2月に入りました。福岡地域でも明後日(2025年2月5日)から数日間、最低気温が氷点下になる予報が出ています。厳しい冬山まではないものの日常的な寒さで体温が奪われ、思わぬリスクにつながることもあります。野外活動中に起こりうる「低体温症」について整理しました。

 

 低体温症というと、吹雪の中の登山や冬の海での事故のイメージですが、身近でも発生することがあります。例えば寒風の中での長時間の作業、濡れた服のまま過ごすこと、栄養(カロリー)補給が不足することなどで、体が芯から冷えてしまったり…。今週は特に冷え込みが厳しくなる予報が出ているため、より意識して対策したいところです。

 

 低体温症が発生しやすい場面について、気温が低いのはもちろんですが、加えて「濡れ」「風」「栄養不足」「活動終了後」などの条件が重なると、注意が必要です。

 

① 雨や汗で服が濡れたまま過ごす
 雨に打たれたり、湿った草の上に座って服が濡れたり。また、厚着をして野外を歩いて汗をかき衣服が湿る、などの場面。先日はアカガエルの産卵場所やベンケイガニの棲息場所として湿地の手入れをしましたが、長靴や胴長をはいていると寒くても結構な汗をかいてしまい、そこから冷えることがあります。

② 風が強い場所に長時間いる
 強い風は体感温度を大きく下げます。一般に風速1m/sで体感温度が1℃下がると言われます(実際は湿度や日差しでも変わります)。特に、広場や海ぎわ、川沿いなどは風が吹き抜けるので、知らず知らずのうちに体が冷えます。休憩中に体温が下がることも多いので、下見で風を避ける場所を見つけておくことが大切です。

③ 栄養(カロリー)補給が足りていない
 人体は食事で得た栄養(カロリー)から熱を生み出します。活動中にお腹が空いていると体温維持が難しくなります。寒くてお腹まで空いてるとなおさらひもじいですね。朝ごはんをしっかり食べたり、おやつをとれるようにしておきたいところ。加えて、気温が低いと発汗量は減りますが、呼気から水分が失われるため、実は脱水が起こりやすくなります。温かい飲み物をとるのが効果的です。

④ 活動終了後の「急な冷え」
 保全作業やウォーキングなどで体を動かしているときは寒さを感じにくいですが、休憩や活動終了後に急激に冷えることがあります。汗をかいた状態で急に止まると一気に体温が下がるためです。寒い時期は、活動が終わった後、防寒着を着たり、風の当たらない場所に移動したりすることで冷えを防ぐことができます。

 

ということで、野外活動を企画・運営する立場としては、

 ・気温や雨の動向をチェックしておく

 ・事前に風をさけられる場所を見つけておく

 ・活動時間が長い場合、おやつや温かいお茶が飲める休憩をとる

 ・休憩時や活動後の防寒を呼びかける

 ・気温や参加者の状況に応じて、プログラム時間を短縮する

などが気をつけたいポイントだと思います。

 

加えて、グリーンシティ福岡では、寒い時期、携帯カイロ(貼るタイプ、貼らないタイプ)を救急セットと一緒に準備します。建物や休憩場所から遠い活動地であれば、通称「NASA的なアレ」と呼んでいる、表が金色、裏が銀色のアルミ製シート(エマージェンシーブランケット:体温を保持するのに役立つ)もいくつか持っていくことがあります。

 

 雪国に比べたらマイルドな気候かもしれませんが、ここ福岡でも低体温症に気をつけて、寒い時期でも森や自然を楽しめたらと思います。

 

 

 

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