シースルーと言えば、透ける素材を使った人間界のファッション。かたつむりの世界でも、そんなシースルーはとっても重要です。
かたつむりの殻は海の貝類に比べるとだいぶ地味ですが、よく見るとおもしろい模様をしたものがいます。
なかでも私が好きなのは、コベソマイマイの独特の模様です。

こちらは成長途中のまだ若いコベソマイマイ。よーく見ると、黒い斑点状の模様が万華鏡のようできれいだと思いませんか。
じつは、この模様は殻の模様ではなく、殻の中に入ったからだ(軟体部)の模様が透けて見えているんです。つまり、シースルー。
その証拠に、死んでしまって軟体部がなくなると、殻はこんな感じです。

全然違いますよね。ちょっと薄く黒っぽく見えるのは、内部の汚れです…。
初めて死んだ殻を見たときには、コベソマイマイとはわからなかったくらいです。
かたつむりのような陸の貝は、海の貝に比べて薄くて軽く、しばしばシースルーになっています。
陸の貝は水中のような浮力がなく、殻が分厚いと重たくて、移動するのがたいへんです。そのため、殻が薄くなり、シースルーが多くなったと考えられます。
模様のみならず、軟体部の色がシースルーになっているかたつむりもいます。
コハクオナジマイマイは、体内に蓄積したビタミンB2によって、中心部が蛍光のレモン色に見えるという特徴があります。

紫外線から身を守るためにビタミンB2を蓄積しているのではないかと考えられています。
こうしたシースルー殻の良さは、生きたかたつむりでないと楽しめません。
生きものはやっぱり、生きている姿がいいなぁ。