市民の板書術(23)「やるかやらないか迷った時の『綱引き図』」2019.04.

「やるかやらないか」を話し合うことってあります。そんな時は,真ん中に縦線を1本引いて,片方に「やる理由や根拠」,もう片方に「やらない理由や根拠」を書く「綱引き図」が便利です。

例えば,長年続けてきた公民館の地域行事をどうするか議論になり,今年開催するかしないかを話し合うような時。真ん中に縦線を引き,左側に開催する理由や根拠,右側に開催しない理由や根拠を書いていきます(左右は逆でも構いません)。開催する理由として出てくるのは「交流の場として期待している住民がいる」「予算的にも大丈夫」「なくなるとさみしい」などかもしれません。開催しない理由には「事務局の負担が集中して大変」「若者の参加が減ってきた」「昨年,トラブルが発生した」などが考えられます。

また,仕事や協力の依頼をいただいて引き受けるかどうか話し合うような時。片方の引き受ける理由の枠には「人脈が広がる」「売り上げが期待される」「ちょっと好奇心,興味ある」など。反対側の引き受けない理由としては「時間や体力的に不安」「なんとなく気が進まない」などがありそう。
他にも「プロポーザル(提案競技)や助成金に申請するかしないか」「スタッフを募集するかしないか」「引っ越しするかしないか」など,0か1か,オンかオフかを話し合う時に向いた書き方です。工夫やコツとしては以下があります。

1)矢印で綱引きしている様子を表現
縦線から矢印を引っ張って理由や根拠を書くと,左右で綱引きしているように見えます。単に見栄えだけの話ですが,バカにできません。左右から引っ張られている様子,しかしどちらかに意思決定しなくてはいけない状況が視覚的に共有されるからです。きっと話し合いにも影響を与えます。また,重要な理由や根拠には長い矢印,それほど重要でない理由や根拠には短い矢印と使い分けて,その長さで強弱を表現するのもやり方です。

2)気持ちや感情も書く
板書全般に言えることですが,「なんかやってみたい」や「やめた方がいい気がする」といった個人的な気持ちや感情,肌感覚なども大切に書くとよいです。特に綱引き図を書く時は「やるかやらないか」を意思決定する場面が多いので,当事者のやる気や感情は重要。明確な言葉や論理になってないモヤモヤ・フワフワして見える内容でも,本音が現れていることは多いと思います。

3)理由や根拠を深掘りする
書き出した理由や根拠をそのままにしておくのでなく,「どうしてそう感じたの?」「具体例はある?」と深掘りして,外側に向けて書き足していくのも効果的です。最初の地域行事の例で,開催する理由として「期待している住民がいる」が挙がったら,「期待している住民がいるんですね?」と水を向け,より具体的な話を聞いてみる。開催しない理由として「若者の参加が減ってきた」が挙がったら,「どのくらい減ったかわかりますか?」など,その根拠や発言者が抱いている印象などを尋ねてみる,などです。

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やる・やらないの両方の理由や根拠,その具体例などを書き出していくことで,意思決定を行いやすくなります。悩むようだったら「これらの理由の中で,重視するものはなんですか?」と尋ねて,重視したい箇所をアンダーラインや赤マルで強調していくのも手。「綱引き図」はシンプルですが,使い勝手のよい図です。
ちなみに「A案,B案のどちらにするか?」という時は「対比図」が便利。見た目がそっくりですが,ちょっと違うので次回,取り上げたいと思います。