4歳の息子は古代生物が大好きです。なかでも好きなのは、恐竜に代表される中生代の恐竜や翼竜、海竜たち。
ティラノサウルスをはじめ、トリケラトプスにイグアノドン、プテラノドンにモササウルス。そんな古代生物たちが生きていた時代、かたつむりはどんな暮らしをしていたのでしょうか。

 

近年、ミャンマー北部で産出される琥珀の中から多くの生物化石が発見されています。そのうちの1つが、かたつむり。2019年には約1億年前のかたつむりの化石が発見されました。1億年前というと、中生代の白亜紀。まさにティラノサウルスやトリケラトプスと、同時代です。 
かたつむりと言ってもツノが4本のタイプではなく、現代のヤマタニシのようにツノが2本で、ツノの付け根に目があるタイプのかたつむりだったようです。直径約6.6ミリで、殻の表面は毛で覆われていたというので、写真のツシマケマイマイ(現生種)を小さくして、毛をもっと細かくしたような感じでしょうか。

ツシマケマイマイ.jpg

ツシマケマイマイ

殻に毛が生えたかたつむりは現代にも多くいますが、毛のある理由ははっきりしません。白亜紀にもそんなかたつむりがいたというのは、殻に毛が生える理由を考える上でヒントになりそうです。水分を集める助けになるとか、高いところから落ちたときのクッションになるなど、いろんな仮説が考えられています。 白亜紀は花をつける被子植物が誕生した時代に当たり、かたつむりもやわらかい葉をもつ被子植物を好んで食べていたのかもしれません。大きな恐竜たちが闊歩する世界の片隅で、かたつむりたちが静かに勢力を広げていたと考えると、なんだかわくわくします。

 

現在でも世界で3万5千種もの多様な種類が発見されているかたつむり。当時だって相当多くの種類がいたと考えられます。そのころのかたつむりは、どんな種類がいて、どんな生活をしていたのでしょうか。 
小型の恐竜に食べられたものもいたかもしれません。いや、恐竜のような大型の生物よりは、当時の大きな昆虫に食べられることの方が多そうですね。そして、恐竜が絶滅するのが6600万年前ごろですから、そのときの隕石衝突による環境変化が、かたつむりにどう影響したのかも気になります。もしかしたらヤマタニシタイプのかたつむりが今よりもずっと多様だったのに、ほとんどが絶滅してしまった…ということもあるかもしれません。 さらには、殻のないナメクジに至っては化石に残りそうもありません。もしかしたら、恐竜並みの巨大なナメクジがいた…なんてことは、さすがにないでしょうか。

想像はいくらでも広がりそうです。 
化石って、詩のようなおもしろさがあります。言葉というものは物事の意味を限定し、空想の余地をなくしてしまいそうなものなのに、詩の言葉は、自由な想像を大きく広げる手がかりになります。 同じように、化石という確かな証拠から、自由に想像を広げてみるのも良いものです。


参考URLhttps://www.afpbb.com/articles/-/3249446