かたつむり的世界観 第2回(2018.7)

かたつむり大好きな私ですが、
私の学生時代の研究対象はかたつむりではなく、コウモリでした。
コウモリもまた、私の世界観を変えた生きものです。

コウモリは言わずと知れた夜行性の動物。
奥深い森林にも大都会にも、それぞれの環境に適応した種類が生息しています。

私が6歳頃まで住んでいたのは東京の住宅地。
夕方になると、どこからともなく現れて空を舞う、アブラコウモリというコウモリがいました。
主食である虫と間違えて近づいてくるので、小さな石を空に投げて遊んだことを覚えています。

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コウモリの魅力は、ヒトとは対照的な生活スタイルにあります。

▼昼間に寝て、夜に活動する
コウモリはヒトに気づかれにくい生きものです。
夕方から飛び始めるので薄暗い時間帯なら目に見えるのですが、
生きものに興味が無いと「ただの鳥」と思ってしまうかもしれません。

▼地上を歩かず、空を飛ぶ
ヒトは地上を歩く生きもの。
両眼を使って立体視のできる生きものではありますが、移動はあくまで平面的。
コウモリは翼を使って空を飛べるため、空間的な移動が可能です。
一方、地上を歩くのがとても苦手です。

▼目よりも耳で「見る」
ヒトは視覚に頼った生きもの。
一方コウモリは、視覚はあまり使っていません。
鼻と口からヒトの耳には聞こえない超音波を発して、反響した超音波を耳で知覚して、
周囲の環境を知覚するのです。

▼休むときはさかさま
コウモリは空を飛ぶため、体重が軽くなるように進化しています。
骨は細く、ヒザの関節はヒトとは逆向きになっていて、立ち上がることはできません。
あしの爪が発達しているので、壁などに爪を引っ掛けて、ぶら下がって休むのです。

▼でも、ヒトにけっこう近い
ヒトとは対照的な生活スタイルの一方で、近い部分もたくさんあります。
何より、ヒトと同じ哺乳類であることが大きいです。
鳥類とは異なり、赤ちゃんを産んで、母乳で育てます。
翼は羽根ではなく、よく見るとヒトと同じ5本指であることがわかります。

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さらに、アブラコウモリという市街地に適応したコウモリは、
人工建造物をねぐらとして利用します。
ヒトの暮らしと密接に関わっている生きものなのです。

<見えづらい夜空に、超音波を交わしながら暮らしている生命が、私たちのすぐそばにいる>
それがわかると、自分の見知っている世界が、世界のほんの一部に過ぎないんだと実感します。
同じ世界を共有する生きものは、きっとまだまだたくさんいるということも感じます。