安全管理のコラム第33回「SHELモデル」2018年10月

事故やヒヤリハットの原因を分析する時に参考になる考え方の一つが「SHELモデル」です。
SHELは"Software(ソフトウェア)", "Hardware(ハードウェア)", "Environment(環境)", "Liveware(人)"の頭文字。その事故の背景や原因,つまりリスク要因にどんなものがあるのか,ソフトやハードなどいろんな側面から洗い出しましょうというお話。(SHELモデルにはSHELL→mSHELL→P-mSHELLといろんな発展・派生があります。)

例えば,子どもたちのキャンプ活動を例にリスク要因を挙げてみます。

「S:ソフトウェア」は活動内容やプログラムにあたります。「休憩を取らずに外遊びするスケジュール」は暑い時期だと熱中症の原因になりますし,「ナイフを使ったクラフト」は刃物に慣れてない子どもたちだと怪我のリスクを高めるでしょう。練習や指導の時間を十分とらなければなおさらです。

「H:ハードウェア」は使う道具や施設のこと。「古くて傷んだアスレチック遊具」は飛び出た金具やササクレでの怪我を起こすかもしれませんし,「適切なサイズのヘルメットがない」といったことが事故につながる場合もあります。

「E:環境」は周辺の状況や気候などのこと。「気温と湿度が高い」と熱中症のリスクが高まります。「滑りやすい斜面」が滑落や転倒,「車の往来」が交通事故,「スズメバチやかぶれる植物」による被害などもここに該当します。

「L:人」については,「指導者や先生」「事故の当事者(怪我をした子ども)」「周りにいた子どもたち」など,立場で分けた方がわかりやすいです。「指導者が活動内容をあまり理解していなかった」「当事者の健康状態が優れなかった」「周囲がふざけたり邪魔をして集中できない状況だった」などが「人」に関するリスク要因として考えられます。

私たちは気をぬくと事故の原因を単純化して考えてしまいがちです。例えば,熱中症の事故だったら「今年は例外的に暑かったから起きた」とか「指導者の目配りが足りなかったから起きた」とかです。
しかし実際の事故は背景や原因がいくつも重なって発生することがほとんど。熱中症を例にすれば「今年は例外的に暑かった上に(E),当事者が朝から体調が優れず(L),指導者が目配り不足な状態で(L),日陰のない芝生広場で(E),水筒を持参せず(H),屋外遊びを1時間以上した(S)」から起きたのかもしれません。

なにより,いろんな側面からリスク要因を洗い出すと,具体的な対策や改善行動を立案しやすくなります。事故原因を単純化してしまうと,対策が「根性論」や「お題目」になりやすいので注意しましょう。

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