昨年2月の安全管理コラムで「日本の死者数が前年より1.5万人減」という記事を取り上げたのですが、今年2月に出たのは「国内死亡数が急増」というニュースでした。


「国内死亡数が急増、1〜3月3.8万人増 コロナ感染死の4倍」日本経済新聞. (2022.07.02.閲覧)https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA021SU0S2A600C2000000/

「21年の死者、戦後最多145万人 デルタ株流行が影響 厚労省速報」朝日新聞デジタル. (2022.07.02.閲覧)https://www.asahi.com/articles/ASQ2T54GBQ2TUTFL005.html

 

 日経は「急増」と書いてるし、朝日は「デルタ株の流行が影響した」と断言してます。ちょっと不安に感じますね。試しにグラフを作ってみました。厚労省の人口動態調査の数字です。

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 オレンジが死亡数(単位:万人)で左側の目盛り。青が前年との増減(単位:万人)で右側の目盛りです。

 

 はっきりわかるのはこの四半世紀ずっと増加傾向だということですね。高齢化が進むとはこういうことなのか…。

 

 日経に書かれている通り2020年に比べたら2021年は「急増」していますが、最近の傾向の中に収まっている気もします。朝日の「デルタ株流行が影響」というのは嘘ではなさそうですが、それが主因と読めるように書いてもいいのかどうか…ちょっと疑問。(2021年にデルタ株以外も含めた新型コロナ感染症で亡くなった方は1.5万人弱です)

 

 統計については素人ですが、前年との増減(青い棒グラフの上下)に何か意味を見出そうとするのは大変そう。一方、四半世紀のトレンド(オレンジ色の折れ線グラフの傾き)は明確ですね。確実にこれからの社会を考える手がかりの一つだと思います。

 話題になった書籍「FACTFULNESS」にあるように、事実を確かめたり、時系列に並べたり、他の対象と比べたりするのは大事ですね。安全管理にも必要な視点だと思います。