以前も書いたような気がしますが、数年前、家の近くのナメクジを観察していて驚いたことがあります。
ナメクジが生きたアブラムシを丸のみしていたのです。
そのとき撮影した動画はこちら。苦手な人は閲覧注意です。
カラスノエンドウについているアブラムシを、まるごと飲み込んでいる様子がわかるでしょうか。
飲み込んだアブラムシが頭部から透けて見えています。アブラムシの踊り食い状態…。
調べてみると、Fox&Landis(1973)もナメクジが生きたままアブラムシを食べていたという報告をしています。植物の汁を吸ったアブラムシは、ナメクジにとっては絶好の獲物なのかもしれません。
ちなみに、このナメクジはチャコウラナメクジというナメクジ。市街地でもっともよく見かけるナメクジです。
ヨーロッパ原産の外来種ですが、本州以南の日本各地、さらには汎世界的に分布しています。
日本では最初は1950年代後半に米軍の物資に紛れて侵入し、それが広がったと考えられています。
これだけ市街地に多く生息しているのは、比較的乾燥に強いことに加え、食性が広いというのがあるのでしょう。

チャコウラナメクジは、市街地にいる代表的なナメクジであるがゆえ、嫌われ者でもあります。
ですが、赤ちゃんはとってもかわいいんです。(詳しくは、第15回「赤ちゃんはかわいい」)
そこで、私が特にチャコウラナメクジを好きになってしまった瞬間をご紹介します。
チャコウラナメクジが卵から孵化する映像です。
3分ほどありますが、2:00から2:30あたりが見どころです。※BGMあり
実はこれ、孵化するのではなく「やっぱりやめた」と言わんばかりに、孵化の途中で卵に戻ってしまう瞬間なんです。撮影しながらキュンとしました。
ナメクジが「殻に戻る」だなんて、やっぱり彼らもかたつむりの仲間なんだなぁ。
動画集と言いつつ2つだけでしたが、どちらも私にとっては衝撃映像なのでした。
【参考】
Fox, L. and Landis, B.J.(1973) Notes on the predacious habits of the gray field slug, Deroceras Laeve.
Environmental Entomology 2, 306-307.
「チャコウラナメクジ / 国立環境研究所 侵入生物DB」(2021年5月18日閲覧)https://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/DB/detail/70390.html