桜井・森(2016)は、そんなもやもやが嫌だったというわけではないかもしれませんが、かたつむりのアジサイへの選択的な利用が見られるかどうかの検証を行っています。
週2回、合計105回の野外観察を実施し、さらに57回の室内実験を行いました。情報を検証するというのは、大変ですね…。その結果、ミスジマイマイというカタツムリは一貫してアジサイを好み、アジサイのないところではサクラを好んでいたとのこと。一方、ウスカワマイマイというカタツムリは、特にアジサイを好むわけではなかったそうです。
ミスジマイマイは関東では代表的なカタツムリ。同じマイマイ属では、福岡ではツクシマイマイが知られています。
そんなミスジマイマイについては、確かにアジサイのあるところを好むというのです。ただし、すべてのかたつむりに当てはまるわけではないようです。
また、室内実験により、ミスジマイマイもアジサイの葉を好むわけではないことを明らかにしています。
つまり、ミスジマイマイは、アジサイの葉というより、アジサイのある場所が好きだったということ。
筆者らは、アジサイが有毒であるがゆえに植物食の動物と競合しないことや、捕食者に見つかりにくいことなどを、ミスジマイマイがアジサイのある場所を好む理由として考えているようです。
そもそもかたつむりは樹木の表面に生えた藻類をよく食べます。
木本であるアジサイの表面にもそうした藻類は生えているでしょうから、もしかすると目当ての1つなのかもしれません。
今後アジサイのところにかたつむりがいたら、何を食べているのかよーく観察する必要がありそうです。