この春は青森県と北海道で、山菜のニリンソウと間違えてトリカブトを誤食する事故が立て続けにありました。北海道の例では80代男性が亡くなったそうです。ご冥福をお祈りいたします。
トリカブトとニリンソウは同じキンポウゲ科の仲間。葉っぱが似ていて、しかも混生します。
福岡に自生地はあるものの、私自身は採って食べたことありません。漫画「ゴールデンカムイ」でニリンソウは「肉の味を倍にさせる」と言われていて、ちょっと憧れはあります。
私たちがこれまで収集してきた事故事例の中で、野草や山菜の誤食事故は、例えばこんなものがありました。
・山芋と間違えてグロリオサの球根をすりおろして食べ、死亡(2020年/鹿児島)
・ギョウジャニンニクと間違えてイヌサフランを食べ、2人死亡 (2024年/北海道)
・ミツバに混ざっていたキツネノボタンを食べて食中毒 (2024年/新潟)
・ヤマイモと一緒にグロリオサの球根を収穫・調理して発症 (2024年/高知)
野草の誤食については、私があらためてまとめるよりも厚労省のページが充実しています。ぜひご覧ください。
厚生労働省「有毒植物による食中毒に注意しましょう」(2026.04.07.閲覧)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/yuudoku/index.html
厚生労働省「自然毒のリスクプロファイル」(2026.04.07.閲覧)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/poison/index.html
上のページにある資料PDFには「過去10年間の有毒植物による食中毒発生状況(平成28年〜令和7年)」が集計されていました。
これを「死亡数」で並べ替えてみると…。
・イヌサフラン(ギボウシ、ギョウジャニンニクなどと誤認)
事件数22 患者数30 死亡数13
・グロリオサ(ヤマノイモと誤認)
事件数6 患者数8 死亡数2
・スイセン(ニラ、ノビルなどと誤認)
事件数74 患者数227 死亡数1
・トリカブト(ニリンソウ、モミジガサと誤認)
事件数11 患者数18 死亡数1
スイセンは、件数や患者数がとても多い一方で死亡数は少ない。
逆にイヌサフランは、件数や患者数のわりに死亡数が突出しています。
「件数が多い事故」と「命に関わる事故」は、必ずしも一致しません。
スイセンもイヌサフランも、福岡でも庭や公園、田畑の畔などで普通に見られます。
「そんなもの食べないでしょ」と言う方もあると思いますが、実際には「近くにあった」「混ざった」ことで事故になっています。
グロリオサにしても、根っこの見た目がヤマイモに似ているのに加え、寒冷地では地下部を掘りあげて越冬させる、そうした事情も事故につながっていると考えられます。
野生では仕方ないにしても、庭や畑、公園等では、食用となる植物とそれに似た有毒の植物が近くにならないようにする。そんな植栽管理の視点も大切ですね。
野草を食べることは、大地の栄養を身体に取り込むようなイメージがあって元気が出ます。
注意して安全にいただけたらと思います。