第10回 少しずつ違って 少しずつ同じ (2019年3月)

かたつむりは多様です。
何せ日本だけで800種ものかたつむりがいるのです。
軟らかい体があって、ツノがあって、殻がある。
基本的なかたつむりの構成要素はみんな同じです。

そのなかに、殻の直径が5センチほどの大きなかたつむりもいれば、
おとなでも2ミリほどの小さなかたつむりもいます。
角ばった殻もあれば、とんがった殻もあります。
毛の生えた殻もあれば、殻の退化したなめくじだっています。

種ごとの違いだけではありません。
同じツクシマイマイという1種のかたつむりでも、個体ごとに違いがあります。

たとえば殻。
さまざまに異なる「色帯」と呼ばれる模様があります。
明るい白色の殻をもつものもいれば、殻全体が色濃く見えるものもいます。
みんな同じかたつむりなのに、少しずつ違うのです。

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生きものの多様性。 それは本来、グラデーションです。
本当は境界のない虹の色を、赤、橙、黄、緑、水色、青、紫の7色と
みなすように、種と種の違いは、それぞれ誰かが名前を付けたというだけ。
同じ黄色に無数の黄色があるように、種の内側にも、ときには種と種のあいだにも、
たくさんのバリエーションがあるのです。
そう思うと、生きものの多様さが、また違って見えてきます。

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最近は「多様性の時代」なんてことが言われています。
あまのじゃくな私は、多様性を強調されると、共通性も大切にしたくなります。
多様さを強調すればするほど、ヒトとかたつむりではなんだか天と地ほどに
かけ離れているように思えてしまいます。

でも、40億年もの途方もない時間をかけて多様化した生物は、どんなに離れた
種であっても、共通の祖先がいます。必ずどこかに、共通性があるのです。
共通性もまた、多様性と同じくらい、素敵なものではないでしょうか。
私たちはみんな、どこかで同じ要素を共有し、今を生きている生命体なのです。

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同じだけど、違う。
違うけれど、同じ。 「ヒトとかたつむりにも、意外と同じところがあるのでは?」
そんな想いを抱きながら、すぐそばにいる異なる相手のことを、もっともっと知りたい
と感じてしまう私です。