理事の志賀が安全管理について感じたこと、考えたことを書いています。
理事の志賀が安全管理について感じたこと、考えたことを書いています。
報道やネット記事で見つけた、森や緑に関する事故、レジャーや体験活動、ボランティア活動の事故など、スタッフが気になった事故事例を収集しています。
私たちが収集した事故事例の件数を振り返ってみると…
2020年度 23件
2021年度 8件
2022年度 24件
2023年度 22件
2024年度 23件
となっていました。
3ヶ月に一度、集めた事故事例をスタッフ4人で読み合わせ、1事例を選んだ上で「事故事例研究」を行なっています。
今年、取り上げた事例は
「もらったミツバにキツネノボタンが混じっていて誤食」
「幼児がマムシグサを誤食」
でした。なんか誤食の事例が続いてますね。その時のスタッフの関心によるのだと思います。
昨年以前は
「湿地作業でのセルカリア性皮膚炎」
「草刈中のツツガムシ病感染」
「スギ伐倒時の下敷き事故」
「脚立からの転落事故」
「木工体験時のノミによる事故」
「磯釣りでの転落遭難」
「電動丸ノコでの切創事故」
「SNSの『炎上』事例」
などを取り上げて、事故事例研究を行なっています。
まずは「報道から読み取れる事実」、
そして「そこから推測できること、考えられること」を整理した上で、
「事故を起こさないための対応・対策」を考える、という手順です。
毎回、色んな気付きがあり、勉強になっています。
2016年9月の第11回「事故事例研究」でも紹介しています。
http://www.greencity-f.org/article/15464206.html
最近は事故事例のほとんどを、スタッフしおりんが集めてくれています。
(私は年に2〜3件くらい…?)。いつもありがとう!
森づくり団体や自然学校、環境学習施設、公園の指定管理者など、いろんな組織・団体の方におすすめしたい取り組みです。
志賀島縦断ウォーキングツアー中、イノシシの子ども「ウリボウ」が私たちの目の前を通り過ぎました。
右手の斜面をズドドドッと駆け下り、道路を横切り、左手の谷へ降りていきました。
「イノシシが見れた!」と喜ぶ声もありましたが、運営側としては一瞬身構える場面ですね。
野外活動の安全管理では、イノシシやシカ、サルとの遭遇も注意したいところ。
実際、最近の福岡市内のニュースでも
2024年8月 片江展望台でイノシシにかまれる事故(福岡市城南区)
https://www.youtube.com/watch?v=o8-SNzn5GHw
(2024.11.24.閲覧)
2024年11月 内野中央公園で男児がサルにかまれる事故(福岡市早良区)
https://www.youtube.com/watch?v=HQew2nG2b3k
(2024.11.24.閲覧)
などがありました。
九州にはクマが生息していませんが、クマ対策が必要な地域ではよりシビアかと思います。
環境省のウェブサイトには、イノシシによる人身被害の統計が掲載されています。
https://www.env.go.jp/nature/choju/docs/docs4/index.html
(2024.11.24.閲覧)
この統計には「狩猟や捕獲作業等に伴う事故」を除いた数値が記載されています。つまり、登山、犬の散歩、農作業中の事故などが対象。それでも2~3年に1件程度の死亡事故が報告されています。
狩猟にからんだ事故を含めるとしたらかなりの数になるかもしれません。
イノシシ被害防止についての具体的な資料としては以下が参考になります。
復興庁「避難12市町村における鳥獣被害対策」
https://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat1/sub-cat1-4/wildlife/20190118111241.html
(2024.11.24.閲覧)
※ページ中程の「福島県避難12市町村イノシシ被害対策技術マニュアル」
130ページ以上にわたる詳細なマニュアルです。(余談ですが、原発事故と避難指示にともなってこのような状況が起きていることを、知っておきたいですね)
野外活動の安全管理としては、VI章の「人身事故防止マニュアル」とその後の事例集が特に参考になりました。
個人的に付け加えるなら「獣道を見分ける目」を養いたいと感じています。
道路や登山道と交わるように獣道の「断面」が出てくることがあります。うっすらした踏み分け道だったり、筋状に落ち葉が踏まれて地表が出ていたり、ヤブがかき分けられていたり…。
明らかにわかる獣道は判断できるのですが、気付けていないものも多そう。
下見の時など、気を付けてチェックし、事前の注意やガイド等に活かせたらと思います。
森の落ち枝や剪定枝を集めて焚き火する時。
枝の中には結構な水分が残っています。
火にくべていると、枝の中の水分がグツグツと煮えて、道管(水分を吸い上げる管)や師管(養分を行き渡らせる管)を通って、手元の「木口(こぐち)」、つまり「枝を切った断面の部分」から出てきます。
蒸気のような気体がシューっと出てきたり、ブクブクと泡がたったり。蒸気や泡がなくても熱々なこともあります。
木ってやっぱり「管(くだ)」なんですね。
長い枝の手元を火から離れているからと安心して掴もうとしたら、うっかり熱々の木口で火傷するかもしれません。ご注意ください。
そんな注意点もありますが、森で拾った落ち枝や、森の手入れで発生した剪定枝、枯れ枝などで焚き火をするのは、森のエネルギーを有効活用しているような、ちょっとだけサバイバル体験をしているようなヨロコビがあります。
「これ燃えるかな?」と考えながら落ち枝を集めたり、手頃な大きさに切って太さごとに揃えたり、燃えやすいかたちに組んだりして、焚き火を楽しみたいと思います。
かなたけの里公園で行っている「はじめてのノコギリ・はじめてのたき火」
2023.11.15の様子 http://www.greencity-f.org/blog-post/376442
2022.12.7の様子 http://www.greencity-f.org/blog-post/373332
たき火関連の過去のコラム
第85回「焚き火と煙」2024年2月 http://www.greencity-f.org/blog-post/380540
第68回「風速5.0m/s」2021年12月 http://www.greencity-f.org/article/16445161.html
第58回「強風と乾燥時には焚き火をしない」2021年2月 http://www.greencity-f.org/article/16361101.html
第25回「着衣着火とSDR」 2018年1月 http://www.greencity-f.org/article/15862131.html
第24回「枝や串のこと」 2017年12月 http://www.greencity-f.org/article/15849816.html
先日、雷注意報が発令されている中、屋外イベントを実施しました。
中止も考えたのですが、
・現場の天候は晴れていたこと
・雷ナウキャストでは活動する雷雲が150kmほど離れていたこと
・すぐに逃げ込める施設周辺での活動だったこと
から実施としました。
事前にスタッフで共有したのは以下の2点。
・雷の音が少しでもしたらその時点で屋内に避難
・各自のスマホのトップに雷ナウキャストを置き、こまめにチェック
ナウキャストで黄色く示される活動度1以上の雷雲が近づいたら屋内に避難するつもりでイベントを進めました。実際は、雷の音を聞くこともなく、午前10時〜12時のイベントは無事終了。その日の夕方になってから、活動エリア周辺に雷雲がやってきました。
逃げ込める施設が近くにない場合や天候が急変しやすい山地での活動だったら、雷注意報の時点で中止や内容変更があり得たと思います。
それにしても、ナウキャストはありがたいですね。
気象庁が提供するリアルタイムに詳細な気象情報を提供するシステムです。
利用していない方はゼヒ!
下記ページで「雨雲」マークを押すと「雨雲の動き」、「雷雲」マークを押すと「雷活動度」が表示されます。
2023年7月、部活動帰りの中学生が熱中症で倒れ、その後、亡くなるという痛ましい事故がありました。ご家族や友人、周りのみなさんにとってたいへん辛い出来事だったと思います。
あらためてご冥福をお祈りいたします。
朝日新聞デジタル「熱中症の疑いで中学生死亡、1時間半の部活後帰る途中に 市が謝罪」
https://www.asahi.com/articles/ASR703JMHR7ZUZHB007.html (2024.08.12.閲覧)
1年ちょっとが経つ中、学校現場や行政では様々な対応や対策が行われてきたようです。報道に取り上げられた中からいくつか挙げておきます。
発生の翌月2023年8月に「米沢市小中学校熱中症対応ガイドライン」が更新されました。暑さ指数を計測する場面として「体育の授業」「運動会」に加えて「部活動」が追記され、指数が高い場合「中止」対応も明記されました。
米沢市「米沢市小中学校熱中症対応ガイドライン」
https://www.city.yonezawa.yamagata.jp/soshiki/11/1036/1/2037.html (2024.08.12.閲覧)
同じく2023年8月には、米沢市が遠距離通学の中学生31人の路線バス等の定期券代を全額補助することを決定しました。下校途中の事故だったことを受けての対応と思います。
朝日新聞デジタル「遠距離通学者にバス代を全額補助 米沢市、中学生の部活後の死亡受け」
https://www.asahi.com/articles/ASR8J6W4FR8JUZHB004.html (2024.08.12.閲覧)
今年2024年の4月には、市内学校に「暑さ指数」の観測機器を導入することが発表されました。米沢市と民間気象会社のウェザーニューズ社との包括連携協定により、半年間の試験運用を行うものです。
NHK NEWS WEB「米沢市 「暑さ指数」観測機器を市内の学校に試験的に導入へ」
https://www3.nhk.or.jp/lnews/yamagata/20240423/6020020346.html (2024.08.12.閲覧)
直近では2024年7月、熱中症を判定するAIカメラを市内7中学校に導入するといった報道もありました。
読売新聞オンライン「顔の表情などから熱中症のリスク判定、米沢市が「AIカメラ」を全中学校に導入へ…ポーラ化成工業開発」
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240626-OYT1T50221/ (2024.08.12.閲覧)
様々な対応、対策を行っている様子が伝わってきます。
それぞれの施策の良い点や改善点を活かしつつ、他の自治体、学校等に広まっていくと良いですね。
個人的に心に留めておきたいと思ったのは「一人でいることの危険」です。
複数でいればお互いにケアし合ったり、万が一体調不良の場合も助けを呼ぶことができたりできます。
が、一人でいた場合、熱中症の初期症状である熱失神であっても場合によっては致命的になりかねません。
イベントを実施する立場としては、休憩時間にちょっと離れている参加者の様子を伺ったり、イベントが終了して帰路に着く参加者の体調や表情を見ておくようにしたい、とあらためて思いました。
7月12日、朝日新聞さんがこんな労作を発表しました。
水難事故マップ
https://www.asahi.com/special/water-accident/
(2024.07.18.閲覧)
「海や川のレジャー事故発生場所を示した全国地図」です。
2013~22年の10年間の、海の事故8,329件、川や湖などの事故1,230件、合わせて1万件弱の事故がマップにプロットされています。
…作業、大変だっただろうな…。
ちなみに、海の事故データは海上保安庁の調査結果から。特定を防ぐために発生日時が含まれていません。
川や湖の事故データは河川財団が報道等から収集したもので、活動内容と当事者の年代が含まれていません。
河川財団さんのウェブサイトには、そのもとになった「全国の水難事故マップ(川・湖沼地等)」が公開されています。なんと、さらに10年ほど遡って、2003〜2023年のデータだそう。20年以上にわたって新聞やウェブニュースの水難事故の記事を収集されています。日頃の財団スタッフの方の地道な作業に頭が下がります。
全国の水難事故マップ(川・湖沼地等)
https://www.kasen.or.jp/mizube/tabid118.html
(2024.07.18.閲覧)
両者のマップとも、示された発生地点の精度はバラつきがあるでしょう。その点については注意が必要です。ともあれマップの取りまとめに感謝しつつ、参考にさせていただきたいと思います。
グリーンシティ福岡では水辺のイベントをほとんど行いませんが、気を付けたいですね。
いよいよ学校は夏休みに入ります。
皆さんも身近な水辺などを確認してみて、水難事故の防止にご活用ください。
映画「シン・ゴジラ」で「政治家の責任の取り方は己の進退だ」というセリフがありました。「責任をとること」=「辞めること」だったらシンプルですが、実際はそれだけではありませんよね。
先日の環境保全活動の研修会でも、トラブルを起こした後の「責任の取り方」が話題になりました。「責任を取る」という言葉には重たくてしんどい、時には悲壮感あるイメージがありますね。
でも、具体的なタスクの集まり、と捉えた方がいいんじゃないかと思っています。
英語では「責任」に三つの単語があるそうです。それを手掛かりに整理しました。
森の保全活動のボランティアでうっかり道具を壊してしまった(例えば唐グワの柄を折った等)。そんな場面を事例に考えてみます。
(今回、「誰がそれをやるのか?」は一旦、置いておきます。団体自体、団体の代表者、指導していたリーダー、壊した本人など、状況によって様々です。)
遂行責任(レスポンシビリティ)
遂行責任とは、約束や予定を果たすための取り組みです。ボランティア活動ではノルマや納期がないことが多いので、この責任はあまり大きくない気がします。それでも、その日の作業に区切りをつけ、次回以降も活動を続けていくためにはいくつかやることがあります。
説明責任(アカウンタビリティ)
説明責任とは、トラブルの原因と今後の対策を説明することです。目的は再発防止。以下のような取り組みを行います。
賠償責任(ライアビリティ)
賠償責任とは、損害を受けた相手に補償することです。ボランティア活動中に起きたトラブルの賠償責任を個人に負わせることは、よっぽどの故意や悪質でない限りありません。第三者に損害を与えた場合でも、団体が加入する賠償責任保険で金銭部分はカバーされるはずです。それでも細かな部分や感情の部分で、「賠償責任」的な動きは残ると思います。
政治家の「辞める」=「責任を取る」という考え方がどれにあてはまるかよくわかりませんが、とにかく「約束や予定を果たすこと」「再発防止を心がけること」「損害を受けた人が補償されること」を考えたいものだな、と思います。
野外活動やイベントなどで、事前に考えられるリスクを洗い出し、その危険度を評価することを「リスクアセスメント」と言います。(参考:安全管理のコラム第14回「リスクアセスメントとKY活動」2016年12月)。
一つの野外活動やイベントで考えられるリスクはいくつもあります。
・暑い中、作業して熱中症になる。
・ノコギリなどの刃物で指を切る。
・斜面で転んですり傷や打撲。
・器具を共有することによる感染症、などなど。
リスクアセスメントでは一つ一つのリスクについて、「頻度」と「程度」の二つの面から3段階評価するのですが、グリーンシティ福岡では、おおむね下記のような基準で評価をしています。
程度
1 病院に行かない怪我(例:すり傷、軽い打撲など)
2 病院に行く怪我(例:縫合が必要な傷、骨折など)
3 生命にかかわるほどの怪我(例:大量の出血、意識を失うなど)
頻度
1 滅多にないが考えられる(例:ニュースで耳にするような事故や怪我)
2 数年に1回起きうる(例:知人や近場で見聞きした事故や怪我)
3 年に数回起きうる(例:近年、自分の活動の中で起きた事故や怪我)
この「程度」と「頻度」を掛け合わせた数字を「危険度」と考えて、それが高いリスクから優先的に対策や対応を検討していきます。
図にすると3×3の九つのマスになりますね。縦が「程度」、横が「頻度」。マスの中が、二つを掛け合わせた「危険度」です。これは「リスクマトリクス」と呼ばれています。
この図表(というか考え方)は、問題点も指摘されているものの、全体を把握しやすくて役立ちます。
それぞれの危険度への対処について、おおまかにはこんなイメージだと思います。
<危険度9>
内容や場所、時期など根本的な計画の修正、もしくは中止の判断を行うリスクです。根本的な修正ができないのであれば、その活動やイベントはやるべきではありません。
<危険度6>
内容や場所、時期、プログラム時間の長さなど、あらかじめ計画レベルで修正を行って危険度を下げておくリスクです。特に「程度2×頻度3」とされたものは、病院に行くような怪我が頻繁に想定されるような活動ということです。内容そのものから検討すべきです。一方、よく「程度3×頻度2」と評価されるのは熱中症。夏季であればどんなに対策をしていても、本人の体調次第で救急車を呼ぶ事態があり得ます。予防するための対策、起きたときのための対応をしっかり準備しておく必要があります。
<危険度4、危険度3>
内容や場所の選定、適切な道具や保護具の準備、参加者への事前説明、リーダーによる目配りと指示などで、極力起きないように、もしくは起きたとしてもその被害を最小限に抑える準備をしておくリスクです。逆に言えば、対策や対応を行い実質的な危険度を1〜3に下げた上で「飲み込むリスク」と言えるかもしれません。
<危険度2、危険度1>
危険度が低く、対策や対応が後回しにされがちなリスクです。時間や予算には限りがあるので仕方ない面もあります。ですが、もし危険度2や1とされたリスクの中に、他にない切り口やハッと気付かされるようなものが出ていれば、対策や対応を考えてみるとよいと思います。活動やイベント運営全体に役立つ発見があることが多いです。
リスクアセスメントの作業はしっかり行うと時間がかかりますが、よいスタッフトレーニングになります。
あと、上記の「飲み込むリスク」という表現は誤解を与えそうですね。「起きても仕方ない」というつもりではありません。「参加者が望めば選べるようにしておく(≒挑戦できる場を奪わない)」みたいなニュアンスが近いと思います。
2/12に久々に「松葉の炭」を焼きました。
国営公園の中での取り組みなので、事前の火気使用許可や耐火レンガと砂を敷き詰めた作業場所、防火用水の準備など、公園職員のみなさんの段取りがたいへんだったと思います。ありがとうございました。
一日中、松葉を焼いて家に帰ったら、服から燻製のような煙のにおいがしました。普通の焚き火の時と比べても、グッと強い気がする…。やっぱり、松ヤニとかそんな関係で、煙も強烈なのかもしれません。それか…シンプルに一日中、煙を浴びたからかな?
焚き火の煙にまつわる安全管理と言えばキョウチクトウが知られています。樹木全体が有毒なので、煙にも毒が含まれてくるそう。庭木の剪定などで発生したものを薪に使ってしまうことがあるかもしれません。ご注意を。
また、検索すると、ウルシやハゼノキなどのウルシ科の植物も不向きと書かれていますね。
ウルシオール的にそうだろうな、と思いつつ、けれど、亡き恩師がご自宅の薪ストーブに使うためにハゼノキの丸太を持ち帰っていたことを思い出します。私が「先生、ハゼノキは燃やして大丈夫なんですか?」と尋ねると「これがトロトロと燃えてえぇ感じなんや〜」とおっしゃっていました。
とは言え、燃やす量や乾燥状態、部屋と薪ストーブの換気状況に寄ると思いますので、もし試すなら十分注意しながら&自己責任でお願いします。
昔から、かまどなどで煮炊きする時に使う薪としてクロキは煙が出やすいということで有名でした。あまりに煙が出るので(現代では言いにくい表現ですが)「ババゴロシの木」と呼ばれることもあったそう。かまどや五右衛門風呂などで火を焚く人が苦労する木だった、ということだと思います。
電気やガスが普及した日本ではイメージしにくいですが、まだまだ世界では焚き火で調理や暖をとっている人は多いです。下記サイトでは「世界30億人」とのこと。煙に長期間さらされることで「目の損傷、心臓や呼吸器の疾患、肺がん」などの健康被害を受けると言われています。
「世界30億人が「たき火」調理、煙害なくすには」ナショナルジオグラフィック.
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/090700341/ (2024.02.29.閲覧)
キャンプグッズとして人気の「BioLite」も、アウトドアマーケットで収益をあげて途上国の煙害を減らす、というブランドストーリーとなっていますね。
今回の松葉の炭づくりで使用した(株)モキ制作所の「無煙炭化器」にも共通することですが、煙を少なく、コントロールしながら上手に焚き火をすることは大事なスキルかと。
延焼や山火事、火傷だけでなく、近隣への迷惑や長い目で見た健康被害を減らすことになると思います。
今年1月2日に羽田空港で発生したJALと海上保安庁の衝突事故について。
翌1月3日には、航空安全推進連絡会議から緊急声明が発表されました。
詳しくは下記URLからどうぞ。
航空安全推進連絡会議(JFAS)
航空業界のことも航空機事故のことも詳しくはありませんが、私なりに要約するとこんな感じ。
・航空機事故を警察が捜査したことで原因究明に支障が出た事例がある。
・犯罪捜査と、事故原因究明のための調査は別物。
・国際ルールに則り「事故原因究明のための調査」を優先して。
なるほど。
何かの犯罪を対象にした時の「捜査」と、再発防止を目的にした原因究明の「調査」とでは、進め方や関係者の態度も変わるのでしょう。今回の緊急声明はその点が勉強になりました。
これを受けて、ちょこっと個人的な感想ですが、日頃の業務やイベントでトラブルやミスが起きた時も同じかもしれません。
発生したトラブルに対して「犯人探し」を行うか、「再発防止のための調査」を行うかで、組織の雰囲気や人間関係が変わってきそう。そして、長い目で見たら組織の安全管理に重大な影響を与えると思います。隠蔽とかのかたちで。
もちろん、後者の「再発防止のための調査」でいることが大事だと思っています。けれど自分でそう思っていても客観的にそう受け止められているかというと難しい…というか奥深いですね。言葉遣いの違いや当事者同士の人間関係、人によって受け止め方が違うことなど、中間管理職の人や学校教員だけでなく、親子関係でも友人関係でも、全国で3,000万人くらいの人が日々悩んでそうです。
年末になってダイハツの不正行為が大きなニュースになりました。
2023年4月に内部告発により不正が発覚。5月に第三者委員会を設置。
その第三者委員会の調査をもとに2023年12月20日に今回の発表があった、という経緯です。
第三者委員会の調査報告書はコチラ。
社内の状況や雰囲気では「失敗を報告すると怒られる」「無茶なスケジュールや目標値が設定されている」「問題を発見した人が解決しなくちゃいけない」といったことがあったようです。
X(twitter)界隈でも「ブラック企業あるある」「同じ内容の報告書何回か見た気がしますね」「どっかの○薬会社の報告書をコピペ」とか、「弊社やんけ!」「身に覚えがありすぎる…」「なんでウチのこと知ってる!?」と話題に。
あちこちで似たような状況が見られるということは、他人事ではないということですね。大きく見れば人口減少や年齢構成の変化などが、無茶なスケジュールや目標値、余裕のない体制につながっているとも言えそう…。
2021年4月のコラムで医薬品メーカーの製造不正を取り上げました。なんというか、今回の件でも書きたいことは同じです。なので今月のコラムは「以下同文」。
年末で忙しいからって手抜きじゃないですよ!違いますよ!「同じだ」という強いメッセージなのです(強弁)。…何卒よろしくお願いいたします。
安全管理のコラム第60回「医薬品の製造不正で」2021年4月
だいぶ以前から言われている「PDCAサイクル」に加えて、この数年「OODAループ」という言葉を聞きます。どちらも、なんらかの作業や活動をしながら改善を行っていくための考え方ですね。
ざっくりまとめるとこんな感じ。
PDCAサイクル:次の4ステップをグルグル回して改善していこう!
P 計画(Plan):目標を設定し、計画を立案する
D 行動(Do):現場で実践する
C 評価(Check):結果をふりかえり評価する
A 改善(Action):改善のための取り組みを行う
OODAループ:次の四つを比較的短い時間で(可能なら瞬時に)やって対応しよう!
O 観察(Observe):周囲の状況をよく観察し、情報を集める
O 判断(Orient):その状況を判断し、方向付けをする
D 決定(Decide):実際にどう行動するか検討し、決定する
A 行動(Act):決定に従って行動する
「PDCAサイクルはもう古い。これからはOODAループ!」とか言われることもありますが、古いor新しいということでもなさそうです。
里山保全活動でPDCAサイクルやOODAループがどんなものになるか、具体例を挙げてみました。
<PDCAサイクルの例>
P 計画:活動の2週間くらい前、タイムスケジュールと計画書を作成した。
D 行動:活動当日。計画に従って10時〜15時の竹切り作業を行った。
C 評価:作業終了後、担当者数名でふりかえりのKPTを行った。
A 改善:後日、ふりかえりでの改善点をもとに、道具や資料を更新した。
<OODAループの例>
O 観察:活動当日。作業者が道具置き場のブルーシートに
足を引っかけているのに気付いた。
O 判断:転倒などの事故を防ぐべきと判断し、何ができるか考えた。
D 決定:ブルーシートの位置を少し離れた場所に動かすことにした。
A 行動:数名に呼びかけてブルーシートを動かし、他の作業者にも
「荷物置き、動かしましたよー」と周知した。
PDCAサイクルは順を追って進めるので、ある程度時間がかかります。刻々と状況が変化する場面ではスピードが追いつかないこともあり、それが弱みと言えば弱み。一方、話し合ったり、書面にまとめたりしながら進めるので「組織で共有しながら継続していく取り組み」にはとても有効です。
OODAループは、全て現場で短期間(可能なら瞬時に)に行われます。「スピーディーに臨機応変な対応が求められる取り組み」にはとても有効。刻々と状況が変化する場面でこそ活きてきます。反対に、組織での共有や一体感、ノウハウの蓄積や引継ぎといった点では注意が必要と思います。
個人的には、PDCAサイクルの考え方は、事業計画や週間工程などに埋め込みやすく、新人にも参加や貢献してもらいやすいのがいいと感じます。OODAループは現場に立つ個人のモチベーションや資質によるところが大きい。乱暴に言えば「現場をよく見て、自分の頭で考えて、臨機応変に対応しろ」ということですもんね。うっかりすると根性論になりかねず、一般化や手法化のいい方法ってあるかな?と考え中です。
里山保全活動などの野外活動は、自然環境や天候、多様な参加者など刻々と状況が変化する取り組みです。PDCAサイクルの考え方だけでなく、OODAループの考え方も身につけていきたいものだな、と思います。
見出し
「ポカヨケ」という言い方を知りませんでした。
なんかかわいいですね。ポカヨケ。ちょっとポケモンっぽい。
意味は、作業ミス(ヒューマンエラー)を防止するための仕組みや装置のこと。「フールプルーフ」と近いですね。
ウィキペディアなどで挙げられている例は、
などです。
仕組みや装置というわけではありませんが、
なども、うっかりミスや事故を防ぐための習慣や取り組みですね。
グリーンシティ福岡の現場では、
などが当てはまると思います。
デスクワークでも、
といったことが最近、話題になりました。
たぶんポカヨケの一番の基礎は、事務所や作業場、デスク上の整理整頓でしょうね。
うっかりミスを防ぐための「ポカヨケ」、大事だなと思います。
今年の暑さはヤバいな、と感じます。
このコラムでは過去に3回、「熱中症」を取り上げています。
きびしい暑さの中で行う野外体験では熱中症対策が必須ですね。
こうのす山の親子体験ではお茶コーナーのジャグは二つ用意。一つはスポーツドリンクで、もう一つは氷水です。氷水の方はタオルや手拭いを洗ってしぼり、顔や首筋を拭くのにも使ってもらっています。
他にも「全体のプログラム時間を短くする」「活動場所の日当たりや体感温度を考慮する」など、できるだけのことをやっています。
さて、厚生労働省の人口動態調査では、熱中症で亡くなった方の数と推移がわかります。
グラフにしました。90年代〜00年代に比べると2010年代以降にかなり増えています。
65歳を区切りに色分けすると、とにかく65歳以上の増加が大きいことがわかります。
室内で、日常生活や就寝中に熱中症になる方が多いとも聞きます。
ご高齢の方はこれまでの習慣でエアコンを使わなかったり、体調変化を感じにくかったりすることがあるかもしれません。
ご家族や身近な方の過ごし方や体調をお互いに声をかけあいたいですね。
どうかみなさま、お気をつけてお過ごしください。
ということで6月16日にモリダスとNORAの共催で行われたイベント。
後日に行われたオンラインでのフォローアップも含めて、安全管理についてふりかえるとてもよい機会になりました。主催団体の松村正治さんもコラムにまとめてくださっています。ここの先月分も引用して「金言」とまで言っていただいて、うはは!照れるやら今さら責任を感じるやらです。
ということで、個人的に印象に残ったことを3点、挙げておきますね。
1.事例発表がすばらしかった&心強かった!
10数団体と連携してヒヤリハット事例の共有・蓄積を行ったり、異なる団体間でネットワークを作り定期的な安全担当者の情報交換を行うといったお話を聞くと、「やっぱ関東すごいな。層が厚いな」と感じました。
森林ボランティアの安全管理について、日々試行錯誤して、語り合い、蓄積している人たちがいるというのは心強い。特に、ヒヤリハットや事故の話題を共有できるってなかなかの信頼関係です。
2.「安全管理には二つの方向がある」仮説
仮説というと大げさですが、森林ボランティアの安全管理には「森や作業に人をあわせていく方向」と「人に森や作業をあわせていく方向」の二つあることを意識しておくといいんじゃないか?ということです。
森や作業に人をあわせていく方向なのは、
・適切な作業技術を身につける。
・装備と服装を準備する。
といったこと。できることが増え、作業の成果が大きくなり、環境改善も進みます。
人に森や作業をあわせていく方向なのは、
・作業場所や内容を無理のないものにする。
・作業中にリーダーが目を配る。
といったこと。いろんな人が参加できるようになり、周知や啓発につながります。
森林ボランティアは市民活動の一つのかたちなので、団体の雰囲気も多種多様です。団体によって二つの方向の割合は「6:4」だったり「3:7」だったりすると思います。ただ、両方向あることを意識しておくのは団体の多様性にとってはよいことだ、という気がします。
3.習慣に落とし込むの大事!けど、そのためのリソース配分に悩み続ける
先月も書いた通り「日頃の習慣に落とし込むのに必要なのは根性ではなく技術」。そう思っています。
具体的なタスクを活動スケジュールや業務工程の中に織り込んでいくことで、安全管理の技術も意識も高まります。ただ、やるといいタスクは膨大にある一方、そのために使える時間や予算には限りがあります。ボランティアなら時間は無限にある、なんてことはありませんし、NPOの管理部門の予算だって一般企業に比べたら微々たるもの…。
習慣化したり、定期的なタスクを作ることは、時間や予算といったリソースを配分すること。その優先順位や分担で悩むのは、まあ、当たり前だろうな、という気持ちでいます。
p.s.
ちなみにイベント当日の「ファシリテーション」に反省点ありすぎで、メモを貼り付けときます。
・前日や当日午前の視察を楽しみすぎて、本番の時点でなんかやり遂げた気になってたような…。
・ボリュームたっぷりの話題提供を丸ごと受け取ろうとしたのは無謀。当たり前だけど、ディスカッションではテーマを絞り込まないといけません。
・室外機のファンの音や近く人の話し声など、周囲の音に気をとられすぎ。でもそういう性分なので、これは事前準備の範疇です。
・進行役なのに、安全管理講座の講師になりかけたり、気がついて進行役に戻ったり、立場がフワフワ動いてたのがよくなかった。
・オンラインや会場の意見を全て拾おうとしてたけど、あれは一人では無理。グリーンシティのスタッフがいてくれるからできてるんだなあ。感謝しましょう。
8ヶ月ぶりにコラム復活です!パチパチパチ。
来週16日は、東京の地球環境パートナーシッププラザで行われる「現場の声をもとに考える里山・森林ボランティアの安全管理」で進行役として出席する予定です。森林ボランティアの安全管理についていくつか話題提供をいただいた後、ディスカッションをする予定です。
その出席にあたっての自分用のメモを今回のコラムにします(当日、この内容の話題提供は予定してません)。来月は、出席して気づいたことや共有したいことをまとめようと思います。
以下、メモ。
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安全管理の「全体像」を見渡したい。
その意味でCONEリスクマネジャーなどの講習を受けるのも効果的。
特に「事故を起こさないためにできること」っていろんな分野・切り口で無数にある。その視野を広げるのが大切。「起きた後の対応」も不可欠だし救急講座や保険加入も必須ではあるけど、それで安心してるのはヤバイ。
安全管理は、
活動を制限するために行うものではなく、
活動を続けるために行うもの。
あれもダメこれもダメ、こうしなくちゃダメという口調になることもある。仕方がない面もあるけれど。「安全管理は活動を安心して続けていくために行うもの」という考えを根っこにして、「これをしたいのであれば、これが必要」といった態度でいたい。で、それはかなり高度で難しいことな気がするけれど。
多様な人を受け入れる活動には、
多様な成果が内包されている。
森林ボランティアは市民活動の一つなので、多様な人を受け入れ、多様な成果を育てるような場であってほしい。自分たちの気持ちや関心、人数や経験度など、身の丈にあった活動を選ぶのが大事。「私たちの手に余るからこの作業はしない」とか。それに応じて必要十分な頻度や精度、労力をかけて安全管理を行いたい。
日頃の習慣に落とし込むのに必要なのは
根性ではなく技術。
安全管理の取り組みは、いかに自分たちに無理なく日頃の習慣に落とし込めるかがカギ。「必要な項目は網羅しているけど書くのがそんなにめんどくさくない書式を作る」とか、「多少のイレギュラーがあっても吸収できる作業計画を立てる」とか、「初めての人でもわかる道具の置き場所を決める」とか、「ミーティングや確認の時間をあらかじめ折り込んでおく」とか、「注意書きが目に留まる場所に来るように書く」とか。これらに必要なのは根性ではなく技術。お互いに教えあうことができる。
ボヤッとしてる人や時間も、あれはあれでいいもの。
「リダンダンシー」と呼べばかっこいい。
…んじゃないかな?
ボヤッとするなら安全な場所でどぞ。
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幼稚園のバスでお子さんが取り残されて亡くなるという悲しい事故がありました。
これに関連する報道の中で、アメリカのスクールバスの事故防止策を紹介する記事があります。
スクールバス製造会社「ICバス社」の「Leave No Student Behind Alarm System」。
公式ページの動画がコチラ。
https://www.youtube.com/watch?v=T0eUYv4YlLQ
言葉で説明すれば、
①バスを停めてエンジンを切ると車内でアラームが鳴る。
②アラームを止めるボタンは車内後方にある。
③運転手は車内後方にボタンを押しに行く。
④その途中で座席に子どもが残っていたら運転手の目に止まる。
というものです。
全くハイテクな感じじゃなく、むしろ「アナログ」と言うか「身体的」と言うか…。
ですがシンプルで効果的かもしれません。
事故やミスを防ぐための対策って、いろんな方向性やアプローチがありそうです。
どんなアプローチがあるか、思いつくものを挙げてみます。
◯根性論的なもの
「気を付ける」「心を入れ替える」「がんばる」と言ったもの。それだけでは不十分ですね。その気持ちでいるうちに具体的な対策を行わなければ、ほぼ無意味です。
◯報酬によるもの
「1年間無事故でボーナス」とか「忘れ物をしなかったらオヤツ」みたいなやり方。本人のモチベーションを高めることで、安全のための行動を促します。
◯懲罰によるもの
「事故でボーナスカット」とか「忘れ物をしたら怒る」みたいなやり方。上記と反対に、本人の危機感や責任感を高めることを狙っていると思います。ただ、これミスが起きた後の話なのでどのくらい効果があるでしょうか…?
◯教育によるもの
上司や先輩が教えたり、研修を行ったりするもの。本人の理解が深まったり、モチベーションが高まったりしますが、単発では効果が低い気がします。組織的に行ったり継続することで、風土のように根付いていくと思います。
◯習慣化によるもの
上記の「教育」の一種だと思いますが、事故やミスを防ぐための身体的動作をくりかえし現場で行って身体に染み付かせるものです。例えば「仕事場に到着したら道具を確認し日報に記入する」のような動作です。習慣化したい動作は2週間繰り返せば身体が覚えるという説があります。
◯人員体制によるもの
人員を増やしてチェック係や管理担当者を置いたり、チェックのための時間をとる方法。人員や時間、つまりコストをよりかけることになるので、無闇に増やすことはできません。また単純に人や時間を増やしただけでは解決しないというのも悩ましい…。教育や経験、時にはプロ意識のようなものが求められるからです。
◯チェックリストによるもの
やるべきこと、必要なことをリストにして、漏れがないか確認する方法です。手順や項目が多い時ほど絶大な効果を発揮しますが、最大の弱点は「見るか?手に取るか?」どうか。どんなによく出来たチェックリストでも参照されない限り無力です。必要な場面で目に留まるように配置できているかがキモ。
◯行動の制限や身体の誘導によるもの
今回のアメリカのスクールバスの事例のように、否応なく身体を動かしたり、制限したりする方法。プレス機や裁断機を操作する時の「両手起動スイッチ」は、誤ってどちらかの手を負傷しないように、わざと離れた位置にある二つのボタンを押させるというものです。どこかの高速SAのトイレの鍵を巨大化させて小物置きにしたら携帯の忘れ物が劇的に減ったのも似ています。携帯を持たない限りトイレから出られないように制限しているからです。
◯「ハイテク」によるもの
業界や仕事によってはチェックや品質管理をセンサーとAIが肩代わりしています。私たちのような野外活動や保全ボランティア分野では馴染みが薄い気はしますが、そのうち開発されるかもしれませんね。ちょっとずれるかもしれませんが、Apple Watchは身近な安全管理のハイテク機器と言えそうです。
◯負荷を減らすことによるもの
そもそも忙しすぎたり、体力的にしんどくて集中力が途切れたりしている場合は、仕事の量を減らすことが何よりの対策になると思います。むちゃな目標を達成するために現場が大変になっている時、どんな「報酬」も「教育」も「チェックリスト」もうまくいきません。余裕や余白、冗長性って実はすごく機能的なものなんじゃないかな、とも思います。
挙げていけば「装備・機材」とか「視覚化」とか「声がけ」とか他にもいろいろありそう。
「安全工学」界隈ではこういったことがうまく整理されているのかもですね。
不勉強で調べてません…。
とにかく、いろんなアプローチが考えられます。
小さな事故も、大きな悲しい事故も、減らすためにできることが必ずあると思います。
8/25あたりに岐阜県河川課のページがTwitterでバズってました。
togetterも貼っておきますね。
岐阜「だから川で泳ぐのやめてってば!」担当者の心の叫びが伝わる水難事故Q&Aがすごい「これは力作だ」
個人的に海や川は好きですが、プライベートで楽しむ以外に仕事として水辺のアクティビティをやったことがありません。グリーンシティ福岡も完全に「陸戦型」。
なので、川遊びや海の体験を業としてやってる人はすごいな、と思います。数秒気を失ったら命に関わるフィールドなので、水辺系の自然学校やアウトフィッターたちは安全管理意識が段違いですよ。
さて、冒頭の岐阜県のページ。
最初、見た目だけで「シンプルになが!」とちょっと笑いそうになりました。
けれど、スクロールダウンしていくうちに、繰り返し言ってきたことなんだな…、実際に発生した事故が元になったものがあるな…と伝わってきて、黙って読み進めることに。
行政に限らず組織が外に出す文章は、係員→係長→課長…といった具合に複数人のチェックが入って、整理・分類されたり、冗長な部分を削ぎ落とされて、無難なものになりがちです。
よく言えば「間違いがない、読みやすい」。悪く言えば「熱を失った、建前的な」。
けれどこのページ。長くて、再三同じことを繰り返しています。反面、熱意や意思が感じられて、生々しい。本当に伝えたい、という意気込みを感じます。
同じく水辺の安全について。
こちらの取り組みも、2007年から根気強く一つのメッセージを発信し続けています。
どちらも内容はもちろんですが、大切なことを繰り返し伝え続けるその姿勢を尊敬します。
先日、JCVN主催の安全管理についてのオンライン講座で話題になりました。
子どもがノコギリなどの刃物を使う時、サイズのあってない大きな軍手をしていることがあります。
それで、すべって危ないことがあると話が出たので、グリーンシティの事務所に置いてある各種サイズの子ども用軍手をご紹介しました。油山の森林ボランティアSさんから褒めていただいたので、コラムに書いときますね(笑)。
基本、イベントでもボランティア活動でも軍手は持参いただいています。けれど、小さいお子さんのいる親子連れが大人用の軍手しかお持ちでない、ということもあり…。そんな時、事務局で用意した子ども用軍手を貸し出すことがあります。
いろんなサイズがあるので、スムーズに選べるようスタッフあっちゃんが「軍手サイズ表」を作ってくれています。原寸でカラーコピーした軍手の画像をA3サイズのラミネートにしたもので、ここに手をあてるとどのサイズかわかって便利!(冷静に考えたらこれ「表」ではないな…。)
事務所にあるのは、子ども用の3S、2S、S、M、L。別のメーカーの「子ども用」、「レディース」そして一般用です。意外とレディースがフィットする小学生も多いですね。
最近は自前の軍手や手袋をご用意いただくことが増えたこともあり、貸し出す機会はめっきり減りました。
貸し出したら毎回洗濯しますが、新品を買い取ってもらう方式でもいいかもですね。ただ、子ども用の軍手って大人用より高いし、現場で現金のやりとりをしたくないこともあって、保留したままになっています。
ともあれ、フィットした軍手を使いましょう!