かたつむりをさがしに、散歩に出てみませんか?
昨年秋の「ふくおかマイマイさがし」の実施期間は終わってしまいましたが、新型コロナウイルスの影響でイベントごとが中止になり、博物館なども閉まってしまい、家にこもってばかりで退屈な思いをしている方も多いのではないでしょうか。
そんな今こそ、外に散歩に出て、かたつむりを探してみましょう。

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●マイマイさがしの6つのポイント

1.住宅地や市街地にもいる「ふくおかマイマイさがし」でもっとも報告が多かった場所は、住宅地です。「近くでは見かけたことがない」という方も、意外と気づいていないだけで、探してみたらいるかもしれません。都会過ぎてかたつむりなんて見たことない!という方も、あきらめてはいけません。天神の中心部でも、花壇にはウスカワマイマイというかたつむりがいるんです。キセルガイという細長いかたつむりのなかまや、ナメクジのなかまは特によく見つかります。


2.自然のある神社や公園も公園はもちろん、神社には自然がそのまま残っていることが多く、ツクシマイマイやコベソマイマイなどの大型のかたつむりがよく見つかります。自然度が高いところは理想的ですが、都市公園でも、花壇などに隠れているかもしれません。


3.ブロック塀は要チェックカルシウムを補給するため、かたつむりは雨の日のブロック塀によく集まります。庭のある民家の周囲や、あじさいなどの緑の植えられた道沿いのブロック塀で見かけることが多いです。


4.ガードレールの食べあとチェックガードレール表面にはたくさんの藻類が生えていて、かたつむりやなめくじが食べた痕跡がよく目立ちます。食べあとを観察するだけでも楽しいですが、食べあとがあるということは、近くにいるのかも?!


5.朽ち木や石をめくってみよう雨の日なら見つかりやすいですが、晴れているときなどは、何も見つからないかもしれません。そんなときは、いろいろめくってみましょう。朽ち木や石などをめくると、かたつむりやナメクジが隠れています。キセルガイなどもよくいます。


6.今なら卵もあるかも今の時期なら卵もあるかもしれません。ナメクジの卵は透明で、かたつむりの卵は白い殻があります。直径3〜5ミリくらいのまんまるの卵が、数十個まとまっています。

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●見つかったらやってみよう

1.その場で観察見つかったら、その場で観察するのが基本です。殻から出てこないようなら、霧吹きなどで湿らせてましょう。そのまま気長に待っていると、顔を出してくれるかもしれません。(顔を出さなくても、おこらないでね)

透明の下敷きなどがあれば、乗せてみるのもオススメです。おなか側から見て、もぐもぐしている口を見たり、どうやって移動しているのか観察したりすると楽しいです。


2.調べてみる『カタツムリハンドブック』(後述)などを見て、種類を調べてみてもいいですね。カタツムリはとても種類が多く、同じ種でも変異が大きいので、判別はけっこう難しいかも?


3.飼ってみる飼育ケースにキッチンペーパーなどを敷いて、霧吹きなどで湿らせます。エサは野菜くず。いろいろあげてみて、何をよく食べるか調べてみましょう。キノコも食べるかも?また、殻の栄養となるカルシウムも必要なので、卵の殻やカトルボーン(イカの甲)を忘れずに。
耳を澄ますと、野菜を食べている音も聞こえてくる……かも?かたつむりのフンの色は、食べたものの色がそのまま出てきます。掃除は、なるべくこまめにするようにしましょう。

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●オススメかたつむり本
4つかたつむりに関するオススメの本を紹介します。

1.武田晋一・西浩孝『カタツムリハンドブック』(文一総合出版)数少ないかたつむり専門の図鑑です。しかも、標本写真ではなく、生体の写真を使っているので、体全体の様子がわかって良いです。これに載っていないかたつむりも多いですが、まずは入門書としておすすめです。

2.いとうせつこ・島津和子『あかちゃんかたつむりのおうち』(福音館書店)幼児にオススメなのは、こちらの絵本。かたつむりの糞のことや、成長の仕方がかわいくておもしろいです。

3.エリザベス・トーヴァ・ベイリー『カタツムリが食べる音』(飛鳥新社)こちらは大人向け。難病に苦しむ筆者が、かたつむりに出会い、絆を深めていくノンフィクションです。

4.野島智司『カタツムリの謎』(誠文堂新光社)最後に、拙著です!カタツムリの生態をさまざまな角度から紹介しています。すべての漢字にはふりがながついています。

●注意点
最後に一点だけ。かたつむりには、広東住血線虫という寄生虫がいることがあります。アフリカマイマイという外来種とナメクジ、スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)では特に注意が必要です。かたつむりに触れた後は、顔などに触れないようにして、石けんでよく手を洗いましょう。(新型コロナ対策と、おなじですね)