トショウ(杜松)、枝棚を維持したいです。

秋といえば紅葉。盆栽の楽しみがさらに増える季節でもあります。我が家の盆栽の紅葉はもう少し先なので、今回も松柏盆栽を。その中でも荒々しくどこか上品な雰囲気をもった「トショウ(杜松)」を紹介します。

 

トショウについて調べました。ちなみに、トショウは別名で主に盆栽で使われます。植物名としてはネズ、ヒノキ科ビャクシン属の常緑針葉樹です。ネズミの通り道に置くとネズミ除けになることからネズミサシ(鼠刺)と呼ばれ、それが縮まってネズになったとか。日本に自生していて、山地の日当たりのよい場所を好むそうです。

(森人)ひゃーっ、痛くて座れん!

葉は針状に尖っていて、触るととても痛い。それがゆえについついお手入れ頻度が下がり、せっかく伸びた小枝が枯れてしまったこともありました。これまた痛い。

トショウ盆栽の魅力はなんといっても、樹の懐の部分にあるジン(神)やシャリ(舎利)、そしてそれを抱えこむような幹と端正な枝棚をもつ樹姿でしょう。

ジンは枝が枯れてしまったもの、シャリは幹が枯れてしまったものです。自然界では日照りが続いて乾燥がひどいときや、雷に打たれたり激しい風雨や雪の重みで枝が折れたときなどに枝や幹が枯れてしまい、そこが日光にさらされると白く色が抜けていきます。盆栽でも、育てているうちに枯れてしまった枝や幹を活かし、自然界の厳しさとそれでもなお力強く生き続ける迫力感を表現しているのです。

ジンやシャリを抱え込んだ水吸い(生きた幹)が、左右に上に見事な枝棚を作り葉をぎっしりと付けています。葉は尖っているものの短く、葉の裏にある白い気孔列が見えて凛とした上品さを感じます。

さてこのトショウ。枝葉が混みあいやすいので、芽摘みなどのお手入れを怠るとたちまち日照不足を起こし、先にも述べたとおり小枝が枯れやすく、あげくには樹形が乱れてしまいます。お手入れするからこそ気づく樹の変化があり、それが盆栽の楽しみでもあります。葉の痛みも楽しみの一つかもしれませんね。