前回の「綱引き図」に似てますが,実は結構違うのが「対比図」。
二つ以上の案を比較して検討する時に向いた書き方です。

例えば,イベントの企画にA案とB案の二つがあり,どちらにしようか話し合う時。真ん中に縦線を引き,左側にA案についての意見,右側にB案についての意見を書いていくような図です。よくやるのが,片方に意見が出たら「それに対してこちらは?」と尋ねること。A案について「参加者がたくさん集まりそう」と意見があったら,それに対してB案は…?と尋ねます。出席者からは「リピーター中心で少なそう」とあるかもしれません。A案に「ゲスト謝金で若干予算オーバー」と出れば,B案に「予算に余裕がある」。A案が「新しい取り組みで少し心配」ということなら,B案「経験あり,落ち着いて実施できる」ということかもしれません。このように,対比させながら話を進めることをやりやすくする書き方です。

 判断基準や評価項目がある程度わかっている時は,あらかじめ項目を左端に項目を挙げておくのも手。罫線を引いて比較表や評価表のようにしてもよいです。例えばイベントの会場でA会場とB会場のどちらを選ぶか?という場合,「料金」や「広さ」「アクセス性」「会場の設備」などの項目を書いておきます。A会場の各欄には「会場費が安い」「アクセスはちょっと不便」「机と椅子が動かしにくい」など,B会場の各欄には「会場費は○万円」「駅に直結」「会場設営やりやすい」などの意見が入ってくると思います。

 あらかじめ項目を書いて表形式にしておくと,話がスピーディに進むので手早く決断したい時はオススメです。ただ,どうしても書かれた項目に従って考え,発言するので挙げられた項目以外の意見が出にくかったり,出席者の気持ちや感情を拾いにくくなる気はします。じっくり腰を据えて話をしたい時はあえて真ん中に縦線を引いただけのシンプルな対比図で,発言しやすいところから徐々に広げていくことも多いにありだと思います。

 表形式で進めたい場合は,下の方に「その他」か,自由な意見のための余白を空けておくとよいです。用意した項目以外の意見を受けとめる場所を作っておくということ。また,議題を選ぶかもしれませんが「個人的なオススメ度」「思い入れ」などの,出席者の好き嫌いや気持ちを尋ねる,やわらかい印象の項目を入れるのも機能するかもしれません。

 対比図で比較する対象は二つに限りません。三つ以上の場合もあります。「どちらにするか迷っている」「いくつかの候補から選びたい」という場面で対比図は効果的です。ちなみに「やるかやらないか決断する」場面での綱引き図との違いを対比図でまとめてみた図を挙げておきます。

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