第18回 かたつむりの居場所(2019年11月)

「かたつむりって、やっぱり減ってるんですか」よく聞かれることの1つです。
実際に「かたつむりを見なくなった」とおっしゃる方も少なくありません。

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大人は子どもに比べて目線が高かったり、自然に触れる機会が減る傾向にあるために、かたつむりを見なくなるという面があります。というのも、実際にはウスカワマイマイのように、都市部の花壇などの植え込みに、土に紛れて移動しながらあちこちで繁殖しているかたつむりもいるし、オオクビキレガイのように移入種として生息地を広げているかたつむりもいるからです。そんなわけで、一概に「かたつむりが減っている」とは言えません。

ただし、多くの種で、かたつむりが減少していることは事実でしょう。それは、生息環境、いわば「かたつむりの居場所」が、失われているからです。

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私の暮らすまちの周辺も、急速に土地開発が進んでいる印象です。8年前に暮らし始めた当初には残っていた草地や広場が、どんどん宅地や駐車場に置き換わっています。さみしく感じる一方、私が今住んでいる家だって、かつてはかたつむりが暮らしていた場所に建てられたのかもしれないと思うと、複雑な気持ちです。

以前はいつもかたつむりがいた場所でも、ある時からなぜか見なくなってしまったということがあります。それはもしかすると、殺虫剤や農薬によるものかもしれません。

人の暮らすまちでは、何でもない草地や何でもない林など、意味のあいまいな場は失われていくように思います。逆説的ですが、意味のあいまいな場にもちゃんと意味をつけていかないと、こうした流れには逆らえないのかもしれません。

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近所にある、舗装されていない、あじさいの植えられたこの細道が好きです。雨の日に歩くと、いつもかたつむりがいます。

私は遠回りしてここを通るのが好きです。かたつむりの居場所がなくなるということは、私の好きな場所も、なくなっていくということです。