だいぶ以前から言われている「PDCAサイクル」に加えて、この数年「OODAループ」という言葉を聞きます。どちらも、なんらかの作業や活動をしながら改善を行っていくための考え方ですね。

ざっくりまとめるとこんな感じ。

 

PDCAサイクル:次の4ステップをグルグル回して改善していこう!

 P 計画(Plan):目標を設定し、計画を立案する

 D 行動(Do):現場で実践する

 C 評価(Check):結果をふりかえり評価する

 A 改善(Action):改善のための取り組みを行う

 

OODAループ:次の四つを比較的短い時間で(可能なら瞬時に)やって対応しよう!

 O 観察(Observe):周囲の状況をよく観察し、情報を集める

 O 判断(Orient):その状況を判断し、方向付けをする

 D 決定(Decide):実際にどう行動するか検討し、決定する

 A 行動(Act):決定に従って行動する

 

「PDCAサイクルはもう古い。これからはOODAループ!」とか言われることもありますが、古いor新しいということでもなさそうです。

 

里山保全活動でPDCAサイクルやOODAループがどんなものになるか、具体例を挙げてみました。

 

<PDCAサイクルの例>

 P 計画:活動の2週間くらい前、タイムスケジュールと計画書を作成した。

 D 行動:活動当日。計画に従って10時〜15時の竹切り作業を行った。

 C 評価:作業終了後、担当者数名でふりかえりのKPTを行った。

 A 改善:後日、ふりかえりでの改善点をもとに、道具や資料を更新した。

 

<OODAループの例>

 O 観察:活動当日。作業者が道具置き場のブルーシートに

      足を引っかけているのに気付いた。

 O 判断:転倒などの事故を防ぐべきと判断し、何ができるか考えた。

 D 決定:ブルーシートの位置を少し離れた場所に動かすことにした。

 A 行動:数名に呼びかけてブルーシートを動かし、他の作業者にも

      「荷物置き、動かしましたよー」と周知した。

 

PDCAサイクルは順を追って進めるので、ある程度時間がかかります。刻々と状況が変化する場面ではスピードが追いつかないこともあり、それが弱みと言えば弱み。一方、話し合ったり、書面にまとめたりしながら進めるので「組織で共有しながら継続していく取り組み」にはとても有効です。

OODAループは、全て現場で短期間(可能なら瞬時に)に行われます。「スピーディーに臨機応変な対応が求められる取り組み」にはとても有効。刻々と状況が変化する場面でこそ活きてきます。反対に、組織での共有や一体感、ノウハウの蓄積や引継ぎといった点では注意が必要と思います。

 

個人的には、PDCAサイクルの考え方は、事業計画や週間工程などに埋め込みやすく、新人にも参加や貢献してもらいやすいのがいいと感じます。OODAループは現場に立つ個人のモチベーションや資質によるところが大きい。乱暴に言えば「現場をよく見て、自分の頭で考えて、臨機応変に対応しろ」ということですもんね。うっかりすると根性論になりかねず、一般化や手法化のいい方法ってあるかな?と考え中です。

里山保全活動などの野外活動は、自然環境や天候、多様な参加者など刻々と状況が変化する取り組みです。PDCAサイクルの考え方だけでなく、OODAループの考え方も身につけていきたいものだな、と思います。

 

 「ポカヨケ」という言い方を知りませんでした。

 なんかかわいいですね。ポカヨケ。ちょっとポケモンっぽい。

 意味は、作業ミス(ヒューマンエラー)を防止するための仕組みや装置のこと。「フールプルーフ」と近いですね。

 

ウィキペディアなどで挙げられている例は、

  • プレス機などでスイッチを左右に分けて二つ同時押ししないと作動しないようにして、手を挟む事故を防ぐ。
  • 洗濯機で脱水が完全停止しないと蓋が開けられないようにして、巻き込みを防ぐ。
  • AT車でギアをPかN、かつブレーキを踏んでいないとエンジンを始動できないようにして、誤発進を防ぐ。

などです。

 

仕組みや装置というわけではありませんが、

  • 板前さんが包丁を置く時、必ず横向きに、そして刃を自分から見て向こう側に向けて置くこと。
  • イベント会場などで床を這うケーブル類を養生テープなどで貼り付けておくこと。

なども、うっかりミスや事故を防ぐための習慣や取り組みですね。

 

グリーンシティ福岡の現場では、

  • 森の作業で、小さいお子さんに渡す道具セットからあらかじめ剪定バサミをはずしておく。
  • クラフトで、切り出しナイフなどは使う時まで表に出さない。

などが当てはまると思います。

デスクワークでも、

  • データ移行ではカット&ペーストでなく、コピー&ペーストしよう。
  • ブログの編集手順を、データ消去が起こりにくい手順にしよう。

といったことが最近、話題になりました。

 

たぶんポカヨケの一番の基礎は、事務所や作業場、デスク上の整理整頓でしょうね。

うっかりミスを防ぐための「ポカヨケ」、大事だなと思います。

今年の暑さはヤバいな、と感じます。

このコラムでは過去に3回、「熱中症」を取り上げています。

第53回「例年以上に熱中症に注意?」2020年7月

第29回「屋外作業の熱中症4パターン」 2018年6月

第19回「熱中症になりにくい身体」 2017年7月

 

きびしい暑さの中で行う野外体験では熱中症対策が必須ですね

こうのす山の親子体験ではお茶コーナーのジャグは二つ用意。一つはスポーツドリンクで、もう一つは氷水です。氷水の方はタオルや手拭いを洗ってしぼり、顔や首筋を拭くのにも使ってもらっています。

他にも「全体のプログラム時間を短くする」「活動場所の日当たりや体感温度を考慮する」など、できるだけのことをやっています。

 

さて、厚生労働省の人口動態調査では、熱中症で亡くなった方の数と推移がわかります。

グラフにしました。90年代〜00年代に比べると2010年代以降にかなり増えています。

65歳を区切りに色分けすると、とにかく65歳以上の増加が大きいことがわかります。

室内で、日常生活や就寝中に熱中症になる方が多いとも聞きます。

ご高齢の方はこれまでの習慣でエアコンを使わなかったり、体調変化を感じにくかったりすることがあるかもしれません。

ご家族や身近な方の過ごし方や体調をお互いに声をかけあいたいですね。

どうかみなさま、お気をつけてお過ごしください。

 

 

ということで6月16日にモリダスNORAの共催で行われたイベント

後日に行われたオンラインでのフォローアップも含めて、安全管理についてふりかえるとてもよい機会になりました。主催団体の松村正治さんもコラムにまとめてくださっています。ここの先月分も引用して「金言」とまで言っていただいて、うはは!照れるやら今さら責任を感じるやらです。

ということで、個人的に印象に残ったことを3点、挙げておきますね。

 

1.事例発表がすばらしかった&心強かった!

 10数団体と連携してヒヤリハット事例の共有・蓄積を行ったり、異なる団体間でネットワークを作り定期的な安全担当者の情報交換を行うといったお話を聞くと、「やっぱ関東すごいな。層が厚いな」と感じました。

 森林ボランティアの安全管理について、日々試行錯誤して、語り合い、蓄積している人たちがいるというのは心強い。特に、ヒヤリハットや事故の話題を共有できるってなかなかの信頼関係です。

 

2.「安全管理には二つの方向がある」仮説

 仮説というと大げさですが、森林ボランティアの安全管理には「森や作業に人をあわせていく方向」と「人に森や作業をあわせていく方向」の二つあることを意識しておくといいんじゃないか?ということです。

 森や作業に人をあわせていく方向なのは、
  
・適切な作業技術を身につける。
  
・装備と服装を準備する。
 
といったこと。できることが増え、作業の成果が大きくなり、環境改善も進みます。

 人に森や作業をあわせていく方向なのは、
  ・作業場所や内容を無理のないものにする。
  
・作業中にリーダーが目を配る。
 
といったこと。いろんな人が参加できるようになり、周知や啓発につながります。

 森林ボランティアは市民活動の一つのかたちなので、団体の雰囲気も多種多様です。団体によって二つの方向の割合は「6:4」だったり「3:7」だったりすると思います。ただ、両方向あることを意識しておくのは団体の多様性にとってはよいことだ、という気がします。

 

3.習慣に落とし込むの大事!けど、そのためのリソース配分に悩み続ける

 先月も書いた通り「日頃の習慣に落とし込むのに必要なのは根性ではなく技術」。そう思っています。

 具体的なタスクを活動スケジュールや業務工程の中に織り込んでいくことで、安全管理の技術も意識も高まります。ただ、やるといいタスクは膨大にある一方、そのために使える時間や予算には限りがあります。ボランティアなら時間は無限にある、なんてことはありませんし、NPOの管理部門の予算だって一般企業に比べたら微々たるもの…。

 習慣化したり、定期的なタスクを作ることは、時間や予算といったリソースを配分すること。その優先順位や分担で悩むのは、まあ、当たり前だろうな、という気持ちでいます。

 

p.s.

ちなみにイベント当日の「ファシリテーション」に反省点ありすぎで、メモを貼り付けときます。

・前日や当日午前の視察を楽しみすぎて、本番の時点でなんかやり遂げた気になってたような…。

・ボリュームたっぷりの話題提供を丸ごと受け取ろうとしたのは無謀。当たり前だけど、ディスカッションではテーマを絞り込まないといけません。

・室外機のファンの音や近く人の話し声など、周囲の音に気をとられすぎ。でもそういう性分なので、これは事前準備の範疇です。

・進行役なのに、安全管理講座の講師になりかけたり、気がついて進行役に戻ったり、立場がフワフワ動いてたのがよくなかった。

・オンラインや会場の意見を全て拾おうとしてたけど、あれは一人では無理。グリーンシティのスタッフがいてくれるからできてるんだなあ。感謝しましょう。

 

 


8ヶ月ぶりにコラム復活です!パチパチパチ。

来週16日は、東京の地球環境パートナーシッププラザで行われる「現場の声をもとに考える里山・森林ボランティアの安全管理」で進行役として出席する予定です。森林ボランティアの安全管理についていくつか話題提供をいただいた後、ディスカッションをする予定です。

その出席にあたっての自分用のメモを今回のコラムにします(当日、この内容の話題提供は予定してません)。来月は、出席して気づいたことや共有したいことをまとめようと思います。

以下、メモ。
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安全管理の「全体像」を見渡したい。
その意味でCONEリスクマネジャーなどの講習を受けるのも効果的。

特に「事故を起こさないためにできること」っていろんな分野・切り口で無数にある。その視野を広げるのが大切。「起きた後の対応」も不可欠だし救急講座や保険加入も必須ではあるけど、それで安心してるのはヤバイ。

 

安全管理は、
活動を制限するために行うものではなく、
活動を続けるために行うもの。

あれもダメこれもダメ、こうしなくちゃダメという口調になることもある。仕方がない面もあるけれど。「安全管理は活動を安心して続けていくために行うもの」という考えを根っこにして、「これをしたいのであれば、これが必要」といった態度でいたい。で、それはかなり高度で難しいことな気がするけれど。

 

多様な人を受け入れる活動には、
多様な成果が内包されている。

森林ボランティアは市民活動の一つなので、多様な人を受け入れ、多様な成果を育てるような場であってほしい。自分たちの気持ちや関心、人数や経験度など、身の丈にあった活動を選ぶのが大事。「私たちの手に余るからこの作業はしない」とか。それに応じて必要十分な頻度や精度、労力をかけて安全管理を行いたい。

 

日頃の習慣に落とし込むのに必要なのは
根性ではなく技術。

安全管理の取り組みは、いかに自分たちに無理なく日頃の習慣に落とし込めるかがカギ。「必要な項目は網羅しているけど書くのがそんなにめんどくさくない書式を作る」とか、「多少のイレギュラーがあっても吸収できる作業計画を立てる」とか、「初めての人でもわかる道具の置き場所を決める」とか、「ミーティングや確認の時間をあらかじめ折り込んでおく」とか、「注意書きが目に留まる場所に来るように書く」とか。これらに必要なのは根性ではなく技術。お互いに教えあうことができる。

 

ボヤッとしてる人や時間も、あれはあれでいいもの。
「リダンダンシー」と呼べばかっこいい。

…んじゃないかな?
ボヤッとするなら安全な場所でどぞ。

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幼稚園のバスでお子さんが取り残されて亡くなるという悲しい事故がありました。

これに関連する報道の中で、アメリカのスクールバスの事故防止策を紹介する記事があります。

スクールバス製造会社「ICバス社」の「Leave No Student Behind Alarm System」。

公式ページの動画がコチラ。

https://www.youtube.com/watch?v=T0eUYv4YlLQ
 

言葉で説明すれば、

 ①バスを停めてエンジンを切ると車内でアラームが鳴る。

 ②アラームを止めるボタンは車内後方にある。

 ③運転手は車内後方にボタンを押しに行く。

 ④その途中で座席に子どもが残っていたら運転手の目に止まる。

というものです。
 

全くハイテクな感じじゃなく、むしろ「アナログ」と言うか「身体的」と言うか…。

ですがシンプルで効果的かもしれません。

事故やミスを防ぐための対策って、いろんな方向性やアプローチがありそうです。

どんなアプローチがあるか、思いつくものを挙げてみます。

 

◯根性論的なもの

 「気を付ける」「心を入れ替える」「がんばる」と言ったもの。それだけでは不十分ですね。その気持ちでいるうちに具体的な対策を行わなければ、ほぼ無意味です。

 

報酬によるもの

 「1年間無事故でボーナス」とか「忘れ物をしなかったらオヤツ」みたいなやり方。本人のモチベーションを高めることで、安全のための行動を促します。

 

懲罰によるもの

 「事故でボーナスカット」とか「忘れ物をしたら怒る」みたいなやり方。上記と反対に、本人の危機感や責任感を高めることを狙っていると思います。ただ、これミスが起きた後の話なのでどのくらい効果があるでしょうか…?

 

教育によるもの

 上司や先輩が教えたり、研修を行ったりするもの。本人の理解が深まったり、モチベーションが高まったりしますが、単発では効果が低い気がします。組織的に行ったり継続することで、風土のように根付いていくと思います。

 

習慣化によるもの

 上記の「教育」の一種だと思いますが、事故やミスを防ぐための身体的動作をくりかえし現場で行って身体に染み付かせるものです。例えば「仕事場に到着したら道具を確認し日報に記入する」のような動作です。習慣化したい動作は2週間繰り返せば身体が覚えるという説があります。

 

人員体制によるもの

 人員を増やしてチェック係や管理担当者を置いたり、チェックのための時間をとる方法。人員や時間、つまりコストをよりかけることになるので、無闇に増やすことはできません。また単純に人や時間を増やしただけでは解決しないというのも悩ましい…。教育や経験、時にはプロ意識のようなものが求められるからです。

 

◯チェックリストによるもの

 やるべきこと、必要なことをリストにして、漏れがないか確認する方法です。手順や項目が多い時ほど絶大な効果を発揮しますが、最大の弱点は「見るか?手に取るか?」どうか。どんなによく出来たチェックリストでも参照されない限り無力です。必要な場面で目に留まるように配置できているかがキモ。

 

行動の制限や身体の誘導によるもの

 今回のアメリカのスクールバスの事例のように、否応なく身体を動かしたり、制限したりする方法。プレス機や裁断機を操作する時の「両手起動スイッチ」は、誤ってどちらかの手を負傷しないように、わざと離れた位置にある二つのボタンを押させるというものです。どこかの高速SAのトイレの鍵を巨大化させて小物置きにしたら携帯の忘れ物が劇的に減ったのも似ています。携帯を持たない限りトイレから出られないように制限しているからです。

 

「ハイテク」によるもの

 業界や仕事によってはチェックや品質管理をセンサーとAIが肩代わりしています。私たちのような野外活動や保全ボランティア分野では馴染みが薄い気はしますが、そのうち開発されるかもしれませんね。ちょっとずれるかもしれませんが、Apple Watchは身近な安全管理のハイテク機器と言えそうです。

 

◯負荷を減らすことによるもの

 そもそも忙しすぎたり、体力的にしんどくて集中力が途切れたりしている場合は、仕事の量を減らすことが何よりの対策になると思います。むちゃな目標を達成するために現場が大変になっている時、どんな「報酬」も「教育」も「チェックリスト」もうまくいきません。余裕や余白、冗長性って実はすごく機能的なものなんじゃないかな、とも思います。

 

 

挙げていけば「装備・機材」とか「視覚化」とか「声がけ」とか他にもいろいろありそう。

「安全工学」界隈ではこういったことがうまく整理されているのかもですね。

不勉強で調べてません…。

 

とにかく、いろんなアプローチが考えられます。

小さな事故も、大きな悲しい事故も、減らすためにできることが必ずあると思います。

8/25あたりに岐阜県河川課のページがTwitterでバズってました。

水難事故等に関するQ&A(よくある質問)

togetterも貼っておきますね。

岐阜「だから川で泳ぐのやめてってば!」担当者の心の叫びが伝わる水難事故Q&Aがすごい「これは力作だ」

 

個人的に海や川は好きですが、プライベートで楽しむ以外に仕事として水辺のアクティビティをやったことがありません。グリーンシティ福岡も完全に「陸戦型」。

なので、川遊びや海の体験を業としてやってる人はすごいな、と思います。数秒気を失ったら命に関わるフィールドなので、水辺系の自然学校やアウトフィッターたちは安全管理意識が段違いですよ。

 

さて、冒頭の岐阜県のページ。

最初、見た目だけで「シンプルになが!」とちょっと笑いそうになりました。

けれど、スクロールダウンしていくうちに、繰り返し言ってきたことなんだな…、実際に発生した事故が元になったものがあるな…と伝わってきて、黙って読み進めることに。

 

行政に限らず組織が外に出す文章は、係員→係長→課長…といった具合に複数人のチェックが入って、整理・分類されたり、冗長な部分を削ぎ落とされて、無難なものになりがちです。

よく言えば「間違いがない、読みやすい」。悪く言えば「熱を失った、建前的な」。

けれどこのページ。長くて、再三同じことを繰り返しています。反面、熱意や意思が感じられて、生々しい。本当に伝えたい、という意気込みを感じます。

 

同じく水辺の安全について。

こちらの取り組みも、2007年から根気強く一つのメッセージを発信し続けています。

 

子どもたちにライジャケを!(Facebookページ)


どちらも内容はもちろんですが、大切なことを繰り返し伝え続けるその姿勢を尊敬します。

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先日、JCVN主催の安全管理についてのオンライン講座で話題になりました。

子どもがノコギリなどの刃物を使う時、サイズのあってない大きな軍手をしていることがあります。

それで、すべって危ないことがあると話が出たので、グリーンシティの事務所に置いてある各種サイズの子ども用軍手をご紹介しました。油山の森林ボランティアSさんから褒めていただいたので、コラムに書いときますね(笑)。

 

基本、イベントでもボランティア活動でも軍手は持参いただいています。けれど、小さいお子さんのいる親子連れが大人用の軍手しかお持ちでない、ということもあり…。そんな時、事務局で用意した子ども用軍手を貸し出すことがあります。

いろんなサイズがあるので、スムーズに選べるようスタッフあっちゃんが「軍手サイズ表」を作ってくれています。原寸でカラーコピーした軍手の画像をA3サイズのラミネートにしたもので、ここに手をあてるとどのサイズかわかって便利!(冷静に考えたらこれ「表」ではないな…。)

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事務所にあるのは、子ども用の3S、2S、S、M、L。別のメーカーの「子ども用」、「レディース」そして一般用です。意外とレディースがフィットする小学生も多いですね。

 

最近は自前の軍手や手袋をご用意いただくことが増えたこともあり、貸し出す機会はめっきり減りました。

貸し出したら毎回洗濯しますが、新品を買い取ってもらう方式でもいいかもですね。ただ、子ども用の軍手って大人用より高いし、現場で現金のやりとりをしたくないこともあって、保留したままになっています。

 

ともあれ、フィットした軍手を使いましょう!

 昨年2月の安全管理コラムで「日本の死者数が前年より1.5万人減」という記事を取り上げたのですが、今年2月に出たのは「国内死亡数が急増」というニュースでした。


「国内死亡数が急増、1〜3月3.8万人増 コロナ感染死の4倍」日本経済新聞. (2022.07.02.閲覧)https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA021SU0S2A600C2000000/

「21年の死者、戦後最多145万人 デルタ株流行が影響 厚労省速報」朝日新聞デジタル. (2022.07.02.閲覧)https://www.asahi.com/articles/ASQ2T54GBQ2TUTFL005.html

 

 日経は「急増」と書いてるし、朝日は「デルタ株の流行が影響した」と断言してます。ちょっと不安に感じますね。試しにグラフを作ってみました。厚労省の人口動態調査の数字です。

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 オレンジが死亡数(単位:万人)で左側の目盛り。青が前年との増減(単位:万人)で右側の目盛りです。

 

 はっきりわかるのはこの四半世紀ずっと増加傾向だということですね。高齢化が進むとはこういうことなのか…。

 

 日経に書かれている通り2020年に比べたら2021年は「急増」していますが、最近の傾向の中に収まっている気もします。朝日の「デルタ株流行が影響」というのは嘘ではなさそうですが、それが主因と読めるように書いてもいいのかどうか…ちょっと疑問。(2021年にデルタ株以外も含めた新型コロナ感染症で亡くなった方は1.5万人弱です)

 

 統計については素人ですが、前年との増減(青い棒グラフの上下)に何か意味を見出そうとするのは大変そう。一方、四半世紀のトレンド(オレンジ色の折れ線グラフの傾き)は明確ですね。確実にこれからの社会を考える手がかりの一つだと思います。

 話題になった書籍「FACTFULNESS」にあるように、事実を確かめたり、時系列に並べたり、他の対象と比べたりするのは大事ですね。安全管理にも必要な視点だと思います。

 少し前、2022年4月にネットニュースで見かけました。国立公園内の植物をナタで刈った疑いで男性2人が書類送検されたそうです。

 

 場所は小笠原諸島の母島で、約240メートルにわたってヒメフトモモやシマモチといった植物9種計17本をナタで刈ったとのこと。これによる自然公園法違反の疑いです。目的は釣りに行くための道づくりだったそうで、別の報道では、巨大魚のロウニンアジを釣れる場所を探して農道から海岸へ行く道を切り開いた、ともありました。


「世界遺産・小笠原で植物損傷容疑 「釣り行くため」240m傷つける」朝日新聞デジタル. https://www.asahi.com/articles/ASQ4L365GQ4HUTIL031.html(2022.05.31.閲覧)


 この「自然公園法」で言う自然公園とは以下の3種類のことです。


 国立公園_______日本を代表する自然の風景地(全国で34箇所)

 国定公園_______国立公園に準ずる優れた自然の風景地(同56箇所)

 都道府県立自然公園__都道府県を代表する自然の風景地(同311箇所)

 

 さらに一つの自然公園の中では、自然環境の重要度などに応じてエリア分けが行われ、それぞれ許可が必要な行為などが細かく定められています。


 特別保護地区____特に厳重に景観の保護を図る地区

 第一種特別地域___現在の風致を極力保護する地域

 第二種特別地域___農林漁業活動について努めて調整を図る地域

 第三種特別地域___通常の農林漁業は風致の維持に影響が少ない地域

 普通地域______地域内の集落や農耕地など

 


 今回の件が刑事事件にまでなったのは、世界自然遺産でもある小笠原国立公園の中でも、特に重要な「特別保護地区」で起きたというのが理由ですね。

 森林ボランティアでは、わりと普通に草木を伐ったり森の中に通路を作ったりします。いくら善意でやっていたとしても、うっかり法令違反してしまっては問題。皆さんも身近な自然公園の範囲を調べてみてください。

 


 ちなみに、福岡市域ではどのあたりが自然公園になるかというと…。

 

 玄海国定公園______奈多海岸から志賀島、能古島、糸島半島へ

 脊振雷山県立自然公園__佐賀県と接する脊振山脈一帯

 


 私たちも「しかボラ(志賀島森林保全ボランティア)」で自然公園周辺での活動を行っています。

 特に、志賀海神社の裏手から通称「火焔塚ルート」の山頂向かって右手側。そして潮見公園周辺が「第二種特別地域」となっています。小笠原の事例のように「国立公園」の「特別保護地区」というわけではありませんが、自然公園の区域内です。気をつけます。

 

 余談ですが、自然公園の範囲や制限などについては、情報発信がまだまだ進んでいませんね。スキャンした地図のPDFがアップされているくらいで、見やすく使いやすい地図はなかなかありません。なんとかならないかなあ?

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先月、スタッフのまさみんから花粉症になった話を聞きました。

週末にスズメノカタビラでリースを作ろうとしたら、くしゃみ鼻水が止まらなくなったんですって!


コラム「草花クラフト」にその時のことが書かれてます。


スズメノカタビラは、道端や庭、田畑、校庭などごく普通に見られます。一番「雑草」って言われがちな草かも?イネ科の植物で、シャラシャラとした穂をつけます。よく見るとかわいい。


イネ科の植物は風媒花(ふうばいか)なので、花粉を風に運んでもらって増えていきます。イネもコムギも、竹の仲間やススキもイネ科なので花粉を飛ばします。

この飛んでくる花粉が原因になるということですね。


花粉症というとスギやヒノキが有名ですが、それ以外にも様々な植物が季節ごとに花粉を飛ばします。

九州地方で花粉症を起こす花粉が飛ぶ時期はだいたいこのくらい。

 ス ギ   2-3月

 ヒノキ   3-4月

 イネ科   4-5月 カモガヤ、ハルガヤなど

 キク科 9-10月 ブタクサやヨモギなど

参考文献: 環境省(2019)花粉症環境保健マニュアル2019.

https://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/manual/2019_full.pdf

 

実は、私もスズメノカタビラで花粉症が出るとは知りませんでした。おそらくそんなに多くの人でなく、一部の人だけだとは思いますが…。

イベントなどで、大人数で草地で遊んだり、草花クラフトしたり、草むしりをする場合は、時期を考慮して気をつけたいと思います。まれなようですが、喘息の発作やアナフィラキシーショックを起こした例もあるそうです。


一つ幸いなのは、イネ科の花粉はあまり飛ばないことです。

スギやヒノキの花粉は何十キロも飛散するので逃げられません。しかし、イネ科の花粉は飛んでもせいぜい数十メートル程度。草地から離れたら避けることができます。

72suzumenokatabira+.jpg

つい先日(3/24-25頃)、バズってたのが面白いと思ったのでtogetter貼っておきますね。


なんか許されているけど正直ダメな気がするもの3選「サウナの整い」「カフェイン」「餅」


サウナもカフェインも餅も、それぞれ一定のリスクはありそうですね。

サウナのヒートショックにしろ、カフェインの過剰摂取や常習性にしろ、餅の誤嚥にしろ、みなさん十分ご注意ください。自分自身は、サウナの水風呂は冷たくて苦手、コーヒーは2日に1杯程度、餅は好き、という感じです。

みんな普通にやってるけど、よくよく考えたらリスク結構高いんじゃないの?という行為って他にもいろいろありそうです。

リンク先のつぶやきの中では確かに「自動車」はかなりのもの。交通事故死者数、以前は1万人超でしたが昨年はじめて3,000人を下回りました。とは言え国内だけで毎年数千人の命を奪っている道具であることは事実。みんなそれを飲み込んで、利便性や経済的恩恵を享受しているということかと思います。

また「クレジットカードは今ならセキュリティ面で絶対認可されない」というのもそうかもな、と思いました。数十年前ならOKだったけど、今からはじめようと言ってもだれも賛同してくれなさそう。いや、このあたりのセキュリティは詳しくないですが、以前は手書きのサインで、最近でもカード裏に印字されたセキュリティコードで認証するって、なんか牧歌的だなという気がします。

 

記事を読んで考えたのは…

 

○ みんなある程度のリスクを飲み込んで暮らしている___利便性や気持ちよさ、かかる手間ひまとの兼ね合いでリスクを許容したり、補償しあっていること。

 

○ リスクに対する評価は暮らしぶりの変化や技術の進歩で変わる___以前なら大丈夫とされていた行為が時代が進んで非常識になったり、野蛮に感じられたりすること。

 

○ 慣れ親しんだリスクは低く、新しいリスクは高く評価する傾向がある___これまでやってきた危険行為の(飲み込めている)リスクよりも、新しい行為の(飲み込めていない)リスクに目が行きがちなこと。

 

といったことです。

 

まあとにかく、時々スッと真顔に戻って「これよく考えたらやばくない?」と、立ち止まれるといいなと思います。これまでの行為を見直したり、公平な視点でリスク評価するってわりと難しいですけれど…。できてませんよ(笑)、できてませんが、努めたいことかと。

前回コラムの写真には「ハインリッヒの法則」の図が載っています。

安全管理の研修ではお馴染みの考え方で、ハインリッヒという人が1929年に出した論文が初出です。

 

おおざっぱに言うと、事故やヒヤリハットは

 重大な事故:1

 軽微な事故:29

 ヒヤリハット:300

という割合で起きているということが統計的な調査からわかった、というものです。

ウィキペディア「ハインリッヒの法則」に詳しいので時間のある方はどうぞ!

 

ハインリッヒの法則をビジュアル化したのが下のピラミッドの図です。

安全についての社内ミーティングや研修でやることをお勧めしている「事故事例研究」や「ヒヤリハット研究」は、このピラミッドの図で言うと、どのあたりの出来事を対象にしているか?も書き加えてみました。

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報道された事故を題材にして行う「事故事例研究」は、ピラミッドの頂上の部分にあたります。ネットニュースや新聞などで見られる事故は人命に関わるものだったり影響の大きいものだったり、重大な事故であることがほとんどだからです。掲載されているのは「ニュース性」があると判断されたものなので当然と言えば当然。

 

反対に「ヒヤリハット研究」は、ピラミッドの下の部分です。自団体の出来事や活動経験の中では、実際の被害は無かったヒヤリハットか、あったとしても比較的軽い事故が多い。それらが題材となるからです。確かに重大事故も起き得るのですが頻度としては少ないと思います。

 

この図を見ながら我が身をふりかえって思うのは「中程度の事故」、例えば病院に行く程度の事故(骨折や大きめの切創など)については、知識が少なかったり想定ができていないかもしれないな、ということです。(そしてそれはこれまで身近ではそのような怪我や事故があまり起きてないと言う幸運なことだと思います。)

この辺りの「中程度の事故」については、ボランティア保険を扱っている立場の方が情報をたくさんお持ちではないかと思います。森林ボランティア界隈で言えば、「グリーンボランティア保険」の取り扱い窓口となっているNPO法人森づくりフォーラムさんなどです。

ちょうど森づくりフォーラムさんではこれまでの事故事例などを整理・集計されているそう。いずれ情報交換させてもらえたらと思っています。

この週末(2022.01.29-30.)はモリダス主催による「野外体験活動における安全管理とコミュニケーション研修」に講師としてお招きいただきました。

多摩市の森林ボランティアのネットワーク組織である「森木会(しんぼくかい)」のみなさんも多く受講してくださり、森の活動にフォーカスした安全管理や団体運営をじっくり話し合いました。

その2日目では午前中いっぱいを使って「ヒヤリハット」をテーマに講義や実習をを行いました。

「ヒヤリハット」とは、事故にはならなかったけどヒヤリとしたりハッとした事故一歩手前の出来事のこと。そんなヒヤリハットに気付いて、今後の改善に活かしていくことはその組織の安全管理上、重要かつ効果的だと考えています。

 

発生したヒヤリハットが具体的な改善案や対策に活きるまでには、いくつかの分岐があります。

 

1.「気づく」か「見過ごす」か?

 あぶない!と思う状況が起きても気づかないことがあります。特に未経験者や新人の場合は状況を把握できておらず見過ごしてしまうことも。それがヒヤリハットだと気付いた時点ですばらしいことだと思います。

 

2.「現場で共有する」か「自分だけに留める」か?

 そのヒヤリハットを現場にいるうちに周りのスタッフや関係者と共有したり、内容によっては参加者やボランティアにアナウンスしていくことが次の一歩。恥ずかしく思ったり、マズいと感じて誰にも言わずソッと自分の心のうちに留めていると、うやむやになってしまいます。そしてきっと同じことが起きる…。

 

3.「記録して残す」か「記録せず忘れる」か?

 ヒヤリハットを記録することで、あらためて改善案や対策を考える時の材料にすることができます。活動やイベントの当日、記憶が生々しくてよく覚えているうちに活動日誌やふりかえりメモ、報告メールなどに記録するとよいです。そうでなければ、きっとみんな忘れてしまいます。

 

4.「記録を見返して対策する」か「記録を埋もれさせる」か?

 記録したヒヤリハットは見返すことで効果を発揮します。いくら記録をため込んでも、埋もれさせては時間や労力の無駄。直後でもいいですし、定期的なミーティングで取り上げるのでもよいと思います。発生したヒヤリハットは、関係者で共有しつつ、改善案や対策を立案し、それを実行することではじめて活かされます。

 

6年前ですが「ヒヤリハット研究」のやり方をこのブログにも書きました。よろしければこちらもどうぞ!

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先日かなたけの里公園で行なったイベント「はじめてのたき火・はじめてのノコギリ」の当日。

天気予報での風速は5.0m/sとなっていました。つまり1秒間に5.0m進む速さの風。時速に置き換えると18km/hなので大したことないような気もします。

ですが、吹きさらしのたき火スペースを使うのはやめにして、半屋外の炊事棟にあるブロックで区切られたかまどスペースに変更して実施しました。当日の様子はコチラ

 

さて、気象用語の定義では、「風速」「瞬間風速」は次のとおりです。

 風  速:10分間の平均風速(単位:m/s)

 瞬間風速:3秒間の平均風速(単位:m/s)

天気予報などで見かけるのは「風速(10分平均)」ですね。お天気番組では「最大瞬間風速」を口頭で付け加えたりします。「瞬間風速(3秒平均)」のうち最大のものです。

 

一般的に「瞬間風速」は「風速」の1.5倍から3.0倍、時にはそれ以上になるのだそう。

なので冒頭のたき火プログラムの日、天気予報での風速が5.0mだったということは、最大瞬間風速が15.0mとかになってもおかしくないということですね。

 

風速の数字を見なくても現地の体感で、風がビュービュー吹いて、たき火の火が真横に流れるようだったり、くべた焚き付けの葉っぱが舞い上がって他所に飛んでいくようであれば十分危険な状況です。中止や場所の変更を考えた方がよいと思います。

もちろん「強風注意報」が出ているのであれば問答無用でたき火イベントは中止(まさか「暴風警報」が出ている時にたき火をしようとする人はいないと思います)。

ちなみに福岡市の場合、風速12m/sを目安に「強風注意報」、風速20m/sを目安に「暴風警報」が発令されます。目安となる風速は地域によって異なります。

 

天気予報の風速5.0m/sで「焚き火中止」を呼びかける体験施設やキャンプ場もあります。

指導者が付き添っているかどうか?たき火場所の周辺がどんな環境か?などで判断は変わると思いますが、天気予報の風速5.0m/sは一つの判断ポイントになるように思います。

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いや、実際11月のグリーンシティはやたらと忙しかったです。多くの方のおかげでもあり、ありがたいお話です。

まあでもあんまり忙しくなると、それは安全管理上でも問題かもしれません。どんな問題になり得るか、思いついたものを挙げてみます。


<準備がおろそかになる>

 この「準備おろそか系」の問題にはいくつか種類がありそうです。

 まず「事前の情報共有が不十分になる」。スタッフ同士の「あれやっといてね」とか「タイムスケジュール変更しました」などをしっかり共有する時間がとれなかったり、メール等を流していても見る暇がなかったり。

 また「計画や手続きを省略する」ということもありそうで、いつもは作成している実施計画書や道具チェックリストなどをつい、ザッと済ませたり、省略したりすることも起こるかもしれません。

 その結果「道具の忘れ物」が発生して、あわてて取りに戻ったり、現場の有り合わせのもので対応したりすることもありそうです。


<あわてた作業、無理な作業>

 時間が足りない状況ではつい、「あわてた作業、無理な作業」をしてしまうことがあります。走ったり、荷物をたくさん運ぼうとしたり、車を飛ばしたり。その結果、事故や怪我が発生するかもしれません。

<寝不足とそれによる注意力の低下>

 個人に起こりやすいのは、がんばりすぎて夜中過ぎまで仕事して「寝不足」になって、仕事現場で体調不良や見落としが起きるといったことです。寝不足と水分不足はてきめんに仕事のクオリティに影響しますね。

 また「注意力の低下」で危険な兆候や参加者の体調不良に気づけなくなることも考えられます。体力や気力が落ちて注意が散漫になることもありますが、他の考えことや気がかり、「帰ったらあの仕事もしなくちゃ」などがあって目の前の出来事に集中できなくなるということもあります。


<心が離れる>

 忙しい時には挨拶や会話がおろそかになったり、落ち着かない態度だったりして、スタッフ同士や参加者との「心が離れる」ということも起こります。関係づくりがうまくいってない状況。こうなると、説明や注意が行き届かなくなったり、ちょっとした素振りが誤解や反感を生んだりすることもあります。そうやって理解不足やイライラが広まっていくと、事故や怪我も起こりやすくなります。


あぁ!書いてて苦しくなってきますよ(笑)。

幸い、忙しいながらもグリーンシティでは準備や体調管理、関係づくりは「大丈夫」な状態で11月を乗りきることができたと思います。実施計画書もほぼ作ってる、ヘルメットやノコギリの手入れも良い、当日の実施後にはKPTをして後日ファイルで共有した、ブログも書いてる...。スタッフみんなのおかげですね。ありがとう!

あらためて、無理に仕事をとってこない、とか、スタッフ体勢や休日の計画を行う、とか、あわててると感じた時は深呼吸、とかも安全管理としてやっていかねばなあ、と、当たり前なんですが考えたのでした。

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全然「ヨシ!」じゃない場面で「ヨシ!」をするキャラ「現場猫」もしくは「仕事猫」。

その活躍っぷりを見たい方は「現場猫」や「仕事猫」で画像検索してみてください。

そんな現場猫が生まれた経緯はこちらのブログにばっちりまとめられているのでリンク先をどうぞ!


ゼロ災ブログ「【どうして】「現場猫(仕事猫)とかいう謎キャラまとめ【元ネタ】(2021.10.25.確認)


上記ブログをあえて要約するとこんな感じ↓。

2016年8月 くまみね(@kumamine)さんが「電話猫」を描く。様々なコラが派生。

2017年11月 いろいろ合わさって「現場猫」爆誕。

2018年ごろ あちこちの仕事現場で「ヨシ!」と大活躍。

2019年6月 くまみね(@kumamine)さんが(版権的に問題ないであろう)「仕事猫」を描く。

2019年ごろ 「仕事猫」となり、LINEスタンプやキーホルダーなど現実世界に進出。

 

そしてとうとう啓発ツールにも使われ始めました。なんと中央労働災害防止協会(中災防)の安全衛生標語ポスターや卓上POPにも採用されています。このあたりとか。

数多くの事故やヒヤリハットに直面してきた(?)仕事猫が安全標語ポスターになっているのはたいへん味わい深い。説得力が無いような、いやむしろすごく実感がこもってる…のか…?

はじめて見る人には単なるかわいい猫のキャラクターかもしれませんが、イラストとしては「両目の焦点が無限遠」っぽく、つまり目の前の人やものを見てないように見えることとか、「黒目に輝きがないこと」とかが、ほんのり不安やシュールさを感じさせてじわじわきます。

 

まあでも、一般的な行儀の良い、いかにもなマスコットキャラクターって建前っぽくて上すべりしがちです。心に届かないだけでなく、押し付けられたようでうっすら反感すら感じるかもしれません。

その点、仕事猫は少しブラックな感じや飄々とした面白さがいいのかもですね。いろんな職業の人の手で様々なコラを作られてきたキャラクターなので、働く人の目線に近いということもあるかも?とか考えたりしています。

 

同じくネットで話題になったキャラクターが啓発ツールに採用された例では、埼玉県警の「交通事故ハザードマップ2021」があります。昨年、Twitterで注目を集めた4コマ漫画「100日後に死ぬワニ」のキャラクターが使われています。

漫画のラストと結びつけて考えると「交通事故ハザードマップに採用してよかったのか?」という気がしなくもありませんが、多くの人に手にとってもらえるのは確かじゃないかと…。

 

猫にしろワニにしろ、そこはかとなく不穏な、ブラックな雰囲気はありますが(笑)、見た目だけでなく、経緯や物語も含んだキャラクターとして安全管理界隈で活躍してくれています。

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(一社)日本損害保険協会は毎年「全国交通事故多発交差点マップあなたの地域の事故多発交差点はここだ!」を公開しています。

 各都道府県ごとにワースト5が挙げられていますので、お住まいの地域を確認してみてください。ちなみに福岡県の令和2年のワースト5(6箇所)は下記の通りです。

  1. 針摺交差点(22件)

  2. 六本松交差点(15件)

  3. 安部山入口交差点(11件)

  4. 二先山交差点(10件)

  5. 西体育館前交差点(9件)

  5. 徳永交差点(9件)

 ワースト1の針摺交差点は、某 "ゆめのあるモール" 筑紫野店のすぐ横で、福岡南バイパスの高架をくぐる変則五差路です。確かに初見の人は停止位置を間違えたりするかもしれません。

 ワースト2の六本松交差点はこの10年名前が挙がってなかったのにはじめてワースト5に入ってきました。2019年11月に交差点改良工事が完了して右折レーンが2車線になったばかり。渋滞が緩和されてありがたかったのですが、これがなにか関係あるかどうか…?

 

 ついでですので範囲を福岡県全域から福岡市内のみに狭めて、平成22年以降の11年間でワースト5に挙げられた回数を交差点ごとにカウントしてみました。

 6回___蔵本

 5回___千鳥橋、渡辺通1丁目

 3回___美野島、新二又瀬橋

 2回___渡辺通4丁目、立花寺北、博多駅前3丁目、

     外環西口交差点(旧青果市場入口交差点)

 1回___半道橋出口、那の川四ツ角、井尻4丁目、清水四ツ角、

     愛宕、原、箱崎ふ頭西側入口、井尻六ツ角、

     ガンセンター入口、六本松、西体育館前、徳永

 

 地元の人なら「あそこかー」とわかると思います。当たり前ですが交通量が多い場所ですね。

 蔵本、千鳥橋、渡辺通1丁目は、10年以上前からワースト5に何度も名前の挙がってきた交差点ということになります。一方で、わりと毎年入れ替わりがあるんだな、とも気付きました。事故の多い交差点については信号機のLED化や車線のカラー舗装、車線工事などで改良が行われることもあります。その結果、入れ替わるのかもしれません。

 

 全国的には福岡県は、東京都・大阪府・愛知県に続いて4番目に交通事故の発生件数が多いです(2020年度)。そして全ての事故発生件数を分母にした交差点(付近)での事故発生率は53%前後です。

 みなさまどうぞ安全運転で!

尾瀬と言えば「♪夏がくれば 思い出す はるかな尾瀬 遠い空」と歌でも有名。
湿原と周囲の山々からなる自然地です。

 

福島県、新潟県、群馬県の県境にあって標高2,000m級の山々に囲まれた盆地状の地形。盆地と言っても底の標高が1,400mくらいあります。

福岡に住む人だと、脊振山の標高が1,054m、英彦山が1,199mなのでその山頂よりも高い場所に湿地が広がっていると考えると…すごい。

ミズバショウやミズゴケなど湿原ならではの植生が見られます。


20世紀初頭に関東水電(後の東京電力)によるダム建設が計画され、その反対運動が起こりました。経緯については(公財)尾瀬保護財団のページなどをご覧ください。

今では全国的な活動を行っている(公財)日本自然保護協会も、前身となる団体は尾瀬保存期生同盟。各地で見られるようになった「ゴミ持ち帰り運動」も尾瀬が発祥らしく、いろんな意味で尾瀬は日本の自然保護活動の象徴的な場所です。


さて、8月23日に複数のメディアで尾瀬ガイド協会のTwitterのことが報道されました。

それによれば、尾瀬ガイド協会の公式Twitterで「(感染症拡大ででロックダウンになったとしても尾瀬は広大で)アフガニスタンやミャンマー、ロヒンギャに比べれば幸せです」という投稿があったそう。

これ以前にも、花が咲いていい香りであることを女性専用車両に例えるツイートなどがあったようで、これらに対して批判が相次いだとのことでした。


まあ、ひどい思考ですしそれをSNSで流す感覚はかなり問題と思いますが、一方で残念ながら「そんな人もいるよね」とも感じます。

もちろん今回のツイートを肯定or擁護するつもりはありません。

そんな考え方や発言をする人はまだまだたくさんいる気がするということです。「近い考えの人といるから」「それがイヤな人はソッと離れるから」「SNSに投稿したとしてもフォロワーが少ないから」見つかってないだけだよな、と思います。

 

既に該当のTwitterアカウントは削除され、尾瀬ガイド協会のトップページには8月23日付で謝罪文が掲載されています。

けれど、既に尾瀬のガイドや尾瀬という観光地にとって大きなイメージダウンとなりました。尾瀬が全国でも象徴的な場所だったからこそ話が大きくなったという面もあると思います。


ともあれ、社員やスタッフが団体のアカウントでSNSを使う場合、不適切な投稿や差別的な発言は想定されるリスクの一つ。安全管理の範疇と言えそう。

社内研修をしたり、ガイドラインやチェック体制を定めたりといった対策が考えられます。

しかし、むしろ大事なのは上記の「近い考えの人といるから」「それがイヤな人はソッと離れるから」という状況にならないよう気を付けることかもしれません。

「違う考えの人がそばにいる」「耳に痛い指摘もできる&聞ける関係をつくる」といったことが、長い目で見て健全な組織や人材を育てていくと思います。

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