市民の板書術(27)「目的と手段のカスケード」2019.10.

事業の目的や手段を整理したい時の書き方です。
「あれ?これなんのための事業だっけ?」となった時や「目的や方法をあらためて整理しよう」という話し合いで効果的です。

カスケードとは「滝」の意味ですが,大きな落差のある滝(fall)というより,小さな落差が連なって何段にもなって落ちているような滝(cascade)のこと。目的と手段の連なりはまるで小さな滝のようです。上から下に向かって枝分かれしたり,まとまったりしながらつながっています。

例えば,ある団体が自団体の会報の発行について目的から見直そうとしている場面。
真ん中に「会報の発行」と書くところからスタート。「目指す目的はなんですか?」「必要な手段はなんですか?」と尋ねながら,目的は上に向けて,手段は下に向けて書き足していきます。それぞれ丸で囲んで線で結ぶと見やすいですね。
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「会報の発行」の目的として,例えば「会員との情報共有」や「新規会員の獲得」などが出てくるかもしれません。目的が複数あることはよくあります。それぞれについて,さらにその目的を尋ねると「会員の継続」や「運営の協力を得ること」,「会員数・支援者数の増加」などが出てきそうです。さらに重ねてその目的を尋ねると「安定した団体運営」や「団体のミッションの達成」とだんだん大きな目的になっていきます。「○○な社会の実現」などのビジョンが出てくるかもしれません。「よりよい社会」とか「よく生きる」とか哲学っぽい領域に入ってきたら一旦終了です。
反対に「会報の発行」の手段には「取材と原稿執筆」や「寄稿のお願い」「編集・レイアウト」などが挙げられると思います。さらにそれぞれの手段として「パソコンやソフトの準備」「会員名簿の管理」「印刷費の準備」などが下に加えられそうです。手段については,具体的過ぎて当たり前に感じられる内容が出てきたら終了です。

こんな風に書き出すだけでもずいぶん頭が整理され,出席者間で事業目的やそれに至る手段の共有が進むと思います。すっきりするだけでなく,日頃の地道な作業が,確かに大きな目的につながっていると実感できるというのもよい点です。

ご覧の通り,目的と手段は相対的な関係です。「会報の発行」は「会員との情報共有」から見たら手段ですが,「取材と原稿執筆」から見たら目的です。ただ,業界や組織によっては「目的」や「手段」の語の示す範囲が定義されていることもあるのでご注意ください。

また,ほとんどの場合,目的と手段は一直線に並ぶことはなく,枝分かれしたりくっついたりします。これを図に書いていくと,たくさん枝分かれして見えにくくなったり,混乱してゴチャゴチャしてきますが気に病む必要はありません。むしろそれが実態を表しているとも言えるので,まずは「棚卸し」のつもりで出てくる意見を書き出してしまうことをお勧めします。その上で必要があれば,ペンの色を持ち替えて,どの目的や手段を重視するかなどの話し合いを行うとよいと思います。

カスケード状の書き方は,「目的と手段」をどういうものかと捉えているかが土台になっています。
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