家庭と職場のエコトーン(2021年8月スタート)

グリーンシティ福岡のスタッフで、糸島市で「マイマイ計画」を主宰する「のじー」こと野島智司による、新しい連載コラムがスタート。
糸島の古民家に暮らすのじーが、リモート勤務をしながらの子育てや古民家生活について書いていきます。

著書:
『カタツムリの謎:日本になんと800種! コンクリートをかじって栄養補給!?』誠文堂新光社
『マイマイ計画ブック かたつむり生活入門』ele-king books(Pヴァイン)
『ヒトの見ている世界 蝶の見ている世界』青春出版社

第13回 なんでもないことの共有(2022年8月)

夏の間はクーラーの効いた室内でリモートワークすること多かったのですが、このところ納屋の軒下での作業に戻っています。


屋外にいると、なんというか、自然が目に飛び込んでくるようなところがあります。

こちらが意識しようとしなくても、自然の方が変化を知らせてくるような感じです。

 

そして、雨がしとしと降る日などは、かたつむりの姿をよく見かけます。


「あれ、この2匹、いつまでたってもここにいるなぁ」とか。

 

「さっきここにいたと思ったら、もうこんなところにいる」など。

もはや無意識的に思考してしまいます。自動思考。

かたつむりの動きがのんびりしているからこそ、合間合間に観察するのがおもしろいのかもしれません。

 

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人って、おもしろい発見をあると、つい誰かと共有したくなるものですよね。

それはオンラインでも対面でも変わりありません。

 

家に家族がいるときは、よく息子に報告するのですが、息子がいないときはそういうわけにもいきません。

だからって、毎回zoomを立ち上げて、「かたつむりがまだここにいます!」なんて報告をするわけにもいきません。

 

そんな場合は、退勤時のメールで、ついついそんな発見を報告してしまいます。

かたつむりではないですが、最近の実例を紹介しておきます。

 

「納屋の隅でガサゴソ音がすると思ったら、卵を抱えたサワガニだった。」(220822業務日報より)

うーん。読んだ方は反応に困りますよね。

書いてる側は自己満足なので、へぇーでいいのですが、「へぇー」という返信メールがきたら、それはそれで困ります。

 

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第12回 ありがとうの時間(2022年7月)

ここ最近、夕食のときに家族がそろうと「今日のありがとう」を伝え合うことにしています。

それは自己肯定にも他者肯定にもつながるなぁと思います。

 

特別なことをしたらもちろん、日常の当たり前になっているようなことや、好きでやっているようなことも、「ありがとう」と言われたり「ありがとう」と伝えてみたり……。

それは5歳の長男にとってもうれしい時間のようで、始めてみて良かったなぁと感じます。

1歳の次男はそもそも言葉が伝わらないですが、それでも間接的には意味がありそう。

 

たとえどんなに心の中で感謝していたとしても、言葉にしないと届きづらいことってあるものです。

 

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さて、リモート勤務のデメリットもまた「言葉にしないと伝わらない」ところにあるような気がします。

 

たとえば、リモート会議中。画面の向こうで誰かがムスッとしていたとします。

こちらはついつい「なんで怒っているのかなぁ。何か悪いことしちゃったかなぁ」と考えてしまう場面です。

 

対面だったら、人は知らず知らずに文脈や環境情報をたくさん共有しています。

慌てて入ってきて席に着く様子があれば「急いで来て疲れているのかなぁ」と思うだろうし、部屋が暑いなら「この人も暑くて不快なんだろうな」とわかるだろうし、おなかを押さえていたら「おなかが痛いのかな」と気づくでしょう。

何にせよ、不快な表情が「自分のせいではないだろう」と想像しやすいです。

 

でも、オンラインだとそうはいきません。

共有している文脈や環境情報が乏しいので、知らず知らずになんでも「自分のせい?」と考えてしまいがちです。

 

そんなときは「なんでムスッとしているの?」と言葉にして質問しない限り、ただモヤモヤが募ってしまいます。

とは言え、相手にそんな直球の質問をするのも勇気が要ります。ともすれば神経を逆なでしそうだし、もし本当に自分のせいだったらと思うと冷や汗ものです。

だからと言って、自分がムスッとしている側だったとして、自分でそれに気づき、聞かれてもいないのに理由を自然に説明するのは、なかなかハードルが高いです。


オンライン会議に限らず、メールの文面がそっけないときなども、似たような問題が生じますね。

うーん、なかなか難しい問題です。


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さて、この問題。家族の立場からも、同じ事が言えそうです。

メールはもちろん、オンライン勤務でヘッドセットをして話している状態であっても、そばにいる家族に伝わる大部分は、言葉以外の要素です。

難しい仕事で神経質になっていても、理由がわからないということになります。

ずっとそばにいる家族は、「自分のせいでイライラしてる?」って思うかもしれません。

 

だから、ことあるごとに「あなたのせいではないのだ」と伝えなくてはなりません。

パートナーにも、子どもにも、「ありがとう」や「ごめんね」を伝える時間を持っておくのは大事なこと。


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かくいう私は、幼いころから口頭で「言葉にして伝える」ということが大の苦手です。

おっとりしていて、口数が少なく、あるいはそれ以上に場面緘黙だったり、少し吃音もあったからかもしれません。

いや、そうでなくても「言葉にして伝える」ということは誰にとっても難しいものですよね。

 

「言葉よりも大切なものがある」とは信じていますが、そうは言っても「言葉にしないと伝わらないものがある」と意識するのが大切なのかも。

 

さしあたり、意識的に「ありがとう」を伝える機会を作るのは1つの方法。

 

続けてみようと思います。

第11回 ただそこにあるもの(2022年6月)

都会でも簡単に見つけられる自然の1つは、空かもしれません。

 

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空を見上げると、なんだか気持ちが落ち着きますよね。

 

流れる雲を見つめたり、雲間から差し込む光に見惚れたり、ふしぎな形の雲を見つめたり…。

 

ふと気持ちが穏やかになったり、焦っている気持ちが落ち着いたりします。

そんなところから、ちょっと自分を見つめ直したり、新しいアイデアがひらめいたりすることもあります。

不思議なものです。

 

空に限らず、自然の風景ってそんなところがあるなぁと思います。

ただそこにある自然が、何か気持ちにゆとりをくれたり、アイデアを与えてくれたりします。

もっとも「雨が降ると困るなぁ」とか「そろそろ草を刈らなくちゃ」と、邪念が生まれることもありますが……。

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一方、仕事に集中できているときは、なぜだか「ただそこにあるもの」は目に入ってきません。

たぶん視界には入っているのに、単なる背景のように、意識しなくなっています。不思議なものです。

視覚情報に限らず、虫の音や鳥のさえずり、草木の香り、風の感触、そうしたものすべてに、同じことが言えますね。


逆に、意識的に身体全体で思い切りそうした環境情報に浸かってみるというのもあります。

マインドフルネスと言わんばかりに、すべてを感じるままに感じながら散歩すると、とても良い息抜きになります。

意外と良いアイデアがひらめいたり、気付きがあったりするのも、そうした時間です。



 

 

ただそこにあるものを、そのまま感じてみる。

 

ただそこにあるものを意識しないまま、何かに集中する。

 

正反対のことのようで、すごく近いことのようにも感じます。

この両側を適度に行き来しながら仕事をするのが、庭先リモートワークの良いリズムなのかなぁ…

 

 

…と、集中できないときにぼんやりと考えていました。

第10回 野草の天ぷら(2022年5月)

私は野草の天ぷらが好物です。

毎年、自分の誕生日の夕食メニューにしてもらっています。


野草の天ぷらは、ただ食べておいしいというだけでなく、いつも見ている植物が「どんな味がするんだろう」とわくわくするのも、好きな要素の1つです。

古民家に住み、野草を庭でとれるようになったというのは、とってもうれしいです。

 

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妻が夕食を天ぷらにすると教えてくれたときは、リモートワークの合間にめぼしい野草を摘んでおきます。

はさみは使いません。手でちぎれるやわらかい部分がおいしいからです。

○シンプルにおいしいもの

野草の天ぷらのなかでも、私がシンプルにおいしいと思うのは、ユキノシタと、ヨモギです。

ヨモギの香りは天ぷらにしても消えず、食欲をそそります。

 

ユキノシタはうちの池の周りにあるのですが、あまり多くありません。

今後ユキノシタが増えるように、はびこっている外来植物を除草したり、分散させて植えてみたり、ちょこちょこ手を入れております。

 

カラスノエンドウ、ハコベの類、ハハコグサ、オオバコ、スギナ、ミツバ、カキの若葉、イノコヅチ、ツバキの若葉なども、くせがなくておいしいです。

 

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○個性の強いもの

独特な香りの強い、ドクダミ。

ちょっと勇気がいるかもしれませんが、天ぷらにすると独特のにおいは半減して、これが意外といけます。

パクチーのようなクセのある味が好きな人にはおすすめかも。

カキドオシもまた、ドクダミほどでないにせよ、個性があります。


○味のあるもの

スイバは熱が通るとフニャフニャになりますが、酸味があっておいしいです。

5歳の長男もスイバの天ぷらが好きなようで、「おいしいすっぱさ」だと言います。

サクラの若葉には苦みがあって、奥の方にほんのりサクラの香りもあって、良いです。

 

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まだチャレンジしていない野草もいろいろあります。

今後食べられるようにと願って、池には近所で採ったセリを植えました。

たくさんふえて、気軽に食べられるようになるといいなぁ。


※野草には危険な毒草もあります。識別に自信のないものは食べないようにしましょう。

第9回 庭とメンタルの手入れ(2022年4月)

私はメンタルが弱いと自覚しております。

ネット界隈では「豆腐メンタル」なんて言葉も聞きますが、私はウスカワマイマイ並みに殻の薄いマイマイメンタルです。

特に最近の悩みは、ニュース報道への接し方です。

戦争や虐待、性暴力のような報道に接すると、心の殻のようなものが削られて、気づくとナメクジ化しています。

ここのところ戦争のニュースが絶えなくて、常にメンタルが削られている感じがあります。

無力感に苛まれたり、それがネガティブに発展して自己嫌悪になってしまったり…。

ふだんは平気だったような、ちょっとしたことでも心がヒリヒリする、ナイーヴな状態です。

とは言え、言葉にしないだけで、あるいは自覚していないだけで、今、同じような気持ちの人も多いのではないでしょうか。

 

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マイマイメンタルの私にとって、殻の修復手段を持っておくことはとても大切です。

家族など、人の愛情に接するのも良いですが、池や庭を手入れするというのも、心の殻を取り戻す手段になっていると感じます。


仕事の合間のほんの少しの時間、庭木の伸び過ぎた枝やひこばえを剪定するだけでも、不思議なくらい気持ちがスッキリします。

伸び過ぎた枝とともに、伸びすぎた心のトゲも剪定しているような、そんな詩歌でも詠みたくなるような瞬間です。
気持ちが今ここにある自然に向かい、この木はどうしてこんな形に伸びたのかなぁ、これからどうするのかなぁとか想像していると、時間を忘れます。

 

生きものを観察するのも良いです。

池を見ていると、いろいろな生きものが動いているのが見えて、気持ちが和らぎます。

最近はアカハライモリが元気で、水の中をスイスイと泳いでいく姿が小気味よいです。

やっぱり詩歌でも詠みたくなります。

 

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グリーンシティの活動でも、森の手入れをしたり、生きものを観察したりする場面はよくあります。


心がヒリヒリするようなとき、そっと自然に触れられる。

そんな場や機会の大切さを、あらためて実感しています。

第8回 春のあたらしい風(2022年3月)

季節が変わると、エコトーンでのリモートワークのありようも変わります。

 

リモートワークの拠点が、以前のように外の納屋の軒下になりました。

晴れていると気持ちが良いですが、まだちょっと肌寒い日もあります。

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そして、今年はひとつ、昨年にはなかった変化の兆しがあります。

息子が近所の子と仲良くなって、おともだちが遊びに来るようになったのです。

おともだちは小学生ですが、これを書いている今は春休み中で、頻繁に来てくれています。

 

妻と子どもが不在で、私が一人リモートワークをしているときに、おともだちが遊びに来ることもあります。

そんなとき、私はパソコンに向かいながら、そのおともだちと言葉を交わします。

ある日、そのおともだちが家に訪ねてくると、居るのはリモートワーク中の私1人だけでした。

彼は池で生きものを探したり、息子のおもちゃで遊んだりしながら、息子たちが帰ってくるのを1時間くらい待っていました。

 

ようやく息子が帰ってきてからは、いっしょにオタマジャクシの隠れ場所を作ったりしました。

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私は以前、今の古民家に引っ越してくる前に、「こうもりあそびば」という近所の子どもたちが自由に遊びに来られる、ガラクタだらけの場を開いていました。

引っ越した今はやっていないのですが、もし今の私がリモートワークをしながら、また以前のように、この場で子どもたちをそっと見守ることができたら、それもいいなぁと思いました。

 

まずはおともだちが1人でも過ごしやすいように、私が仕事をしながらでも気ままに過ごせる工夫を考え中です。

私がそのまま、もっと子どもたちや生きものたちと過ごせるように。

第7回 庭池ビオトープの生きもの(2022年2月)

糸島の古民家に移り住んで1年が経ちました。

玄関前には、小さな人工の庭池があります。

 

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おそらくかつては、コイでも飼育していたのだろうという雰囲気です。

昨年ここに住み始めたときは、何年も水を抜いたままの状態で、落ち葉とノハカタカラクサなどの植物でいっぱいでした。

一方、奥に水たまりが残っていたのか、ウスイロオカチグサという水辺を好む陸貝もいました。

昨年の夏、その池に生えた植物や泥を減らして、ヒビを塞ぎ、排水口にふたをして、水を入れました。

最初はたくさんのボウフラも湧きましたが、じきに落ちつきました。

そして、次に現れたのはアカハライモリでした。

 

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岩陰に最初から隠れていたのかもしれません。

その後、ヤゴなどの水生昆虫も出現しました。水があるだけで、色々な生きものが集まってきます。

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そしてこの冬、そこにニホンアカガエルの卵塊を見つけました。

最初に発見したのは、5歳の息子です。

1月末。オンライン勤務中のことでした。

「おとうさん! いけにカエルのたまご、あったよ!」

勤務時間なのも忘れ……てはないですが、カメラを片手に池に急ぐ私。
パッと見ても気づかないところに、その卵はありました。

よく見つけたなぁ。

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数日後にはさらに卵塊が増え、全部で6つの卵塊が出現。

そして、これを書いたまさに今、新たに7つが見つかり、合計13個。

産んでくれるのはうれしいことですが、この小さな池に対して多すぎるようにも感じます。

 

ニホンアカガエルは、冬に浅く水の溜まった環境がないと、産卵できません。

13個も卵塊が出現したというのは、それだけニホンアカガエルが多いということなのでしょうか。
それとも、それだけ繁殖に適した環境が少ないということなのでしょうか。

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最近はふ化して、よちよち泳ぎの小さなオタマジャクシも現れ始めています。

成長の様子を確認するのが、日々の楽しみです。

 

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第6回 料理を手伝う長男(2022年1月)

長男は家庭保育です。

GCFが、リモートワークで勤務時間も柔軟に対応してもらえる職場で良かったなぁと思います。

ただ、きっと保育園や幼稚園に通っていれば、その園ならではの成長というのもあって、その成長っぷりに感動させられる場面も多いことでしょう。

それも魅力的ですが、家庭では毎日の成長のプロセスを目の前で共有できるところが良さではあります。

 

最近成長してるなぁと思うことの1つは、料理。

長男は気まぐれではありますが、わりと頻繁に料理を手伝ってくれるようになりました。誕生日やクリスマスのケーキも、いつも手伝ってくれます。


あいにく私が料理をすることは少ないので、長男が「シェフ」で、「おとうさんは取材の人ね」と言われて撮影することになります。

そんな「取材」を重ねているのに、記事にしないのはどうか!ということで、ここで記事にしちゃいましょう。


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シェフが見事な包丁さばきで、レタスを切っているところです。

ケガのしにくい子ども包丁を使っていますが、危険はあるので真剣です。


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ドレッシングと和えて、盛り付けもシェフが見事にこなします。


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ときには、ケーキ作りのパティシエにもなります。


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飾り付けだって、おてのもの。

クリームまみれになりながらも、見事にこなしました。

 

私が家でリモートワークをして、そんなエコトーン家庭で育つ長男。

ほかにも、次男の面倒を見てくれたり、創作のニュース記事を考えて「新聞」を作ったり、私と一緒に創作の物語を考えたり、なんだかエコトーン感のある成長をしてくれています。

これからの成長も楽しみです。

 

取材協力ありがとうございました!

第5回 捗らない作業(2021年12月)

しおだまりの生きもの探しって楽しいですよね。
福岡に住むようになって十数年。すっかり海が身近になり、冬でも海に行きたくなります。

海の生きものは専門的に学んだことがないので、森以上によくわからない生物がたくさんいて楽しいです。

こちらでは、ナメクジみたいなものがうにうにと這っておりました。


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さて、めっきり寒くなった12月。
納屋の軒下でのリモートワークは厳しくなって、ふたたび室内でのリモートワークに移行しています。

試行錯誤中ではありますが、最近は、2階の自室にこもるか、1階の和室で仕事をするかのどちらかに落ち着いてきました。

 


単に自室にこもるのではなく、1階の和室でリモートワークをするのは、夏に納屋の軒下を利用したのと同じような理由です。
和室だと、這いずり回る8カ月の次男や、レゴブロックにはまっている5歳の長男を、多少は見守りながら仕事ができるというメリットがあるのです。

 

1階の和室でリモートワークをしていると、妻がいそいそと家事や子育てをしているところも間近で見えるので、なんというか、自分がいないときの大変さを垣間見ることができます。いつも申し訳ない……という気持ちにもなります。

また、お昼ごはんや休憩時間のタイミングが、家族がすぐ近くにいるので合わせやすいのも良いです。


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もっとも、その環境だと進まないタイプの作業もあります。

新しいアイデアを生み出すような仕事。
その世界にどっぷり浸からないと進まないタイプの仕事。

個人の仕事だと書籍の原稿なんかはそうです。


その点、夏の納屋の軒下はまだ良かったなぁと思います。
遠くの景色などを見ていると、リラックスしてふとアイデアがわいたりします。


一方、どうにも進まなくて、集中できず、そんな自分に嫌気がさしてくるとますます悪循環に陥りがちです。

そんなときは自室にこもってしまうこともしばしば。(それでも捗らないって場合もありますが……)

 

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満潮のときに海水に浸かったり、干潮のときに陸地になったりする領域のことを「潮間帯」と言います。潮間帯も陸域と水域の重なるエコトーンです。

リモートワークでの作業場所をあれこれ変えていると、そんな潮間帯のことを、ふと思い出します。

 

海にどっぷり浸かるように、自室にこもって仕事をしたり……

風を感じるように、広い和室で仕事をしたり……

しおだまりの生きもののように、この両方があることで、私にとって居心地の良い環境が生まれるのかもしれません。


そんなほど良いリズムを探し始めた、12月なのでした。

第4回 子どもパワーに救われる(2021年11月)

5歳の長男とは、よくたたかいごっこをします。

朝は本を読み聞かせて起こすことが多いのですが、読み終えるとすぐたたかいごっこが始まります。

布団からバッと起き上がって、たたかいを挑まれます。

 

私は正面からぶつかりあってたたかいごっこするのは苦手なのですが、軽くぶつかられただけでふっとんだり、攻撃しようとして壁に追突したりとか、ダメな怪獣役をするのはなぜか嫌いじゃなくて、長男の受けも良いので、そんなことばっかりしています。

(ちなみに、義父も長男のたたかいごっこの相手をよくしてくれますが、義父の場合は正面からぶつかり合っています…)


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七五三詣の袴で義父とたたかいごっこをする長男

 

イベント仕事が終わって家に帰ると、長男がすごい勢いでぶつかってきて、テンションの高さに圧倒されることもしばしば。

妻にはたたかいごっこを挑まないようなので、あくまで私がたたかいごっこの相手と認めているようです。

そもそもテンションの高くない私は、疲れていると十分に付き合いきれなくて申し訳ない気持ちになります……。

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リモートワーク中の私(長男撮影)

 

一方で、そんなテンションの高さ、いわば「子どもパワー」に救われているとも感じます。

 

仕事で疲れていても、私生活の悲しい出来事にうなだれていても、長男のテンションは変わりません。いつも全力でたたかいごっこを挑んできます。

最初はちょっとしんどいのですが、そこで思い切ってたたかいごっこの相手をすると、気が紛れて、心の安定につながっている面があります。

 

たたかいごっこだけではありません。
心身が疲れていても、一緒にブロックで遊んだり、好きな本を読み聞かせたりすると、気分転換になります。
長男が笑ったり、喜んでくれたりすると、自分もつられて笑ったり、嬉しくなったりします。

 

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動物たちの行列?


もちろん人間なので、本気でたたかいごっこに付き合えないこともあるのが本音ですが、それでも救われてる部分の方が大きいなぁと思います。

長男もリモートワークのときは邪魔しちゃいけないとわかっているので、じっと待ってくれていて、それを見るとなんだか健気で申し訳なくもあります。

 

そんな長男にはきっと、サンタさんが素敵なプレゼントを持ってきてくれることでしょう。

第3回 子連れ生きもの調査(2021年10月)

私の勤務はリモートが主体とは言え、イベントの際などに現場に出ることもしばしばあります。
特に緊急事態宣言明けの10月は、現場仕事がたくさんありました。

 

そんな現場仕事のなかでも、家庭と職場の「エコトーン」を感じることがあります。

それは、かなたけの里公園での生きもの調査。(普段のかなたけの里公園生きもの調査の様子はこちら

毎月、日本野鳥の会福岡支部のみなさんのご協力のもとに行う生きもの調査。
私はいつも陸貝(かたつむり)担当として同行しているのですが、しばしば子連れで調査させていただいているのです。


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これは昨年2月の雪の日の調査。

雨の日も晴れの日も雪の日も行われる調査は、息子にとっては「森のようちえん」のようなもの。
彼自身も「スズメバチを見つけたい」「ヘビを見つけたい」と言って、一緒に来たがります。危険生物好きなので…。

園に通っていたり、緊急事態宣言が出されたりで、しばらく子連れ調査はしていませんでしたが、今月は久しぶりに子連れで調査に参加しました。

 

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春に弟が誕生して以来、すっかり赤ちゃん好きになった息子。
この日は友人夫妻が赤ちゃんを連れてきていたので、なかなか離れようとしません。

 

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ようやく調査開始早々、息子はハラビロカマキリにふれようとして威嚇されました。

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すきあらばフユイチゴを探し始める息子。


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日本野鳥の会九州支部のみなさんは、人見知りして無口だった息子も、あまり人見知りしなくなってちょっかいを出す息子も、暖かく見守ってくださいます。


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野鳥の会の方からヤマノイモの実をいただいて、文字通り「天狗」になりました。


ただ、息子の歩くペースは気ままなので、集団から離れることもしばしばです。

まぁ、かたつむり調査は野鳥調査のペースとは違うので、そもそも離れがちではありますが、今回も後半は私と息子の2人きり。

 

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フユイチゴ探しに余念がなく…

 

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手頃な武器(木の棒)を発見したり…

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落ちたガマの穂を見つけて、綿毛だらけになったりしていました。


その傍らで、私はかたつむり調査です。たまに、息子が先に見つけて教えてくれることもあります。

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この日もたくさんのかたつむりがいましたが、いつもよりは少なめ。

やっぱり寒くなってきた影響でしょうか。

 

さて、そんな生きもの調査も、お昼で終了です。

みなさんとお別れしたあとは、私は家に帰り、調査まとめなどの事務作業。

その間、息子は妻とシャボン玉遊びなどをしておりました。

 

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勤務終了後に、私が納屋の裏でたくさんのむかごを発見したので、息子が細かく刻んで、妻が「野草チヂミ」の材料に追加。

 

そんなこんなであっという間にこの日も終わりました。

「生きもの調査」は彼にとって、自然遊びだけでなく、いろいろな自然好きな大人にも出会える貴重な場。

子連れで同行させていただいて、ありがたい限りです。

第2回 納屋でリモートワークするメリット(2021年9月)

春から住み始めた自宅の古民家に隣接した納屋が、私の主な仕事場です。

今回は、そんな納屋の軒下でのリモートワークのメリットについて書こうと思います。

 

いつもこんなふうに、簡易の机と椅子にノートPCを置いて作業しています。


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子どもの遊んだ残骸など、いろいろとっ散らかっておりますが、それでも納屋の軒下で作業するメリットは大きいです。

少なくとも、3つあります。

1.気持ちが良い

夏も風通しが良く、日が当たらず、意外と涼しい快適な環境です。

野外なので空気がどんよりすることはありませんし、風が涼しいのが何より良いです。

もっとも冬はどうなるか、今年住み始めたばかりなので、まだわかりません。

2.仕事をしながら自然観察できる

トンボの種類が変わってきたなぁとか、見慣れないチョウが飛んでるぞとか、このマイマイいつもいるなぁとか、生きものを日常的に観察できるのは単純に楽しいです。

最近は、急にイヌタデの穂が目立つようになったなぁとか、ヤマノイモのむかごが実ってきたなぁとか、季節の変化も実感しています。

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(スキあらばむかごを収穫)

 

3.子どもを見守りながら仕事ができる

現在、5歳と0歳の子どもたちを家庭保育中です。

長男は園に通っていた時期もありますが、ほどなく断固として行き渋るようになりました。
私自身子ども時代のほとんどを自宅で過ごして育っており、夫婦ともなにかと共感してしまうところがあり、どうにか行かせようという気持ちにはなれませんでした。

それに何より、家でも楽しそうに過ごしているので。

 

そんなわけで、夫婦2人での家庭保育。

仕事中に長男が庭で水遊びしていることもままあります。

そんなときに見守りながら仕事ができるというのは、我が家にとって、とてもありがたいことです。


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以上大きく3点が、納屋でのリモートワークのメリットかなと感じています。

 

もちろん、例外もあります。

豪雨や台風のときなどは、さすがに納屋ではできず、室内で仕事をします。
また、オンライン観察会の進行など、子どもや来客の対応ができないときも自分の書斎にこもります。

子どもが家で遊んでいて、妻が外出するときなども、室内のどこかで仕事をすることになります。

冬になったらまた、事情が変わってくるかもしれません。

 

もっとも、納屋でのリモートワークの一番のデメリットはほかにあります。

それは、蚊に刺されることです……。

まぁ、隙間だらけの古民家では家の中にいても刺されるのですが。

第1回 リモートワークとエコトーン(2021年8月)

私のグリーンシティ福岡での勤務形態は、基本リモートワークです。
事務所に出勤することはほぼありません。家を出るのは、週末などにイベントスタッフをするときだけです。

最近はわがままを言って、週4日16時までのリモート時短勤務にしてもらい、作家活動も継続しながら、夕方はなるべく家族との時間に充てるようにしています。

 

昨日夕方は、勤務後に近くの海へ行きました。

ちょうと干潮だったので、たくさんの生きものを見つけることができましたー。


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ところで、「エコトーン」って何? 初めて聞いた、という方もいらっしゃるかもしれません。

エコトーン」とは、主に生態学で使われる言葉で、2種類以上の異なる環境の推移帯を意味します。

「接点」とか「境界」という言葉でも言い換えられなくもないのですが、「エコトーン」というと、線的ではなく、グラデーションのある面的な領域というニュアンスが出てきます。


また、エコトーンでは、生物多様性が高まる傾向があります。

たとえば、陸域と水域のエコトーンは、水位によって陸になったり水につかったりする領域で、陸に棲む生きものと、水に棲む生きものと、さらに湿地特有の生きものとが混じり合うので、生きものが豊かなのです。

 

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さて、私のリモート勤務は、おもに納屋の軒下を使っています。

子どもが庭で遊んでいるのを見守りながら仕事をすることも多いです。

まさに、家庭と職場という2つの異なる環境が重なりあった状態です。


エコトーンという言葉がしっくり来たので、専門用語から拝借しました。

きっとリモートワークにも、自然界のエコトーンに似たものがあるのではないでしょうか。

糸島の古民家でのリモートワーク。
私と妻と、最近5歳になった長男と、4月に誕生したばかりの次男の4人家族。

リモートワークしながらの古民家での暮らしは、楽しいことも苦労もたくさんあります。


ここではできるだけ、ありのままを綴っていきます。