第11回 フンのはなし (2019年4月)

かたつむりの面白い特徴のひとつは、そのフンにあります。
飼育したことのある方ならきっとご存知かと思いますが、かたつむりは、
赤いトマトを食べれば赤いフンを、緑のホウレンソウを食べれば、緑色の
フンをします。
かたつむりは植物の色素を分解できないので、食べたものの色がそのまま
フンの色になるのです。

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一方、人間には、植物の色素は分解できるものでしょうか。
乳幼児が家にいると、うんちをじっくり目にすることがよくあります。
おむつ替えのとき、2才の息子にうんちの色を質問すると答えてくれます。
「えーっとねぇ……、ちょっとちゃいろで、ちょっとあかいろ!」 そして、
「あかいろはー、えーっとねぇ、にんじん!」
などと元気に教えてくれたりもします。 うんちに食べものの色が反映されるの
だから、かたつむり同様、人間も色素が分解できないのでしょうか。

いや、そんな実感に反して、人間は植物の色素を消化、吸収できます。
ただし、多くの色素は消化され、吸収されるか、尿として排出されますが、
一部は消化しきれずに残ります。まして乳幼児であれば消化管も未熟ですから、
色素どころか、食べたものがそのまま出てきたりもするのです。
だから、幼児のうんちには、食べたものの色が反映されるのでしょう。
出てくるものに、食べた物の色が反映される。
乳幼児とかたつむりの、ちょっとかわいい共通点だと思うのは、私だけでしょうか。

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ところで、かたつむりは色素を分解できない一方、植物の繊維(セルロース)は
消化して栄養にしています。本来、セルロースという成分は炭水化物に当たり、
エネルギーのかたまりです。しかし、人間は繊維まで消化することはできません。
かたつむりはセルラーゼというセルロースを分解する酵素を作ることができるので、
植物の葉っぱばかり食べていても、エネルギーが効率よく吸収できるのです。
かたつむりは植物ばかり食べて健康的な食生活に見えるかもしれませんが、
案外、炭水化物をたっぷりとっているのです。
米ばかり、パンばかり、麺ばかり食べている誰かと、案外似たようなものかもしれ
ません。

ちなみに、かたつむりのフンにはもう1つ、おもしろい特徴があります。
いつもフンがきれいに折りたたまれているのです。
手足のないかたつむりがどうやって折りたたんでいるのか、考えてみると
不思議ではありませんか。機会があればぜひ、観察してみてください。

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