ムシャクロツバメシジミ(2020年8月)

2016年11月。
とある場所にて同好会のメンバーでチョウのルートセンサスを行っていた時のこと。
事件が起きました。

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当時、毎月同じルートを歩いて見かけたチョウの種類、数を記録する活動を半年ほど続けていました。
山が近いこの場所では、普通種ながら幅広い種類のチョウが確認でき、ホッとする楽しみとなっていました。
毎回メンバーは少し変わるのですが、この時は同好会会長と夫と私の3人。
雑談しながら目に入ったチョウを表に記録していきます。

この時驚くのがチョウ屋さん達の匠の技。飛ぶチョウを見て、捕まえなくとも羽ばたき・飛ぶ高さ・行動・翅の形などで種名を言い当てていきます(確認するよ)。フィールドでしか体得できないスキルですね。かっこいい。因みに私はシジミチョウの仲間がさっぱりで、ヤマト、ルリ、ヤクルリ、サツマで「こんなん捕らんとわからんわ」と横で愚痴るレベルです。

ルートの折返し地点についた時、柵に1頭のシジミチョウがとまっていました。
ヤマトかな?と特に気にせず通過する私に対し、慎重に写真を撮ってプレビュー画像を確認し、訝し気な様子を見せる会長。「これはおかしい」「ひょっとしたら」なんてことを言いながら、「一応とっとこ」と網を振っていました。

帰宅後、会長から連絡があり、あの1頭のシジミチョウが名古屋で問題になっていた外来種「ムシャクロツバメシジミ」だと知りました。
これが福岡でのムシャクロツバメシジミ発見例第1号です。
新聞記事にもなりました(
 「外来種チョウを福岡で発見 ムシャクロツバメシジミ 園芸植物の輸入で侵入?」西日本新聞ニュース)。
この後、周囲に情報が流れると各地で次々と発見されていきました。

自分の慣れたフィールドならば、判別できない虫を見つけたときも図鑑や経験からの予備知識で、ある程度選択肢が浮かびます。この時も私は”ここにいるはずがないもの”については頭から除外し、ヤマトかな?とそれに注目する体力・気力・時間を省くことを選択していました。こう整理して書くとこれは怠慢ですね(この調査はカジュアルな感じ)。

この事件は私に大きな衝撃を与えました。
変化していく気候、人の活動が与える影響で、自然環境はどんどん変化していっています。その大きな動きの中で、自分の身近な場所も変わっていっている可能性があること、それを心にとめながら自然を見つめるようになりました。私のような地域の自然愛好家こそ、情報を入れ意識しておく必要性があるように感じています。

ムシャクロツバメシジミは2016年以降、住宅街にある私の家のプランター、イベントで訪れた保育園の花壇などで毎年見かけています。つい先日も近所の病院の花壇で目にしたばかり。
小さな黒っぽいシジミチョウを見かけたら、よ〜く見てみてください。


「ムシャクロツバメシジミ・成虫」 

 

「ムシャクロツバメシジミ・幼虫」