昆虫動画はじめました
生まれ育った福岡の地と、昆虫をべったり愛するスタッフ・伊東が身近な虫のカワイイ動画を作って、皆さんを「虫好き」にしていくコラムです。撮影は主に週末、同類の夫と野山に出かけ、色んな虫の変わった生き様を撮っています。
生まれ育った福岡の地と、昆虫をべったり愛するスタッフ・伊東が身近な虫のカワイイ動画を作って、皆さんを「虫好き」にしていくコラムです。撮影は主に週末、同類の夫と野山に出かけ、色んな虫の変わった生き様を撮っています。
県内でアブラギリの群落を見つけたのは昨年6月。
ここでなら、憧れのオオキンカメムシ達の暮らしを観察することができるかもしれない!そう思って夫婦で通い続け、8月の終わり頃まで暑さ厳しい時期に産卵から孵化、成長していく幼虫達の姿、成虫の旅立ちまでを撮り収めることができました!
はじめに気になったのは幼虫達のお尻から出ている長い管。
お尻から伸びているのかと思いきや、なんと長い口吻がはみ出しているのでした。
吸汁するときは、この中からもっと細い口針という器官が出てきます。
幼虫達が吸うアブラギリの実を割ってみたらこんな感じでした。
中の種の部分を吸っているのでしょうか。
前作で周囲から好評をいただくことができ、気をよくした夫が立体展翅標本動画のパート2を作りました!
今回はこれまで作ってきた様々な種類の昆虫達が登場します。
コノハチョウの宇宙のような翅の輝き!
迫力満点のシロスジカミキリの顔面!
タマムシの翅の裏側のマットな虹色!
どれもずっと眺めていたくなる美しさですね。
先日、この動画も含めた作品と一緒に、子ども達の前で標本も公開する場をいただきました。
目を輝かせて色んな角度から眺める子ども達(キオビエダシャクは鹿児島のお土産でいただいたもの 笑)。
身近な場所でこんなにキレイな虫がいるのかと驚いていました。
通常の標本だと生きている時の姿が想像しづらいのではないかと思いますが、立体展翅標本だとほとんどそのままの姿形なので、野外で出会ったときに気づきやすくなるのではと思っています。
朝、なかなかお布団から出られない寒い日が続いていますね。
この冬は数年ぶりにしっかり雪も積もったし、ちゃんと冬が来た!と感じています。
私はよく「冬でも虫っているの?」と聞かれますが、探せば結構見つかるもんです。
でも、多くは動きがないので動画的にはおもしろくないんですよね〜。
アラカシの葉で集団越冬していたキモグリバエ達もこの通り。ただじっとしていました。
そういうわけで、今回はいつもと違った感じの動画を紹介します!
昨年、夫がSNSで知ってどハマりした立体展翅標本の作品です。標本を作っておうちで撮影しています。
通常の標本と違ってまるで生きているよう。
実物を観察したり、写真と見比べたりしながら脚や翅、触角などを細かく調整して再現しています。角度で変わる翅表の色、輝きが美しいですね。野外で出会ったシジミチョウが翅を開き、日を受けてキラキラした瞬間の感動が胸に押し寄せる感じを思い出します。何百回と見てきたヤマトシジミであっても、あの瞬間は「うわぁ〜」と毎回声が漏れるほど私は感動してしまうのですが、みなさんどうでしょう?イベントで子ども達と一緒に虫を探すと、ついつい捕まえる方に楽しさの比重がいっちゃうんですが、ぐっとこらえてそんなシーンを一緒に楽しめるとよいなあと思っています。
因みに私のお気に入りはベニシジミ。スロー映像だとわかるのですが、シジミチョウのあの小さな頭ってよく動くんです。飛び立つ時はその方向に頭を向けるんですが、そこまで再現されている!お見事。
登場種は順に ベニシジミ、ヤクシマルリシジミ、クロツバメシジミ、ウラギンシジミ、ムラサキシジミ、ムシャクロツバメシジミ、ルリウラナミシジミ です!
このブログで登場した2種も入っています。撮りつつも、捕っていたんですね〜。撮っている間に逃げちゃわないかなあとか、なかなかジレンマがあるんですよ(笑)
イベントで動画を観ていただく機会があれば、標本の実物も持っていこうと思います。
長袖Tシャツ1枚でもちょっと暑いくらい気温が高かった11月14日。
山間部でも20度ぐらいあったと思います。
今回もS会長に情報をいただき(うちの会長ほんとヤバイんです)、私だけ見れていなかったルリウラナミシジミを見事クリア!さあ、次はどこに行こうかと車の中で考えていた時でした。ふと目の前にある電柱を見やると、小さな粒が3つ、表面をウロウロしていたんです。 なんとなく気にしていたら、周囲から次々に飛んでくる。そういえば、ルリウラを探していた時、やたらとテントウムシが飛んでいたなと思い出しピンとくる。これはテントウムシが越冬前に集団で飛び回る現象!前から見てみたかったやつだ〜!
正午頃に気づいてから約1時間。始めは3頭だったテントウムシは最終的に3桁近くの集団になり(大半がナミテントウ)、みんな電柱の日陰側でウロウロ。落っこちては飛びあがって再び戻ろうとするので、電柱の下にいるとテントウムシまみれになれました。
ここの周りは広い草地。他に電柱が数本あったので見てみると、数は少ないものの同じような現象が起きていました。
テントウムシ達は家屋のすき間や石の下など、風雪をしのげそうな場所で集団になって冬を越します。電柱にはきっとそのような場所が無いので、一旦こうして集まってから安全な場所を探しに行くのでしょうか?不思議だなぁ。
ついに、11年ぶりにこの時がやってきた!
運動会とか、Go To キャンペーンを使って旅行とか、皆さん10月をどうお過ごしでしたでしょうか?
実は福岡のチョウ愛好家さん達の間ではちょっとした”祭り”が起きていて、私自身も暇があれば当たりをつけて出かけていました。通常は沖縄の島々や九州の南部でしか見られない、小さなモルフォチョウが福岡県の至るところで発見されていたのです。
台風が多かった今年。以前紹介したキョウチクトウスズメのように、嵐に乗ってこの小さなチョウも福岡にやってきていたようです。
(キョウチクトウスズメも発生しているとの情報あり)
このブログでは3回連続の登場となる同好会のS会長に案内してもらい、「うじゃうじゃいたよ」というポイントで撮影を行いました。
ルリウラナミシジミはこんなにキレイな翅をもっているのに、本当に翅を開いてくれないのが特徴だそうです。ギラッと反射するあの美しい青い輝きに、敵が見とれてしまっているうちに逃げる作戦なんでしょうか(笑)
こんなに語っている私ですが、実は撮影現場にはおらず、まだ見れていないのです。
もう随分寒くなってきましたし、南国のチョウが飛び回れる気候ではなさそうです。
ああ、私も”祭り”に参加したかった。私も「あの時はすごかったもんねえ。どこにでもおったよ」なんて将来若者に語りたかった。再来の時まで後悔はずっと続くことでしょう。
お近くに豊かな鎮守の森をもつ古めの神社はありませんか?
巨木が何本か生えてたら尚よしです。薄暗〜い感じのところです。
さあ、今週末はサツマニシキを探しに行きましょう!(台風来てるけど…)
サツマニシキを見るには幼虫の食草である”ヤマモガシ”という木を探すところから始まります。ヤマモガシはマカダミアナッツと同じヤマモガシ科の木で、このグループの植物は日本でヤマモガシ以外にありません。西側に分布していて、ちょっと珍しい木のようです。花の形も変わっています。
私が博多昆虫同好会に入って間もないころ、この蛾をフィールドで初めて目にした時、とても感動したのを覚えています。あの水色メタリックがキラキラしながら宙を飛ぶんです。高いところを結構なスピードで…。必死に追いかけてシャッターボタンを押すも、前述のとおり薄暗い場所なので満足いくものが撮れません。「もっと明るく手の届く場所でキレイに写真を撮りたい!」と強く思ったものでした。そんな思いから私のサツマニシキのためのヤマモガシ探しが始まりました。図鑑やネットの写真を見て、葉の形や幹の様子をたたきこみ、「サツマニシキを見たよ」と聞けばその周辺をウロウロ、葉っぱをぐいっと寄せて首を捻ったものです(今ならわかるけど、あれはミミズバイだ 笑)。そんな調子で一向に見つけられず、頼ったのが動画の冒頭で網を振っている博多昆虫同好会のS会長です(前回の「ムシャクロツバメシジミ」でも登場)。手近な自生地にサラッと連れて行ってくれて、これまたサラッとサツマニシキまで見せてくれました。以降は、おかげさまでヤマモガシ同定スキルを習得できました。やっぱり植物を覚えるなら知ってる人と歩くのが一番早いですね!って、肝心のサツマニシキの写真がキレイに撮れるポイントはまだ見つかっていないのですが。
この動画を観て、サツマニシキのためのヤマモガシ探しを始めようと思った方、「あれ?これヤマモガシかな?」って思ったら、小さな穴がたくさん空いている葉っぱが無いか探してみてください。サツマニシキの幼虫が残す独特な食痕が間違いないと教えてくれます。
2016年11月。
とある場所にて同好会のメンバーでチョウのルートセンサスを行っていた時のこと。
事件が起きました。
当時、毎月同じルートを歩いて見かけたチョウの種類、数を記録する活動を半年ほど続けていました。
山が近いこの場所では、普通種ながら幅広い種類のチョウが確認でき、ホッとする楽しみとなっていました。
毎回メンバーは少し変わるのですが、この時は同好会会長と夫と私の3人。
雑談しながら目に入ったチョウを表に記録していきます。
この時驚くのがチョウ屋さん達の匠の技。飛ぶチョウを見て、捕まえなくとも羽ばたき・飛ぶ高さ・行動・翅の形などで種名を言い当てていきます(確認するよ)。フィールドでしか体得できないスキルですね。かっこいい。因みに私はシジミチョウの仲間がさっぱりで、ヤマト、ルリ、ヤクルリ、サツマで「こんなん捕らんとわからんわ」と横で愚痴るレベルです。
ルートの折返し地点についた時、柵に1頭のシジミチョウがとまっていました。ヤマトかな?と特に気にせず通過する私に対し、慎重に写真を撮ってプレビュー画像を確認し、訝し気な様子を見せる会長。「これはおかしい」「ひょっとしたら」なんてことを言いながら、「一応とっとこ」と網を振っていました。
帰宅後、会長から連絡があり、あの1頭のシジミチョウが名古屋で問題になっていた外来種「ムシャクロツバメシジミ」だと知りました。
これが福岡でのムシャクロツバメシジミ発見例第1号です。新聞記事にもなりました( 「外来種チョウを福岡で発見 ムシャクロツバメシジミ 園芸植物の輸入で侵入?」西日本新聞ニュース)。
この後、周囲に情報が流れると各地で次々と発見されていきました。
自分の慣れたフィールドならば、判別できない虫を見つけたときも図鑑や経験からの予備知識で、ある程度選択肢が浮かびます。この時も私は”ここにいるはずがないもの”については頭から除外し、ヤマトかな?とそれに注目する体力・気力・時間を省くことを選択していました。こう整理して書くとこれは怠慢ですね(この調査はカジュアルな感じ)。
この事件は私に大きな衝撃を与えました。
変化していく気候、人の活動が与える影響で、自然環境はどんどん変化していっています。その大きな動きの中で、自分の身近な場所も変わっていっている可能性があること、それを心にとめながら自然を見つめるようになりました。私のような地域の自然愛好家こそ、情報を入れ意識しておく必要性があるように感じています。
ムシャクロツバメシジミは2016年以降、住宅街にある私の家のプランター、イベントで訪れた保育園の花壇などで毎年見かけています。つい先日も近所の病院の花壇で目にしたばかり。小さな黒っぽいシジミチョウを見かけたら、よ〜く見てみてください。
「ムシャクロツバメシジミ・成虫」
「ムシャクロツバメシジミ・幼虫」
ついに梅雨が明けました〜。
これで週末の昆虫活動が天候に左右されにくくなりましょう。やったー!
そうは言いつつも、雨が続いたお陰でこれまで作ってきた動画の整理に集中できたことも良かったです。
8年前からちまちまアップしてきてはいますが、なんと68作品もありました。グループごとに分けてポートフォリオを作ったものの、多すぎてどうしたものかと悩み中(笑)混沌としていますが、良かったら覗いてみてください。
むしむし動画集⇒http://hakatamushi.com/6464movie/
(しかも管理人特権で博多昆HP上につくっちゃった)
さて、そんな梅雨の貴重な晴れ間に撮影したのが今回の「アオスジアゲハ」です。
県内北部のとあるダムにて。外周を車で走っていると、山からの小さな流れにアオスジアゲハやかカラスアゲハ、ヤクシマルリシジミ、イシガケチョウなど美しいチョウたちが吸水している場面に出くわしました。種は様々ですが、花の蜜や樹液でなく、こうして水分を摂っているのは実はみんなオス。性成熟のために必要なミネラルを補給しているのだそう。
今回の作品に登場するようなアオスジアゲハが集団で吸水している場面はよく見かけます。山でなくとも、室見川上流の河原でも見かけたこともあります。ただ、吸蜜はせいぜい視界に5,6頭が入る程度。1本の木に50頭ほどのアオスジアゲハが集まっているところなんて初めて目にしました。
撮影できたのはほんの一部で、実際はこの1本のナンキンハゼ全体にこの光景が広がっていた状態です。私たちが見ていた面の反対側にもいたので、実際は3桁いっていたのかもしれません。他にも同じような花の状態のナンキンハゼはいくつもありましたが、これほど集まっていたのはこの木のみ。翌日も確認しましたが、同じ状況でした。観たままの感動・驚きを伝えたいけれど、それを語らずして映像で伝えるって本当に難しいことだなと改めて感じた日でした。来年のために工夫を準備しておかなければ!
因みに鳴いているのはヒメハルゼミたち。謎のスイッチで突然合唱を始めます。私が初めて耳にした時、ロードバイクの集団が近づいてくるのかと身構えてしまいました。
暑い。
まだ6月で標高も400mほどもある山の中なのに汗が止まらない…
朝から出かけ、夕方まで虫の採集や写真を撮った帰り道。
まあまあ疲れていたけど、前から気になっていた涼しそうな神社が目に留まり、つい寄ってしまいました。
境内にいくつも聳える巨木は歴史の長さを感じさせ、大きく広がる枝葉が作った木陰でこの神社はとても涼しい。地面も幹もたくさんの緑のコケで覆われ、晴れていても空気は湿潤な感じがする。そんなとっても気持ちの良い空間。近くではあまり見かけません。
木造の社を見ると柱や縁に小さな穴がたくさん空いているのに気付きました。中には土のようなもので塞がれているものもあります。一度塞がれた後に空いた形跡があるようなものも。しばらく観察していると、小さなハチ達が穴に出入りしたり覗いたりしているところが見られました。この社はハチに人気の集合住宅と化していたようです!
そのハチたちの中に変わったリズムで材の上を歩く不思議なハチがいました。ずっと見てみたかったシリアゲコバチです!このハチはハナバチやアナバチの幼虫に卵を産み付けて寄生するので、材の中にいる幼虫を探しているところだった様子。姿は見えないのに、どうやって見つけるんだろう?音?におい?不思議です。さらに産卵のモーションはもっと不思議。動画でご覧ください!
ぐっぐっと針を垂直に突き立てていますね。結構な力が要りそうです。そのために他のハチたちとはずいぶん異なる体型をしているのでしょうか。謎がいっぱいです。
追記
夫の解説を聞きながら何度も繰り返し観てどうやって産卵管を刺しているのかが理解できました。ただ文章と図で説明しようとすると、なかなかのパワーが必要なので産卵管の形だけなぞってみました。
普通にお尻と思えるところから真っすぐ伸びているのは鞘のようなもので、産卵管ではありません。矢印の始点はおそらく産卵管の付け根。名前の通り腹部〜尻にかけて反り上がっているように見えます。点線の部分は体の間(表現に迷う 笑)にあって見えていないところ。実際はどんな形になっているかわかりません。産卵管がこんな形になっていると知ると、上からや正面からの画でも節と節の間に展開した透明な膜から針が透けて見えておもしろいです。