今朝,「日本の死者数が前年より1.5万人減 コロナ禍の「受診控え」が一因か」という記事を読みました。※「女性セブン(2021年2月18・25日号)」の記事が,BLOGOSに転載されているという理解でいいのかな?


「重要な事実」と「ムチャクチャな論旨」が一緒になってますね(笑)。

 

「重要な事実」は,2020年1月〜11月の国内の死者数が125万人で,前年同期比で約1万5000人減少したということ(厚労省の人口動態統計速報)。
「ムチャクチャな論旨」は,「病院に行かない方が死者は減る」という印象に誘導するためにあの手この手を使っていること,です。
「ムチャクチャな論旨」についてはソッと置いておくとして(笑),死者数の減少についてどんな理由や背景があるかなあ?と考えました。

大きな理由は,手洗いや消毒,マスク着用でインフルエンザが激減したことだろうなと思います。さらにそれから起きる肺炎なども減少しているでしょう。ちなみにインフルエンザの2014年〜2019年の平均患者総数は約68.5万人です。これに対して2020/2021シーズンのインフルエンザ患者数は1,000人に達しておらず,割合で言えば0.1%ちょっと。激減です。

また,外出が減って交通事故や屋外での事故が減ったということもあるかもしれません。例えば,警察庁の発表による2020年1月〜12月の交通事故死者数は2,839人で統計開始して最小。前年に比べて376人の減少で,はじめて3,000人を下回りました。ただ,交通事故はこの30年減少傾向ではあります。

他にもあるかもしれません。上記の記事のように「医療ミスや過剰医療が減少したから死者数が減った」というのは…全く関係ないと断言はできませんが,あったとしてもすごく小さいんじゃないかと思います。

「安全管理のコラム」的な視点からは,インフルエンザにしろ,交通事故にしろ,私たちは日頃からいろんなリスクを飲み込んで生活してるんだなあ,ということを思います。
手洗いやマスク着用をしたり,飲み会を控えればインフルエンザは激減する。けれど,多少のリスクがあるとは知っていながら,手洗いやマスクをしなかったり,飲み会を楽しんだりする。
年間,数千人の方が亡くなっていると知っているけれど,車は便利なのでそれに頼った社会で生活する。

全てのリスクを避けるのは不可能ですし,そんなことをしてたらなんの楽しみもはりあいも学びもない生活になりそうです。私たちは多かれ少なかれリスクを飲み込んで生活しているし,それらに対して適切な?ほどほどの?ふさわしいレベルの?備えをすることが大事なんだろうな,ということを考えました。