昆虫動画はじめました

生まれ育った福岡の地と、昆虫をべったり愛するスタッフ・伊東が身近な虫のカワイイ動画を作って、皆さんを「虫好き」にしていくコラムです。撮影は主に週末、同類の夫と野山に出かけ、色んな虫の変わった生き様を撮っています。

サトセナガアナバチ(2019年11月)

数年前、田仲義弘さんの『狩蜂生態図鑑―ハンティング行動』を読んでから、ずっと気になっていたハチに出会うことができました。
俗にいう”ゴキブリをゾンビ化して操るハチ”、サトセナガアナバチです。
この衝撃的な生態、世間では数年前に映画化された漫画『テラフォーマーズ』に登場した、海外に生息するエメラルドゴキブリバチで知られていることと思います。
実は同じ行動をするハチが日本にもいるんです。名前だけ見ると、日本の虫だから地味なんでしょ?と想像しちゃうかもしれませんが、サトセナガアナバチだっていうなればサファイアのように青く輝く美しいハチです。
私がまだOLをしていたころ、中央区にある某営業先の駐輪場で、このハチの後脚と腹部だけが転がっていたのを発見しました。拾い上げて日の光にかざすと、腹部は金属のようにピカピカ光り、鮮やかな赤い腿節とのコントラストにグッと心を掴まれました。いつか生きている個体を見つけてやるぞと思っていたら、10月に仕事で訪れたとある集会所で、当にゴキブリ(クロゴキブリ幼虫)を引っ張っている最中の姿が目に飛び込んできたのでした。

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普段、私が虫を探すとき、虫モードに切り替えてサーチするのですが、今回は仕事中だったため本当に不意打ちで、一瞬目の前のことが理解できていませんでした。
一拍置いて「えーーーーーーっ?!!」と大声をあげた、はず。あまりに興奮してよく覚えていませんが、居合わせたスタッフが若干ひきながら撮影する私を撮っていてくれました。感謝です。
(あ、これは仕事中ですが、移動前の片付け時間的なやつですので、あしからずご容赦ください)

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この後、夫へ連絡し、翌朝から撮影。このフットワーク軽い感じが夫婦で共通の趣味を持っていることの良さですね。生活の中で、大体”虫”に関することは順位高めです。
その後も何日か通い、結果200を超える動画ファイルができあがりました。実はここからが動画作品の大変なところ。どんなシーンがどんな画角で入っていて、ピントが合っているのは何秒から何秒の間なのかというリストを作らなければならないのです。その後、カットして繋いで色を合わせて、字幕をつけるのか動画で説明するのかなど試行錯誤を重ね、8時間収録したものが数分にまとまります。いやー
ということで、今回の撮影ではメスがゴキブリを運ぶところや、巣に連れて行ってフタをするところ、オスがちょっかいをかけてくるところなどのシーンが撮れていますが、運ぶところのみに絞ってまとめました。

今回、合計3日ほど粘って撮影しましたが、狩りをする大事なシーンが撮れませんでした。これは予想ですが、落ち葉を分けると丁度良いサイズのゴキブリの幼虫たちがわさわさ出てくるので、狩りはてっきりそこで行われるものと思いこんで、地面付近を注視していました。
ところが、撮影したハチは樹上から現れたのです。撮影中、私が夫に話しかけようと身を動かした時、間に丁度良いサイズのゴキブリの幼虫が空から落ちてきたこともありました。今思うと、あれはハチに追い詰められたゴキブリだったのではないでしょうか。来年は、樹上に目を見張ってリベンジしたいと思います。


しかし、3日粘って一度出会えたこんなシーンに、探しもせずに出会ってしまう私って”もってる人”です。虫活動に限ってですが。

カマバエ(2019年10月)

森に囲まれた静かな湖の畔。
水面に落ちた葉の上を、小さなハエたちが忙しく動き回っていました。
よ〜く見ると、その中にはカマキリのようなカマを持ったハエたちの姿が。
名前は「カマバエ」。多分、種としてはミナミカマバエなんだと思いますが、詳しくないの「カマバエ」としました。体長は5mm弱と小さく、すばしっこい虫です。
田んぼの畔など、湿った泥地があればどこにだっていると聞きましたが、なかなか見つけることができず、今回やっと撮影することができました。

カマだけでなく、不思議と顔や動きまでカマキリに似ているカマバエ。
狩りはじゃあどうなのか?と、まさしく動画向きな瞬間を待ちわびて3時間。
彼らはただウロウロしたり、掃除したりするだけで、一向にその瞬間を見せてはくれませんでした・・
これまた、来年の宿題です!

ヤツメカミキリ(2019年8月)

夏休み期間、グリーンシティのイベントでも昆虫関係のものが盛り沢山でしたが、私の所属する博多昆虫同好会でも、山の上でライトトラップをして観察会を行いました。ほんと虫三昧の夏。お腹いっぱい!あ、実は私、虫を食べることにも少し興味があるんですよ。以前、昆虫料理研究家の内山昭一先生が福岡でイベントをされた時に、アブラゼミの幼虫のアヒージョや、モンクロシャチホコの幼虫の塩煎り等をいただきました。この2品、とても美味しかったです。あれ以来、初夏、学校や公園の桜並木の下に、駆除されて転がっている無数のモンクロシャチホコ達を見ると、勿体ない気持ちになるようになりました。口に入れるとふんわりと桜の香りが鼻に抜けて良いんです。味というか風味を楽しむものですかね。

さて、大きく脱線してしまいましたが、今回は前述した同好会でのライトトラップ時、シーツに集まる虫達そっちのけで撮影していた「ヤツメカミキリ」の産卵シーンを作りました。シーツに虫はやってきてくれても、生態を見せてくれるわけではないのですが、今回はたまたま近くにあった桜の木に飛んできて産卵を始めた様子。周りには、虫も人もいっぱいいて賑やかだったのですが、彼女には関係無かったようです。

こうして産み付けられた卵は、孵化〜成虫になるまでずっとこの木の中で暮らします。
なので幼虫の姿は直接は見れませんが、木の中にいるかどうかを知るサインはあります。木の下に細長い木くずのようなものがまとまって落ちていないか探してみてください。落ちていたら幹を辿って、穴が開いているところを見つけてください。カミキリムシの幼虫はそこからその細長い糞を出しているのです。たまに木からショリショリ削るような音も聞こえてくることがあります。(これは私の実体験)

園芸本に幼虫の駆除は、ハリガネで刺殺すべしと書いてありました。ちょっとかわいそうだけど、それをそのまま炙って食べてみると良いかもしれません。食べられる昆虫の中ではトップクラスに美味しいそうですよ。

ニッポンハナダカバチ(2019年7月)

実は今回、最新作が前回の「シリアゲムシ」をさらに追って作った動画なので、ここでは過去作品を紹介しようと思います!
とはいえ、新しい「シリアゲムシ」にはズルいオスの登場など、前回には無かったシーンも撮れているので、
気になる方はYoutubeで是非ご覧ください!⇒「シリアゲムシの配偶行動

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およそ7月から限られた砂地で見られる狩り蜂「ニッポンハナダカバチ」は、全国的に数を減らしていて、環境省のレッドリストでも絶滅危惧U類、福岡県だとさらに上の絶滅危惧TA類とされている希少種です。
このハチの存在・生息場所は、私の尊敬する大先輩から伝えられ、「将来もしかしたらいなくなってしまうかもしれないので、是非動画で記録してください」というミッション(勝手にそう捉えている)のもと、とある海岸へ夫と通い続けて制作しました。完成はまだ先の作品ではありますが、自分で掘った巣穴を出て、狩りへ出掛けるシーンから、獲物を持って帰ってくるシーンまでを少しだけ切り出してまとめた作品をご覧ください!

ニッポンハナダカバチは空中で獲物のハエを捕らえるそうです。
その瞬間が撮れれば作品は完成するのですが、とんでもないスピードで飛ぶため難航しています。
完成は来年か?!

シリアゲムシ(2019年6月)

ブログを書こうとすると、前回からもう1か月も経つんだと毎回驚いています。
あ、毎回といいつつ、私のコラムはまだ3回目ですね。
毎月大体同じ頃に書くので個人的に1か月を振り返る良い機会ともなっています。
先月の今頃は南公園での「植物園里山ボランティア」で、咲き乱れる外来種ノハカタカラクサをみんなで抜いて駆除していました。来月また開催されるのですが、どんな影響が見て取れるのか楽しみです♪
「植物園里山ボランティア」は参加者募集中です。ご興味がおありの方は是非ご連絡ください!
過去の活動についてはGCFホームページ左側にある検索窓から「植物園里山」で検索検索ぅ!

 

さて、思いがけず事業の宣伝をしてしまいましたが、私のライフワーク、今月のむしむし動画をご紹介します。今回はその昔、本で読んでからずっと気になっていた「シリアゲムシの婚姻贈呈」について撮り収めました。当時、すぐに動画検索を掛けたもののヒットせず、私の中の「いつか生で見たいものリスト」に刻んでいたのですが、念願叶ってやっとその光景に出くわすことができました。

シリアゲムシとはその名の通り、お腹が上へ反り上がっていて、オスは先端にハサミのような器官を持っている虫です。まるでサソリのように。英名はScorpionflyというそうで納得。後半のflyは飛び方からでしょうか?それとも虫の死骸を食べるところから?
今回私が発見した時もオスが蛾の繭のようなものの中身を食べていました。
この虫は見た目の珍奇さもさることながら、「婚姻贈呈」といって交尾の時にオスがメスにエサをプレゼントすることで知られています。って文章で読んでも想像ができないので、動画をどうぞ!

シリアゲムシ自体は時期を選べば珍しい虫というわけでもありません。
(このシリアゲムシはヤマトシリアゲだと思っています。多分。)
ただ、自然下でこのタイミングに出くわし、すぐに撮影体制に入り、虫を逃がすことなく一部始終を撮り収めることは、週末虫屋の私たち夫婦にはなかなかの奇跡です。
私は発見して「撮ってー!」と一言夫に指図しただけですが、帰りにとらやミートセンターでちょっと良い肉を買って、自宅で撮れ高を確認しながら勝利の味を噛みしめました。虫っていいですね。

ゴイシシジミ(2019年5月)

早いもので入社してもうすぐ2か月です。
これまで初めて経験することがたくさんあって、中でもスプーンの木彫りに興味を持ち始めています。あ、でもノハカタカラクサの草木染めも楽しかったな〜。シュロの葉でも染めてみたいな〜。
ちょっと余裕ができてきて、楽しく日々を送っています。

 

さて、今回の虫ですが、ゴイシシジミを紹介します。
このシジミチョウの私が好きなポイントは、大きくて真っ黒な目に白くて太い脚、キュートな見た目に反して幼虫が肉食であるということです。幼虫はタケ・ササにつくアブラムシを捕食します。成虫もアブラムシが出す甘露のみ(多分)を吸って暮らしています。

g2-2.jpg上から葉の上に落ちてきたアブラムシの甘露を吸うゴイシシジミ(成虫)
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ササコナフキツノアブラムシのコロニーで見つけた幼虫(ササの葉裏)

薄暗い竹やぶが近くにあったら、葉っぱの裏に↑のようなアブラムシのコロニーが無いか探してみてください。コロニーの中にはもしかしたらゴイシジミの他にも、同様にアブラムシを食べるヒラタアブやカゲロウの幼虫が潜んでいるかもしれません。
また、今回動画に出てくるアブラムシはササコナフキツノアブラムシという種類で、外敵に対して攻撃を加える役割を担った兵隊アブラムシがいることで知られています。残念ながら、今回は映っていないようです。これまた宿題です。

ニホンミツバチ(2019年4月)

初めまして。新スタッフの伊東しおりです。
初めてなのにタイトルで「続?」とお思いの方、実は私、2018年1月のトークカフェ「びっくり!動画で見るふくおかの虫」で講師をさせていただいた伊東竜平の隣にいた妻です。コラムのタイトルは悩んだ末、「続」をくっつけてそのまま使ってしまいました。よく「大胆だね」と言われます。どうぞ宜しくお願い致します。


さて、早速ですが、今月の個人的ヒット。ニホンミツバチを紹介したいと思います。
ニホンミツバチは名前の通り、元々日本にいたミツバチです。よく似た虫に農家や養蜂家が仕入れて飼っているセイヨウミツバチというハチがいますが、地味〜な体色の方がニホンです。性格はとても温厚で、時期を選べば巣に近づいても攻撃しません。

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このニホンミツバチ、農薬等の影響で数を減らしているそうです。
何とか助けになってやりたい一心(+ハチミツの味が気になるちょっとの下心)で数年前に巣箱を作成し、入居してくれるのを待っていましたが、なんと今年、入ってくれました!私たちの仕掛けた箱の隣にあるS理事の箱に・・!

ということで、今回は巣の入り口にマクロレンズを突き付けて、花粉団子を脚に、蜜をお腹にたっぷり集めて帰ってくるハチ達と、これから出掛けるサッパリしたハチ達を大きく映した動画を作りました。

団子を貯めこむ後脚は、平べったくて何か仕組みを秘めているのでしょうね。出発前は大事な触覚を一度掃除して出ていくハチ達の姿も見られました。そんな慎重派になりたいものです。


ニホンミツバチの行動範囲は約2kmと言われていますが、天神の花壇でも見かけたことがあります。この地味〜なミツバチを見かけたなら、そこから2km圏内にニホンミツバチの巣があるのでしょう。私達の住む街にもこんな可愛らしいハチ達が賢明に命を繋いでいることを是非、みなさんも想像してみてください。