市民の板書術(29)「焚き火と会議」2020.01.

冬は焚き火が楽しい季節。

バーベキューなどに使う木炭は煙が出にくかったり,安定して長時間燃えたりして便利です。けれど,枯れ枝や薪を使った焚き火には変化や味わいがあります。
そんな焚き火と会議はよく似ているなあ,と火を起こすたびに思います。


<技術よりも「どんな場所でやるか」が大事>
 焚き火は,火を起こしたり薪をくべたりする技術よりも,どんな場所でやるかが大事です。そもそも焚き火をしていい場所かどうか,ふさわしくない場所なこともあります。会議では,話し合いができるような環境か?場所やタイミングはふさわしいか?を考えて実施することが大事です。
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<風通しが決め手>
 酸素が無ければ木は燃えません。風向きや強さを考えて適度に風が通るように小枝や薪を組んで準備します。逆に風速が7mを超えると焚き火には危険な風の強さ。焚き火は中止です。会議だったらどうでしょう?文字通り,「組織の風通し」がよくなければ,自由な意見交換は起きにくい。また「他の出席者からの風当たり」が強ければやる気が削がれたり萎縮することもありそうです。ちょっとダジャレっぽいですけれど…。
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<いきなり太い薪には火がつかない>
 淡路のファシリテーター青木将幸さんも言っていたと思います。火を起こす時,最初は「火口(ほくち)」。スギの枯れ葉や松ぼっくりなど燃えやすいものに火をつけ,その後「焚きつけ」として枯れた小枝や細く割った薪を燃やします。その炎に炙りながら太い薪に火をつけて,ようやく焚き火の本格スタートです。会議でも,いきなり大きな本題から話すことは難しかったりします。前提の確認や情報共有,短時間で終わる議題などから始めるとうまくいくことが多いです。
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<3つで暖めあうと安定する>
 太い薪が1本だけだとなかなか燃えません。冷えてしまうためです。2本だとだいぶマシですがきびしいこともあります。同じくらいの薪が3本以上あるとお互いが熱を反射しあって火が安定します。1人だけが発言する会議はどんな感じでしょうか?2人だけでも…うーん?3人以上が発言すると意見に幅が出てきて活発な話し合いになります。
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<煙は不完全燃焼のサイン>
 焚き火からモクモクと白い煙が出てきたら,不完全燃焼です。酸素が足りないか,薪が乾いてなかったかで温度が十分に上がっていないということ。その煙の正体は薪から出てきた可燃性のガスと水蒸気です。目が痛くなってやっかいな煙ですが,本当は燃えるのに燃えることができなかったガスなので,空気を送り込んだり細かい焚きつけを加えたりするとうまく燃え始めます。もし仮に会議で「やっかいな意見」「場違いだと感じる意見」と感じることがあっても,燃えてないだけで可燃性のガスかもしれません。その意見が燃えるためには,なにをすればよいでしょうか?
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<いじりまわすと育たない>
 焚き火の前に火バサミやトングを持って座っていると,つい薪の向きを変えたり,風通しの穴を開けたりいじりまわしたくなります。けれど,ようやく薪同士が暖め合う関係ができたり,こちらから見えない位置が高温で燃焼したりしているのに,それを崩して冷やしてしまってはもったいない。太い薪に火が着いたら,時々薪を追加したり,燃え残った端切れを寄せたりする程度で十分。同じように,会議の進行役が出席者にこまめに介入し過ぎると,じっくり考えられなかったり,出席者同士の関係が育たなかったり,自らの発案ややる気が削がれたりするように思います。
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<後じまいが大事>
 焚き火に上から水をぶっかけて消火するのはまあまあ無粋です。基本はなるべく薪を燃やしきること。最後の太い薪が燃えきるまで,着火時と逆に中くらいの枝から細い枝へ,少しずつ加えながら火を小さくしていき,全てを灰にします。時間がない場合は,なるべく燃やした後,火消し壺などに入れて消火します。会議も前半ではいろんな意見が出てきて話題が広がっていきますが,後半ではそれらの意見を分類したり,選んだりして収束していきます。最終的には一つの結論にまとめて持ち帰ります。
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今回は技術論でなく例え話でした。
ファシリテーション修行として焚き火オススメです。