よりでした。とは言え,修理費用は1億円とも2億円とも報道されており,車のオーナーは修理を断念しています。
2016年4月,富山県の道路管理に問題があったとして,車のオーナーと運転者の2人が県を相手取り,車代と治療費など計約3,900万円の損害賠償を求めて富山地裁に提訴しました。今年2018年3月に和解。原告側に富山県が約1,787万円を支払うこととなりました。富山県道路課のコメントは「道路管理に問題はなかったと考えているが、事故が起きたのも事実。これまで以上に、道路のパトロールに努めていく」というものでした。

緑に関するNPOとしては,今後全国的に増えていくであろう「枯木や倒木のリスク」が気になりますが,この事故はそれに加えて,倒れた先が偶然にも幻の名車であったことで報道にも大きく取り上げられました。販売時の価格は238万円。それを現代に換算すると1,500万円から2,000万円。車のオーナーがこの2000GTを購入した金額は3,500万円。和解金額が1,787万円。
うーん…「幻の名車」のように特別な価値があるものの評価や判断って難し
そうです。特に損害保険会社による査定は趣味性を基本的に考慮せず、一般的な中古車として査定するという話も聞きます。賠償責任保険でカバーできるものなのかどうか勉強しておきたいと思います。

私たちも,森の手入れで樹木を伐倒する時や車の運転の時など,人様の財産を傷つけないように十分注意していきたいと思います。

参考文献:
 ウィキペディア. https://ja.wikipedia.org/wiki/トヨタ・2000GT (2018.05.15.閲覧)
 ITmediaビジネス「倒木直撃『トヨタ2000GT』、今も保管するオーナーの無念…
 訴訟和解も2億円の修理は断念」.
 http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1804/17/news043.html(2018.05.15.閲覧)

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安全管理のコラム第27回「CONEリスクマネジャー養成研修会を受けて」 2018年3月

2018年2月,NPO法人自然体験活動推進協議会(略称:CONE)主催のリスクマネジャー養成研修会を受講してきました。CONEは自然体験や野外活動の推進・普及を目指す団体。その一環として安全管理の研修会にも力を入れています。

今回の「リスクマネジャー」の研修は,自然学校やエコツアーの事業者,公園の指定管理者などで「安全管理責任者」的な立場にいる人向けのカリキュラムです。そのため活動現場における事故防止以外にも,保険や日常のスタッフ育成,ヒューマンエラーの原因分析,事故後の謝罪会見など幅広い内容が取り上げられていました。
今回の受講をきっかけにグリーンシティ福岡でも日常の安全管理について以下の取り組むを行うことにしました。

1)保険内容の確認と見直し
 現在,イベントやボランティア活動の参加者を対象とした保険では,刃物を使った伐木作業に「グリーンボランティア保険」,それ以外の活動に「行事保険(年間の包括契約)」を掛けています。この行事保険の賠償責任部分の保険金額が十分でないと考えたため内容の見直しを行いました。加えてこれからはインバウンドによる訪日外国人の参加も考えられます。訪日外国人を対象とした際の保険適用範囲や保険金支払い時の懸念について確認を行いました。

2)ボランティアスタッフとの書面確認
 イベント時にご協力いただいているボランティアスタッフの皆さんにはとても感謝しています。一方で近年,参加者(特にお子さんとの)との接し方や写真撮影・SNSへの公開に関連するクレームやトラブルも耳にするようになりました。これまでボランティアスタッフの皆さんに活動内容や注意事項を説明する時は口頭のみがほとんどでしたが,イベント参加者,ボランティアスタッフ,グリーンシティ福岡それぞれの安全のために書面での確認を行うことにしました。

3)関連法規の再確認
 いわゆるコンプライアンス。私たちの活動では例えば,志賀島。その一部が国定公園なので「自然公園法」により伐木に福岡県の許可が必要な範囲があります。体験ツアーの送り迎えをしようと思った時は「旅行業法」に,応急手当ての時は「医師法」や「刑法(の傷害罪)」に抵触しないようにする必要があります。他にも「個人情報保護法」や「食品衛生法」など,これまでなんとなく知っているつもりだったものを,あらためて確認する必要があるなあと思った次第。毎月の月例ミーティングで一つずつ法律を取り上げて勉強していくことにしました。

安全管理は,指導者個人の技量に頼るのでなく,団体の仕組みや慣習にしていかないとなあ,と実感しています。

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安全管理のコラム 第26回「X線天文衛星ひとみのこと」 2018年2月

先日(2018年2月6日),スペースX社が世界最大の推力を持つロケット「ファルコンヘビー」を打ち上げました。その動画を見ながら,宇宙開発の安全管理やチェックリストってすごそうだなあ,と考えていたら,2年前のX線天文衛星「ひとみ」の事故のことを思い出しました。

X線天文衛星「ひとみ」は2016年2月17日に打ち上げられ,3月26日に異常回転により破壊,その後,運用が断念されました。いくつもの問題やミスが重なったらしく姿勢制御できなくなった「ひとみ」。約310億円をかけたプロジェクトは宇宙の塵になりました。

JAXAは事故調査報告書の中の「今後の対策」の一つに「事業実施体制を見直す」と挙げています。その中に「プロジェクト管理に責任を持つ者と,成果の創出に責任を持つ者を別々に設ける(要約)」という趣旨の文章がありました。

分野は違いますが野外活動や環境活動でも大切な考え方かもしれません。

前者は,お金の管理や物品の準備,時間管理,参加者の心身の状態などに目を配りながら,着実に活動を遂行することを目指す役割。とても重要な存在ですが,これだけだと無事に活動はできるものの,面白みや充実感に欠けたり,モチベーションが下がっていくこともあるかもしれません。

後者は,より大きな成果を出したり,多くの参加者やボランティアに喜んでもらうために,もうひと押し!とがんばる役割。イベントを大きくしたり,次々と新しいプログラムに挑戦したりすることで,実績や話題になって良い面がある一方,安全管理が十分できなくなることも考えられます。

なんとなく「堅実な番頭さんタイプ」と「イケイケのリーダータイプ」を想像していますが,両者が一緒にいることがよい活動を行なっていくために大切なんじゃないかと思った次第。
異なる視点からの意見が得られることは,安全管理の面でも幸福なことだと思います。

参考文献:
 MONOist「『ひとみ』はなぜ失われたのか(前編)」. http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1607/08/news018.html(2018.02.15.閲覧)
 sorae.jp「X線天文衛星「ひとみ」はなぜ失敗したか」. http://sorae.info/02/201_06_21_astroh.html(2018.02.15.閲覧)

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安全管理のコラム 第25回「着衣着火とSDR」 2018年1月

冬は焚き火によい季節。安全に気をつけて楽しみたいですね。

火を使う体験では着衣着火に気をつける必要があります。
着衣着火とは,着ている衣服に火が着いて燃え広がり火傷を負う事故のこと。40代以上の方は「おばあちゃんアイドル」として人気だった浦辺粂子(うらべ・くめこ)さんのことを思い出すかもしれません。朝,お湯を沸かそうとコンロに火をつけた際,和服の袂に火が移って火傷を負い,それが原因で亡くなられました。1989年のことです。また数学者でテレビにもよく出ていた森毅(もり・つよし)さんも,2009年にご自宅で料理中,着衣着火により火傷を負いました。その後の入院が長く続く中で亡くなられたそうです。


このように着衣着火は重度の火傷や死亡事故にもつながります。自宅で調理中の被災が多いようですが,屋外での焚き火も風にあおられたり誤って大きな火を作ってしまうことで着衣着火のリスクは高まります。

予防するには燃えにくい素材&作りの衣服を着ることが大事。起毛しているネルやフリースは空気を含んでいて火が広がりやすいので火を扱うには不向きです。袖や裾が広がっているものもうっかり火のそばに近づけてしまうことがあるので用心を。例えば,袖にファー素材がついた服で焚き火に薪をくべようとする人がいたら止めましょう,ということです(いないか…いや,いるかも?)。

万が一,衣服に火が移った時,あわてて走ってしまうとかえって風を起こして火が強くなります。その点でアメリカの子ども向け消防プログラムの一つ「Stop Drop and Roll(止まれ、倒れろ、転がれ)」は参考になります。まず,走らずに「止まれ」。そして「地面に倒れろ」。燃えているところを地面に押し付け,その上で「左右に転がれ」。顔を両手で覆って守りながら,衣服に着いた火を窒息消火させます。

倒れこむのは顔に火が上ってくることを防ぐ点でも意味があるでしょう。検証実験も行われていますが,回転速度は関係なく,体をなるべく地面と接触させるようにして転がるのが有効とのことです。

とは言えSDRはあくまで万が一の対応。そんな状況を起こさないことの方が大事です。
 ・風速計で風の強さを把握する
 ・周囲の可燃物から十分な距離をとる
 ・参加者に衣服についての情報提供や注意喚起を行う
 ・消火バケツを用意する
 ・着火剤としての落ち葉や紙類を入れすぎない
 ・火を必要以上に大きくしない
などを行いながら,焚き火を楽しみたいものです。

参考文献:
 ウィキペディア. https://ja.wikipedia.org/wiki/浦辺粂子(2017.12.31.閲覧)
 ウィキペディア. https://ja.wikipedia.org/wiki/森毅(2017.12.31.閲覧)
 埼玉西部消防組合「着衣着火をご存知ですか?」. http://www.saisei119.jp/19/yobou/000867.html(2017.12.31.閲覧)
 金子公平ほか(2013)ストップ、ドロップ アンド ロールに関する検証. 消防技術安全所報50:122-128.
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安全管理のコラム 第24回「枝や串のこと」 2017年12月

寒い冬の時期の焚き火はとても楽しいです。

マシュマロは焚き火で焼くとまるで別の食べもののようにおいしい。火傷にも注意ですが,マシュマロを焼く時などに使う枝や串といったものにも気をつけましょう,というお話です。

1999年7月に起きた「割り箸事故」は当時メディアに盛んに取り上げられました。東京都杉並区の盆踊り大会。綿菓子の割り箸を咥えていた4歳児が転んで喉に刺し,翌日,亡くなった事故です。社会的に注目されたのは,その後の刑事及び民事訴訟で救急で対応した医師の過失が問われたからでしょう。救急医療のあり方に大きな影響を与えたと言われています。

焚き火や野外調理などの場面でそのような事故が起きないようにしたい。
そのためにも,枝や串,箸などを口にくわえながらはもちろん,手に握ったまま走らないように声がけしています。未就学や小学校低学年の子どもたちは,一度や二度の注意で守れるとは限りませんので,その都度,声をかけることになります。

枝や串の形状としては,先端をむやみに鋭くしない方がいいでしょう。
また,長さについては転んだ時に手に持った棒がちょうど顔にあたる長さ(20cm30cm)よりは,60cmかそれ以上の長さの方が安全じゃないかと考えています(そもそもマシュマロ用だとしたら短いと熱すぎて使えませんけれど…)。枝や串を使い終わった後どうするか?置き場を決めたり,回収したりするのもポイントです。

口に運ぶものではありませんが,オリエンテーリングやクイズラリーなどで使う鉛筆やボールペンにもハラハラしています。記入用のシートとペンを手に,各自でフィールドを歩き回ってクイズに答えたりゴールを目指したりする体験です。楽しくなったり,焦ってきたら走り出してしまうのも無理ありません。スタート地点の説明で「ゆっくり近づいて探してね」と伝えたり,刺さりにくい筆記具にしたり,タイムや順位を競わないルールにしたり,といったことに気を配っています。

「割り箸 事故」などで検索すると,参考文献二つ目のような記事も見つかります。発生件数や頻度はわかりませんが,現実に起こりうる事故だと言えそうです。

参考文献:
 ウィキペディア,
 https://ja.wikipedia.org/wiki/杏林大病院割りばし死事件(2017.11.18.閲覧)
 ヘルスプレス,
 http://healthpress.jp/2017/03/post-2851.html(2017.12.07.閲覧)
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安全管理のコラム 第23回「保険使えるのかな?」 2017年11月

傷害保険で補償されるのは「急激」かつ「偶然」な「外来」の事故です。

と言っても具体的には事故の状況や保険の内容によって補償されたりされなかったりがあります。計画中の企画や活動が現在契約している保険の対象になるか自信が無い時は,代理店さんに確認しましょう,というお話。

グリーンシティ福岡で実際に問合せたのは以下のような事例です。

○問合せ内容:
  日帰りのトレッキングイベントを土日連続で開催することになった。参加者の
  一部は自主的に宿泊して両日とも参加することになり一泊二日のプログラムの
  ように見えかねないが,現在加入している傷害保険の対象となるか?
 代理店Aの回答:
  トレッキング自体は適用内だが宿泊を伴う場合は国内旅行保険の対象となり適
  用外。しかしこの場合は開会・閉会が明確なため個別のプログラム時間内とし
  て適用が可能。

○問合せ内容:
  これまでノコギリ等の刃物を使う森林ボランティアは別途,専用の保険に加入
  していたが,ナイフ等の小型の刃物を使ったクラフトイベントは日頃から加入
  している傷害保険の適用となるか?
 代理店Aの回答:
  切り出しナイフややすり類の使用は、現在加入している傷害保険の適用内。

○問合せ内容:
  有償ボランティアには「レクリエーション保険」が適用されない例があると聞
  いたが,現在加入している傷害保険は,謝金や交通費の支払いにより適用外に
  なることがあるか?
 代理店Aの回答:
  参加者名簿に記載があれば有償無償問わず適用内。
 代理店Bの回答:
  旅費は適用内。謝金や日当についても生計を立てられるほどと判断されなけれ
  ば適用内。

保険に関してはまだまだ勉強不足を実感しています。不確かな点があれば代理店さんに確認してみましょう。その内容は「問合せ日付」「問合せた人」「問合せ先(社名,電話番号orメール,担当者)」「問合せ内容」「代理店の回答」などを記録し,スタッフや関係者にメールで共有するとよいですね。

なお,上記の回答内容はあくまでグリーンシティ福岡が契約している保険に対する回答ですので,そのまま鵜呑みにせずに各自でご確認ください。
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安全管理のコラム 第22回「倒木・落枝による事故」 2017年10月

今年6月,熊本市内の県道を通行していた車に倒木が直撃し,運転中の男性が亡くなるという事故がありました。このような事故をくり返さないためにも,身近な緑の状況に目を配っておくことは大事と思います。

グリーンシティ福岡で収集した事故事例から倒木・落枝に関するものを見てみます。

〇2012年11月18日岐阜県大垣市。
 森林公園のイベントで間伐作業の説明を受けていた6歳女児の頭部に
 スギの落枝が当たり亡くなった事故。枝は長さ3.5m,重さ5.4kgで
 地上高22.8mの高さから落下しました。
 林内の活動であるのにヘルメット着用の指導が無かったこと,当日は
 強風が吹いていたことに加えて,森林の状態としても樹齢100年以上で
 「こぶ病」に罹った(=枝が落ちやすい)木が多かったことが事後調
 査で明らかになっています。

〇2014年は街中の倒木事故が目立ちました。
 2014年3月16日広島県三原市。三原市芸術文化センター敷地内の
 ポプラが突然倒れ,近くを歩いていた女性2人に直撃,お一人が亡くな
 りました。このポプラは樹齢50年,高さ15.7m。後の市議会での報告
 では,事故より7年以上前,施設の建て替えを契機にポプラ周囲に
 数十cmの盛り土が行われ,根の通気性が悪くなっていたことが指摘さ
 れています。
 同年4月14日には神奈川県川崎市の商業施設で街路樹のケヤキから枝が
 落下,下を歩いていた6歳女児が頭がい骨骨折の重傷を負いました。
 ケヤキは商業施設の開業にあわせて1978年に植えられたもので定期的
 な剪定は行われていなかったそうです。

〇2016年11月3日長野県信濃町。野尻湖畔で景色を楽しんでいた5人の
 男女にナラの木が倒れかかり,その内のお一人(80代女性)が亡くな
 った事故。倒れたナラは高さ約20m,樹齢は100年くらいとのこと。
 その後の調査報告を見つけられませんが,報道にある関係者の話では
 カシノナガキクイムシによる「ナラ枯れ」を起こしていた可能性がある
 ということでした。

〇そして2017年6月25日熊本県熊本市。
 県道沿いの樹林の中から木が倒れてきて通行中の車を直撃,車を運転
 していた30代男性が亡くなりました。倒木は長さ9m,幹周り1.7mと
 の報道。熊本地震とその後の大雨,また事故前日からの雨も影響したの
 ではと言われています。
 その後の詳報が見当たらないため,テレビ画面を通じた推測にとどまり
 ますが,長年手入れされなかったためほぼ竹林化した緑地で,そこに
 残った常緑樹(おそらくスダジイ)に腐朽が入って倒れてきていたよう
 に見えました。


いずれの例も太く立派な樹木だった様子。
個別の状況はそれぞれ違いますが,なんらかの病気に罹っていたり,長年手入れされていなかったり,不向きな環境で育って根や幹が腐ったりしています。倒木も落枝も自然の森では当たり前の出来事ですが,生活の場や余暇の場で事故や怪我が起こるのは防ぎたい。そのためにも身近な樹木や森林に危険がないか見る目を持っていたいと思います。

参考文献:
 石田仁(2013)林業体験中に発生したスギの落枝による死亡事故の原因と
  林分の特徴.日林誌95:275-279.
 アーカイブ「ポプラ倒木事故 通気悪化で腐敗」NHK NEWS WEB.
  http://archive.fo/vbiI9(2017.09.26.閲覧)

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安全管理のコラム第21回「エピペンのこと」 2017年9月

前回,蜂毒に対する応急処置として少しだけ触れたエピペン。

エピペンは,アナフィラキシーの症状に対して使用し,症状の進行を一時的に緩和する「アドレナリン自己注射薬」です。商品名は「エピネフリン・オートインジェクター」。日本ではファイザーが輸入・販売しています。
ケースから取り出して安全ピンをはずし,太ももの外側に強く押しつけると,中のバネの力で一定量の薬液(アドレナリン=エピネフリン)が注射される仕組みです。

エピペンは専門医の診断の上で「処方」されるもので,基本的に本人が自分に対して使用します。薬局で気軽に購入できるものではありませんし,持ってるからといって第三者に使ってよいものではありません。(医師や救急救命士のほか,食物アレルギーを持つ児童・生徒を想定して,保護者や学校の教職員等が処方を受けた本人に代わって打つことは認められています。)

とは言え,自然体験や森林ボランティアに関わる者としては,自身の蜂毒アレルギーの有無に関わらず,エピペンとそれを使う人のことを知っておくとよいと思います。

 ・蜂刺され等の結果,全身のじんましん,呼吸困難(息切れやゼーゼー),
  意識レベル低下,嘔吐などの症状が複数見られ,アナフィラキシーと
  判断される場合,速やかに救急車を要請する。
 ・本人にエピペンの有無を確認し,持っている場合は使用できるように補助する。
 ・エピペンが使用された場合,本数や時刻を記録しておき,救急隊や医療
  機関へ報告する。
 ・症状は急速に進行することが多いため,救急隊もしくは医療機関に引き継ぐ
  まで目を離さない。
 ・万が一,反応及び自発呼吸が失われた場合,胸骨圧迫やAED等の救命措置を行う。


エピペンの効果時間は注射後15分間程度です。打ったからもう安心というものではなく,医療機関につなげる時間を作ってくれるものと捉えるべきと思います。

(参考)いずれも2017.09.11.閲覧
 「アナフィラキシーってなあに?.jp」
  http://allergy72.jp/
 「エピペンを処方された患者さまとご家族のためのページ」
  http://www.epipen.jp/top.html
 「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」
  http://www.gakkohoken.jp/book/pdf/0100.pdf

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安全管理のコラム第20回「蜂刺されとアナフィラキシー」 2017年8月

そろそろスズメバチやアシナガバチの巣に働き蜂が増えてくる時。だんだん防衛本能が強くなって,野外活動をする人は用心したい季節になってきました。

政府統計で「スズメバチ,ジガバチ及びミツバチとの接触」を原因とする 亡くなった方の数は下記の通りです。
  平成25年 合計24人(男性19人/女性5人)
  平成26年 合計14人(男性  9人/女性5人)
  平成27年 合計23人(男性20人/女性3人)
原因は蜂毒自体ではなく「アナフィラキシーショック」でしょう。 アナフィラキシーとは短時間に全身に起こるアレルギー症状のこと。 蜂毒などの原因物質が体内に入って数分〜数時間で,じんましんやかゆみ,息切れ,嘔吐などが見られます。さらに呼吸困難や意識障害などの生死に関わる危険な状態になった場合を「アナフィラキシーショック」と呼びます。
一説には,2回以上蜂に刺された人の10%にアナフィラキシー症状が起こり, その中のさらに数%がアナフィラキシーショックに至る,ということだそう。根拠となる統計データが見つけられませんでしたが,経験的にそのくらいなのかもしれません。

野外活動で蜂刺されを防ぐには「長袖等で肌を守る」「明るい色の服を着る」「香水や整髪料を使わない」「蜂を見かけたら身を低くして静かに離れる」などが基本。運営者の立場であれば「現場下見をする」も必須です。
もし刺されてしまったら,
 ・姿勢を低くし,速やかに安全な場所に移動する。
 ・傷口を流水で洗う。
 ・(受傷者の判断で)抗ヒスタミン系軟膏を塗る。
 ・傷口を冷やして安静にする。
といった対応となりますが,この時に重要なのはアナフィラキシーの症状がないか目を離さずに観察することだと思います。

もし全身の腫れやじんましん,吐き気,めまい,息苦しさ,冷や汗などが見られたら,躊躇なく救急車を呼ぶべきと思います。また受傷者がエピペン(アドレナリン自己注射薬)を処方され持参しているのであれば,自分で太ももに注射してもらいます。蜂毒アレルギーの有無は医療機関で検査できますので,野外活動に関わる人は検査を受けておくとよいと思います。

(参考)いずれも2017.08.15.閲覧
 「都市のスズメバチ」http://www2u.biglobe.ne.jp/~vespa/menu.htm
 「アナフィラキシーってなあに?.jp」http://allergy72.jp/

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安全管理のコラム第19回「熱中症になりにくい身体」 2017年7月

博多では山笠が終わり,梅雨が明けました。
急に気温が上がるこの時期は熱中症に注意です。

熱中症とは4種の健康障害の総称です。
 ・体温を下げようと皮膚血管が拡張して脳の血流が減り起きる「熱失神」。
 ・水しか補給せず血中の塩分濃度が低下して起きる「熱けいれん」。
 ・汗をかいた分の水分補給が追いつかず脱水状態になる「熱疲労」。
 ・脳幹を含む深部体温が上がり中枢機能に異常が起きる「熱射病」。
熱中症による死亡者数は平成27年で968人。65歳以上が8割です。

こまめな休憩や水分・塩分補給が必要ということは当たり前になってきました。これら現場での対応に加えて大切なのは「熱中症になりにくい身体」をつくっておくこと。ポイントは「日頃の運動」だそう。

日頃,運動することで
 ・体温が上がりすぎる前に発汗をはじめる
 ・ダラダラ流れるのでなく気化熱を奪いやすいうっすらとした汗をかく
といった体温調節が上手な身体になるとのこと。
運動不足の身体はなかなか汗をかきはじめず,体温が高くなりがち。その後,一気に滝のように汗を流すために塩分を失いやすく,気化熱による体温調節も効きにくくなります。

日頃の運動で無理をしたら本末転倒ですが,比較的涼しい時間に,適度な運動を心がけたいものです。

(参考)いずれも2017.07.18.閲覧
「環境省 熱中症予防情報サイト」http://www.wbgt.env.go.jp/
「熱中症ゼロへ(日本気象協会)」https://www.netsuzero.jp/
「熱中症(wikipedia)」https://ja.wikipedia.org/wiki/熱中症
「熱中症からカラダを守ろう(大塚製薬)」https://www.otsuka.co.jp/health_illness/heatdisorder/

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安全管理のコラム第18回「ポイズンリムーバーを過信しない」 2017年6月

スズメバチへの備えとしてよく紹介される「ポイズンリムーバー」。

注射器を逆にしたような仕組みで毒を吸い出す器具です。
ポイズンリムーバーを勧めているサイトや書籍はたくさんありますが,その効果を示す試験結果や具体的なデータって,探してもなかなか見つかりません。

グリーンシティ福岡の救急セットにもポイズンリムーバーを入れていますが,これまでの活動でハチに刺されたことがないので現場での使用経験はナシ。練習を兼ねて「蚊」に食われた時に使ったりしますが,かゆみや腫れが早くおさまるような気もします。

一方で,救急医療の国際ガイドラインを発信する世界的権威とも言える団体「アメリカ心臓協会(American Heart Association)」と「アメリカ赤十字社」が作成した「ファーストエイドガイドライン」では,「ヘビの咬傷」に対する「吸引」は明確に否定されています。
"Do not apply suction as first aid for snakebites.”  "Suction does remove some venom, but the amount is very small. Suction has no clinical benefit and it may aggravate the injury.”
「ヘビの咬傷の応急処置として吸引は行わない。毒を吸い出しても量はわずかで,効果は無く,傷を悪化させる恐れもある。(志賀訳)」
本文は下記URLの "15:First Aid” から "8.9.1 Snakebites” を選択してください。
https://eccguidelines.heart.org/index.php/circulation/aha-red-cross-first-aid-guidelines/

上記ガイドラインを根拠に,ポイズンリムーバーを使わないように指導する救急講座や指導者もあります。(長崎のアウトドアマンMっさんに教えていただきました。ありがとうございました。)

ポイズンリムーバーをお持ちの団体や施設も多いですが,その効果を過信せず,
 ・事前の下見や服装の準備などでハチ刺されを未然に防ぐこと。
 ・刺された場合,現場からの移動,アナフィラキシーの症状がないかの観察,
  必要に応じ通報や搬送。
といった対策や対応を行うことが優先と思います。
その上で余裕があれば,受傷者の自己責任で,腫れや痛みを軽くするために使うもの,というくらいの認識がよいのではないでしょうか?

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安全管理のコラム第17回「ヘルメットの話題3つ」 2017年5月

1)「顔の保護シールド付きヘルメット」。

  予想以上にいいものですね!
  志賀島-海ノ中道サイクルツーリズム協議会さんとのご支援をいただく
  「しかボラ・サイクリストクリーンデイ」で初使用となりました。
  顔の怪我を予防するだけでなく、竹林内での安心感があり作業効率まで
  変わってきそうなくらい,と感じました。

2)子どもには子ども用ヘルメット。
  志賀が代表を務める「こうのす里山くらぶ」。特別緑地保全地区での
  活動に対し,この春,福岡市みどり運営課さんより子ども用ヘルメット
  10個のご支援をいただきました。ありがとうございました。
  管理放棄され密生して,枯れ木や落ち枝が心配な樹林が増えています。
  子どもの安全を守るために必要な保護具だと思います。

3)ヘルメットの耐用年数は3〜5年。材質によって異なります。
  これは法的な規制ではなく(一社)日本ヘルメット工業会が屋外暴露試験
  などをもとに定めた基準です。耐用年数を過ぎてもまだまだ使えそうに
  見えるヘルメット。処分するのは忍びないですが…お譲りするわけにもいかず…。
  グリーンシティ福岡で使っているのはABS樹脂製なので
  福岡市では「燃えるごみ」。FRP製だったら「燃えないごみ」となります。

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安全管理のコラム番外編「事故のご報告」 2017年4月

この冬の森林保全活動で1名が軽傷を負う事故が発生しました。
竹林での間伐作業中、掛かり木状態になった枯れ竹を処理していたところ

枯れ竹がはねて額を打ち擦過傷を負ったものです。

原因として、作業時に考えられるリスクの共有不足、保護具の不備が考えられました。

これを受け、グリーンシティ福岡では
 ・顔面を保護するシールド付きのヘルメットの整備
 ・竹林作業で考えられるリスクの図解資料作成とオリエン時の使用
を行うこととしました。

軽傷とは言え、当事者・関係者のみなさまにご迷惑をおかけすることになった点、
お詫びいたします。
今後、事故の大小に関わらず安心して活動ができる体制づくりと運営を心がけていきます。

安全管理のコラム第16回「事故の瞬間の動画」 2017年2月

youtubeなどの動画投稿サイトには,様々な事故の瞬間を撮影した動画がアップされています。

特に林業の現場は伐倒の様子を動画撮影していることがあるため,
事故の瞬間を捉えた動画もたくさんあります。


以下のURLは,林業関係者向けの技術講習を行っている知人が受講者に
よく見せている事故の動画(15秒)。
 https://www.youtube.com/watch?v=9OTL9TSyBbc
【注意】
 ・流血はありませんがビックリすると思います。
 ・関連動画には深刻な事故動画も一部あります。苦手な方は関連動画を
  見て回らない方がよいです。
情報が少なく,その後,この被災者がどうなったかはわかりません。
怪我が少しでも軽く済んでいるように祈ります。

この事故から私たちが学ぶことにはどんなものがあるでしょうか?
例として一つ挙げるとしたらハシゴを使った高所作業のリスク。
「転落」するリスクは想像しやすいのですが,
この動画では「逃げられないこと」の怖さがよくわかります。

森林ボランティア活動でハシゴ等を使った高所作業を行うことはあまりありません。
ですが地上での作業であっても,足元の整理整頓を心がける等して,
とっさの時に素早く回避できるようにしておくことが大切と感じました。
 ・逃げ道を確保しているか?
 ・足を引っ掛けるような枝が転がっていたりツルが出ていないか?
 ・周囲にナタやノコギリなどが地面に放ったらかしにされていないか?
などを常に意識したいものです。

他にも,このような動画から学ぶことができる点はいろいろあります。
スタッフやボランティア同士で観て,意見交換するのもよいと思います。

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安全管理のコラム第15回「傷害保険と賠償保険」 2017年1月

野外活動や体験プログラムを行う団体が加入する損害保険には、
「傷害保険」と「賠償保険」の2種類があります。
私(志賀)自身、保険について十分な知識を持っていませんでしたが、
数年前に町頭隆児さん(有限会社オフィステラ)の講義を受けてから、
ずいぶん意識が変わりました。
以下、町頭さんからの受け売りも多いですが、傷害保険と賠償保険の概要をまとめています。

傷害保険は、簡単に言えば事故で怪我をした人の治療費を補償する保険です。
 例)・トレッキング中に山道で転倒して骨折した。
   ・森林ボランティアで草刈り中にカマで手を切った。
傷害保険が適用される事故の定義には3つあります。
それは「急激」かつ「偶然」な「外来」の事故であるということ。
ゆっくり起きること、当然考えられる事態、自分でやったことによる怪我は適用外です。

その点で注意したいのは熱中症。
「急激」な事故とは言えないため、通常は適用外となります。
また、イベント時に単発で加入することが多い、
いわゆるレクリエーション保険は、刃物や動力による怪我が適用外だったりするので、
想定される怪我が保険の対象になるかどうか、
約款を確認したり、代理店に問い合わせることをお勧めします。

一方の賠償保険は、他人に損害を与えてしまい、賠償を求められたときに補償をする保険です。
 例)・炊き出しで豚汁をこぼして他人に火傷をさせた。
   ・森林保全活動で切り倒した木が近くの車を傷つけた。
   ・自分の子どもが棒を振り回して、別の子どもの目を負傷させた。
賠償保険は「偶然」な事故で「他人に損害」を与え「法律上の賠償責任」を負った場合に、
保険金が支払われます。野外活動や環境保全活動などでは、
自分自身による怪我だけでなく、他人に怪我をさせたり他人の財物に損害を
与えたりするリスクも考えられます。傷害保険だけで安心するのでなく、
賠償保険とセットで加入することが不可欠です。

2月14日には、保険の専門家である町頭隆児さん(有限会社オフィステラ)を
お招きしてのイベントを開催しました。ご興味ある方はブログをご覧ください。
2/14 第4回「ふくおか環境連絡会議」

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安全管理のコラム第14回「リスクアセスメントとKY活動」 2016年12月

野外活動やイベントでは、そこでどのようなリスクが考えられるのかを
洗い出し、その対策・対応を準備しておくことが大事です。

考えられる危険を事前に評価して備えることを「リスクアセスメント(=危険の評価)」と呼びます。
志賀が理事を務めるNPO法人日本環境保全ボランティアネットワーク
https://www.facebook.com/jcvn.net/)の研修でも重視しており、
時間を多めに割いています。

ごく簡単に説明すると、リスクアセスメントは以下のように進めます。
 1)計画している活動やイベントで考えられる「リスク」を全て書き出す。
 2)個々の「リスク」について「程度」「頻度」の両面から三段階評価する。
 3)個々の「リスク」で、起こさない「対策」と起きた時の「対応」を考える。
 4)「対策」と「対応」に基づいた行動(計画の変更、道具の準備など)を行う。
リスクアセスメントを行うと安全意識が高まり、目配り・気配りのポイントが
共有されるため、スタッフトレーニングとしても非常に効果的です。

似た取組みに「KY(危険予知)活動」があります。
進め方自体はよく似ていますが、以下のような違いがあります。
<リスクアセスメント>
  ○主催者や責任者、企画担当者が、
  ○活動・イベントの数週間〜数ヶ月前(企画・計画時)に、
  ○安全な企画・プログラム・体制づくりを行うために実施する。
<KY活動>
  ○当日のスタッフ全員が、
  ○活動・イベント実施の直前(当日の朝など)に、
  ○安全管理に関する情報共有や意識向上を行うために実施する。

自然学校やNPOでは組織が小規模なため、責任者や企画担当者と
当日のスタッフが同じで、あまり違いが無いということもあるでしょう。
大事なポイントは、
1)企画・計画段階で無理のない計画づくりや、事前にできる準備・
  体制づくりを行うこと(リスクアセスメント)
2)当日に、その日関わるスタッフ全員で安全に関する情報や
   思いを共有して活動にのぞむこと(KY活動)
というところにあると思います。


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安全管理のコラム第13回「スマホに天気予報」 2016年11月

   イベント実施の可否判断や雨具・装備の準備,参加者やボランティアさんの

体調管理などの点で天候予測及び判断はとても大切です。場数と経験を積んで
天気を読めるようになるのがよいと思いますが,最近のスマホの天気予報アプリも
これでなかなかスゴいです。

   天気予報アプリ,数年前に比べても格段に便利&精度向上したサービスが増えてますね。
オーソドックスですが,私は下記を使っています。特に「雨雲ズームレーダー」が便利です。
微妙な天気の中,森林ボランティアの作業をするときなど,雨雲の動きを見ながら
作業内容や休憩のタイミングを検討します。
<Yahoo!天気>
 iPhone https://goo.gl/AxJuY3 / Android https://goo.gl/FI1cTB

 同じように災害情報や地震・台風についての通知を受けるため防災速報も
  インストールしています。各種注意報や警報が出ているかどうかも把握して
  おきたいところ。活動現場の風雨だけで判断するのでなく,その地域に気象警報等
 が発表されていないか?が判断のポイント。参加者・ボランティアの行き帰りの安全
  のことも考えておきたいものです。
<Yahoo!防災速報>
 iPhone https://goo.gl/lHVu5u / Android https://goo.gl/GPnfCe

 暑い季節には熱中症についての情報収集も行います。ブラウザで活動地域の
 WBGT(熱さ指数)の情報提供ページをブックマークしておくとよいです。
  WBGTとは気温に湿度などを加味した熱中症予防のための指標。私は確認漏れ
 を防ぐ意味も込めて,5〜10月の間はWBGTの情報提供ページの「リンクアイコン」を
  ホーム画面に追加しています。
<環境省 熱中症予防情報サイト>
 http://www.wbgt.env.go.jp/

 でもホントに言いたいのは,スマホに頼りっぱなしになるのもマズかろう,
  ということ。雨雲レーダーと現場の風雨,WBGT値と実際に感じる暑さなど
  を比較しながら,「便利なツールも使うし身体でも覚える」というのがよい
  と思います。


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安全管理のコラム第12回「実際に救急セットを使った事例」 2016年10月

グリーンシティ福岡が運営したイベントの回数は平成26年度で93回、

平成27年度で63回。この内、約6割が野外での保全作業や観察会、ウォーク。
約4割が室内のワークショップや研修です。この中で、事故や怪我の対応のために
救急セットを開けたのは年に3〜5回。「ちょっと絆創膏ちょうだい」も含めてです。

事故が起きた場合、イベント後のふりかえりで発生の経緯や対応内容の記録、
補充する救急用品の確認を行います。実際に自分たちの現場で起きた事故・
怪我の対応事例を記録しておくのは大事なことですね。
参考として、こんな雰囲気です,という意味で4例挙げておきます。


1)近郊の低山での登山イベント。

  山頂で昼食をとった後の下山時、時刻は
  13:30頃。下り道の石に60代女性が足を滑らせ転倒、左上腕に10cm及び
  肘に5cm程度の擦り傷。泥汚れと血液を洗浄した結果,出血はごく少量、
  用意していた絆創膏より傷口が大きかった。そのため、滅菌ガーゼと包帯で
  傷口を保護して下山した。

2)坂道の多い住宅街でのウォーキングイベント。10:00の出発から約1時間後の
  休憩時、50代女性が膝痛を訴えた。膝まわりを保護するテーピングを行った。
  結果、痛みが軽減したとのことで、その後も様子を観察しつつ正午の終了まで
  ウォーキングを継続した。

3)室内の研修イベントにて、午前中の休憩時間に30代男性が足首をねんざ。
  足首を保護するテーピングを行った。結果、痛みが軽減したとのこと。
  イスに座った状態で研修を継続し、適宜,様子を確認した。

4)竹林の整備ボランティア中、目にごみ(竹のクズ?)が入った20代女性
  ボランティア。使い切りパッケージの目薬で洗浄した結果、異物感や痛みも
  無くなったため、作業を継続した。

事故や怪我は、なぜ起こしてしまったのか?ベストな対応だったか?など
悔やまれたり、正直,他の人に見せたくなかったりします。しかしスタッフ間で
きちんと共有することが、事故を減らし、対応能力を高めていくと思います。

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安全管理のコラム第11回「事故事例研究」 2016年9月

このコラムの第2回では「事故事例収集」を扱いました。
今回は収集した事故事例を使って短時間でできる研修のやり方。
事故事例の記事とA4紙を用意します。以下,進め方です。

 0)題材にする事故事例の記事を選んでおく。
 1)出席者それぞれで事故事例の記事を読込む。
 2)全部で三つの質問に個人で考えA4紙に記入します。
  2-1 事実:あなたが着目した事実は?
     記事から確実に言える事実を抜き出します。
  2-2 考え:それをどう思うor考えますか?
     その事実が起きた背景や理由を推測したり,
     事実に対する評価や考えを記入します。
  2-3 対策:あなたは何ができますか?
     その事故を起こさないためにできることを
     その理由とともに挙げていきます。
 3)
書き出したA4紙をもとに出席者同士でディスカッションする。

 4)対策の中で,自団体に取り入れ仕組み化できるものを選ぶ。

不幸にして起きてしまった事故ですが,そこから学び同じようなケガ人や
被害者を出さないようにしていくことが大切と思います。

第5回で扱った「ヒヤリハッと研究」と対になるような研修と思います。
ヒヤリハッと研究は,自団体で起きた事故やヒヤリとした事象を題材に
今後の安全管理に活かすもの。
事故事例研究は,他所で起きた事故を自団体で起きたとしたら?と想像し,
今後の安全管理に活かすもの。
安全管理の土台である「意識」を育てていくためにも効果的な研修です。


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安全管理のコラム第10回「朝の問診」 2016年8月

前回に引き続き、ウォーキングやトレッキング等での話題です。

長い距離を歩いたり低山の登山をする時、
集合時間に早く集まってくれた参加者から順にベンチに座ってor立ち話で
出発前の「問診」をしています。8項目ほどで、時間にして2〜3分間程。
項目はイベント内容や季節、フィールドによって変わります。例えば…
 「登山経験は?」○:月に数度〜 / △:年に数度  / ×:ほとんど無し
 「睡眠は十分?」○:普段通り  / △:少なめ   / ×:ほとんど無し
 「適した靴か?」○:登山靴など / △:日常の靴  / ×:不適な靴
 「飲み水は?」 ○:1L以上  / △:500ml以上  / ×:500ml未満
 「常備薬があるか?飲んだか?」や「既往症」などについて尋ねることも
あります。これらは個人情報やプライベートな内容でもありますので、
伺った内容について「当日のスタッフ以外には共有しないこと」「終了後、記録を破棄すること」
をお伝えします。

安全上、ガイドするのは20人以下のことが多いので、問診をすることによる
混雑はそれほどでもありません。しかし、スムーズに開始できるように
受付担当とは別に問診の担当者を設けておいた方がいいですね。

問診結果については、手早くスタッフのみで共有して出発します。
朝のあいさつや世間話を交えながら問診することは、
ガイドと参加者の信頼関係づくりやアイスブレイクにもなっていると感じます。
参加者側にも「今から出発するんだ」と気持ちを引き締める効果があると期待しています。

覚悟を持ちたいのは、
参加をおすすめできない(不適切な装備、重度の二日酔い、体調不良など)と判明した場合、
参加をお断りする勇気が必要になるということ。
スタッフ数に余裕があれば特別対応をすることもあるかもしれませんが、
全体の安全に関わる場合はお断りしなければならないでしょう。

宿泊を伴うキャンプであったり、よりリスクの高い活動(本格的な登山や海・川での体験)
であれば、事前の郵送・メール等でのやり取りで危険の告知や
個別の承諾をとるべきと思います。

問診は、より気軽で比較的リスクの小さい活動でのやり方と考えています。

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安全管理のコラム第9回「午前中の急激な運動」 2016年7月

グリーンシティ福岡は,
九州自然歩道の活性化を目指す「九州自然歩道フォーラム」の事務局団体です。
なので,ウォーキングやトレッキングのイベントも行います。
その際に気をつけていることの一つに「午前中の急激な運動」があります。

私たちのイベントに参加してくださるのは登山や運動に慣れた人ばかりではありません。
都市部での活動やイベントが多いと,日頃は運動してないけれど
自然にふれあいたいという方も多くいらっしゃいます。年代もさまざま。
特にそのような場合,午前中の急激な運動に気をつけるのは,
身体が暖まっていない状態で急に心臓に負荷をかけたくないから。

心配しているのは「心筋梗塞」です。


参加者自身の年齢や体調,運動習慣,病歴,前日の睡眠時間や飲酒,
当日の水分摂取量,ストレスや心配事など,参加者側が持つリスク要因があります。

が,一方で「初っぱなから(10分程度でも)急な坂道や神社の石段を登る」 というような
コース設定は,明らかに運営側のプログラムによるリスク要因です。

それを避けるためには,身体が暖まるまではゆるやかなコースにする,
もしくは坂道は半分程度のペースで登る,などのプログラム上もしくは運営上の
工夫が必要でしょう(登山に慣れた方にはじれったいかもですが…笑)。

書籍「ドキュメント・山の突然死(柏澄子/山と渓谷社)」などで,
実際の事故事例を知ることができます。
午前中や行動を開始した直後のリスクが 高いこと,
そして中高年の男性に多いことがわかります。

AEDなどの対処方法ももちろん大事ですが,
まずは予防,起こさないことに 力を注いでいきたいですね。


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安全管理のコラム第8回「安全についての世間話」 2016年6月

仕事柄、いろんな体験施設や公園、ボランティア団体などを訪問しますが、
雰囲気がゆるせば、管理者やスタッフに事故や怪我など安全についての
お話を聞いてみたりしています。

相手がイヤな気持ちになったり、ドキッとするかも、と心配なので、
重たくならないように気をつけながら。
例えば、
「いやぁ、この前うちで 観察会やった時スズメバチと出くわしちゃって…。
今年、こちらではスズメバチどうですか?」とか、
なるべく自分に起きた出来事を先にしゃべった上で尋ねるようにしています。
その後、
「これまでスズメバチの事故とかありました?」と詳しく訊くこともありますし、
ただ世間話を続ける場合もあります。

問題意識としてあるのは、ボランティア団体や指定管理者がいるような
大規模公園、キャンプ場、まちづくりイベントなどでの事故や怪我って、
(新聞沙汰にならない限り)あまり共有されないということです。
身内の事故や怪我って、あまり公表したくありませんしねぇ…。
言いたくないことを無理 に訊きほじるのはよくないことですが、施設や地域、
団体を超えて共有することで役立つ情報もたくさんあるように思っています。

反面、登山やカヤックなど比較的「ハード」な体験活動を楽しむ人の間では
安全管理に関する情報交換はとても盛んだと感じます(特に飲み会では!)。
ボランティアやまちづくりの分野でも、マジメかつオープンに
安全管理について意見交換や情報共有できる文化を作っていきたいです。

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