住宅地に近い緑地で里山保全活動の体験イベントを行った時の事例。

20名以下の予定で準備していたら当日30人以上の参加があった時,諸事情でその状態で実施することになりました。事故や怪我はなかったもののいくつも気になることが起きました。「適正な参加人数を守るのは大事だな」と反省したお話です。

 

<オリエンテーションが不十分になりがち>

趣旨の説明やスタッフの紹介,参加者属性の把握,作業内容と道具の使い方説明などのオリエンテーションがどうしても長くなります。そんな話はいいからさっさと作業に入りたいという人もいるので,進行役としてはつい話を短く割愛したくなってしまいます。最初から人数が多いことがわかっていれば,説明用のフリップや資料を用意したり,数名の作業グループに分かれた後に各グループリーダーから説明ができるように準備したりします。けれど,それらの準備ができていない時,オリエンテーションでの情報共有が不十分になりがちです。


<作業内容を縮小>

その体験イベントでは,ヘルメットをかぶり,それぞれがノコギリと剪定バサミを持って,枯れ木や枯れ枝の伐採・剪定,それらの枯れ木を使った土留め工,落ち葉やササ類の片付けなどを予定していました。参加者数が多く,リーダーの目が行き届かないと考えたので,もっとも事故のリスクが大きいと考えた立った枯れ木の伐採は行わないよう活動内容を変更しました。幸い(?)林内に散らばった枯れ木が大量にあったので体験イベントの作業量としては十分。ただし,体験内容としては若干単調になった印象はあります。


<予定していない作業が行われていた>

その一方で,リーダーの目が届かないところで参加者数名の判断で立った枯れ木の伐採が行われていました。結果的に事故は起きていませんが,リスクが高いと判断して取りやめた作業が知らない間に行われていたのは問題です。参加者数に対するリーダーの数が少なかったこともありますし,オリエンテーションでの理解が不十分だったということでもあります。


<ノコギリのケースを無くして探した>

事故も怪我もなく終了。しかし,道具を集めた段階でノコギリのケースが一つ足りず,裸のノコギリがポロンと残っていました。ケースだけ地面に放っぽりだして作業した後,ノコギリだけ持って帰ってきたのかもしれません。解散後スタッフで作業地近辺を探し回りました。けれど結局見つからず,仕方ないので捜索を切り上げ撤収しました。


<いや,ケースはあった>

事務所に戻って道具の最終的な手入れと片付けをしようとした時,探していたノコギリのケースに別の小さなノコギリが収まっているのを発見。ケースを無くしたわけではなかったことがわかりました。代わりにその別の小さなノコギリが収まっているはずのケースは,空っぽであったことに気づかずそのまま持って帰ってきていました。一言で言えば,現場での道具管理が杜撰になっていたということです。


他にも「参加者全員とコミュニケーションをとることができなかった」「作業の意図や趣旨が十分伝わってなさそうな参加者がいた」など気になる点がありました。それぞれ小さな出来事ですが,事故や怪我につながる入り口のようなもの。適正な参加者数を守ることが大事だとあらためて感じた出来事でした。

 

(追記)余談ですが,ボランティア活動に対してなんらかの評価を行う組織(行政や助成元,CSRに取り組む企業など)では,参加者数の大小を重視していることが普通です。しかし,人数が増えることのリスクやその対策コストについて具体的に想定できているところは少ないので,注意が必要です。

 

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