会議ファシリテーションの分野では定着してきた感のあるKPT。
 団体の安全管理を考える上でも大事な手法です。
 
 KPTとは、Keep, Problem, Tryの頭文字。「ケプト」と読んでいます。
 イベントやワークショップが終った後のふりかえりで、
 「良かった点(K)」「悪かった点(P)」「次回に向けた改善点(T)」に
 分類しつつ意見を出していくという手法です。良いor悪いの両方の意見が
 出やすいことや、次回の具体的な改善提案を意識して考える点などで
 よいフレームワークだと思います。
 
 特にグリーンシティ福岡では「悪かった点(P)」の中で「ヒヤリハッと」を
 記録することを心掛けています。「ヒヤリハッと」とは事故や怪我まで
 にはならなかったけれど、怪我をしそうになったり、ヒヤリとした
 出来事のこと。ノコギリで手を切りそうになったとか、気分が悪くなった
 参加者があった、とかです。
 
 毎回のイベントやワークショップ後のKPTの積み重ねが、スタッフの
 トレーニングやプログラムの改善になりますし、その中で、ヒヤリとした
 出来事を記録していくことは、安全管理に重要な「目」や「意識」を
 育てていくことになる!と思っています。
 
 3ヶ月に一度、たまった「ヒヤリハッと」の記録をどのように活用するか、
 来月のコラムでご紹介します。
anzenkanri04.jpg
毎月1回(15日頃)に発行する、グリーンシティ福岡のメールマガジン。
その中の「安全管理コラム」を月遅れでアップしています。
メールマガジン配信ご希望の方はお問合せフォームよりお知らせください。

第3回「リスクマネジメント・チェックリスト」

 野外で活動する団体は「安全マニュアル」の整備が必須。
 しかし、分厚いマニュアルを毎日見るというのも大変なので、
 ポイントを抜き出して「リスクマネジメント・チェックリスト」を作っておくとよいです。

 グリーンシティ福岡は「計画」「事前準備」「実施」「事故発生時」「日常」の5段階に分けて
 59項目のチェックリストを作っています。
 箇条書きでA4判2ページくらいの分量です。例えばこんな項目。
   ・天候変化に対応できる代替プログラムは検討したか?(計画)
   ・参加者の年齢層や経験度合いを把握できているか?(事前準備)
   ・参加者の服装や保護具等に不備はないか?(実施)
   ・落ち着いて自らの安全を確保したか?(事故発生時)
   ・類似する活動の事故情報を収集しているか?(日常)
 一つ一つのチェック項目は当たり前のことばかりですが、
 漏れ・抜けが起きないようにしようと心掛けています。

 作成することと同じくらい大事なのが「必要なタイミングで目に留まる場所に置いておくこと」。
 「計画」や「事前準備」に関する項目は、スタッフミーティングをするテーブルの近くに
 ラミネートしてぶら下げておいたり、「実施」や「事故発生時」に関する項目は、
 手持ちの進行表の書式(原本)にあらかじめ記載しておいたり…。

 (イヤでも,笑)目に入るようにしておきましょう。

checklist.jpg

 毎月1回(15日頃)に発行する、グリーンシティ福岡のメールマガジン。
 その中の「安全管理コラム」を月遅れでアップしています。
 メールマガジン配信ご希望の方はお問合せフォームよりお知らせください。

 今回は「事故事例収集」について。
 
 新聞やネットニュースなどで,自分が所属する団体や企業などでも起こ
 りうる事故事例(の記事)を見つけたら,コピペしてWordかなにかに
 貼付け,フォルダに入れておきましょう,というお話です。
 
 グリーンシティ福岡では,林業や森林ボランティア,自然体験プログラム,
 登山・アウトドア,公園や街路樹に関わる事故などを収集しています。
 1件につき1ファイルで,名称は年月日と地名。共有フォルダ→安全マ
 ニュアル→事故事例収集というフォルダの中に格納しています。
  【事故事例】121118岐阜県大垣市.doc
  【事故事例】130508山形県山形市.doc
  【事故事例】130728青森県三沢市.docなど
 後日,事故の続報があった場合は同じファイルの2ページ目以降に追記
 しています。
 
 何年か事故事例の収集を続けて,勉強になることも多いです。(山菜採
 りでの事故が毎年多いとか,スズメバチの事故で被害が大きくなるパタ
 ーンとか,事故後の裁判や補償の争点とか…)
 また,実際に置きた事故事例を題材に安全講習を行うこともあります。
 
 しかし一番の目的は「たぶん大丈夫やろう」という気持ちを,「起きる
 かもしれない」という気持ちに切り替えることかもしれません。
 安全管理にはいろんな仕組みやマニュアルがありますが,真剣さや切実
 さが無いとかたちだけになります。実際に置きてしまった事故から学び,
 少しでも事故を減らすことが大切です。
 
 【2019.02.14.追記】
 新聞記事やネットニュースなどのコピペを個人的に(私的利用)でなく
 団体や社内での回覧・共有用に行うと著作権法に違反する恐れがあります。
 私的利用に留めるか,(公社)日本複製権センター等の著作権管理団体と
 契約を行う等してご利用ください。
anzenkanri02.jpg
毎月1回(15日頃)に発行する、グリーンシティ福岡のメールマガジン。
その中の「安全管理コラム」を月遅れでアップしています。
メールマガジン配信ご希望の方はお問合せフォームよりお知らせください。

安全管理のコラム 第1回「安全管理」 2015年11月

 グリーンシティ福岡は結構、日々の安全管理を意識しています。
 朝礼・終礼で使う「二週間工程表」の書式には日々のチェック項目があり

 イベントごとに作成する「実施計画書」の表面にはリスクアセスメント,
 裏面には直前チェック項目があったりします。他にも,保険の加入や日々の
 事故事例の収集、四半期ごとのヒヤリハッと研究と救急箱の整理など…。
 
 きっかけの一つは2012年11月に岐阜県で起こった落枝事故。森林体験
 講座の一環で、間伐作業を離れたところから見学していた小学1年生の
 頭にスギの枯れ枝(長さ約3m)が落ちてきて、その後、亡くなった痛ま
 しい事故です。
 
 この事故を知り、たとえ刃物を使った作業でなくても重大な事故は起こり
 うること。活動フィールドを見て危険を判断する目を養うことが大事であ
 ることを痛感しました。都市部での活動が多い私たちですが、身近な自然
 とは言えあなどらず、二度とこのような事故が起きないようにしていきた
 いと思っています。
anzenkanri01.jpg
 グリーンシティ福岡の取組みや事例を中心に、「安全管理」に
 ついてのメルマガと本コラム(月遅れでアップ)で話題提供を行っていきます。
 メールマガジン配信ご希望の方はお問合せフォームよりお知らせください。
 
 よろしくお願いいたします。